部屋割り
「よし、揃ったなー。邪魔にならないように小さく円くなれよー」
監督の言葉に円が小さくなっていく。
ちょ…ちょっとキツイ…
「ひーちゃん大丈夫か?」
『だ、大丈夫でっす!』
ふー…余計な心配はかけられないからな…
時刻は午前10時9時ちょっと過ぎ。
「ほんとは今すぐにでも海常へ行って練習試合をしたいが、長旅だからと海常の監督が気を使って試合を昼からにしてくださった。
なのでこれからホテルに向かって荷物を置いて各自休憩と昼食を取るように!
12時30分にフロント前集合だ!遅刻は厳禁だぞ!」
「「「「ハイッ!!!」」」」
***
『ふぉおおお!ここが神奈川か!!みんなオシャレだなぁ!!
すっご!ビル高い!!ドームもあるよ!!!』
「蓮浦ちょっと落ち着け…」
『す、すいません!!でもすごくて…!!』
「そうだよ〜岩ちゃん!
こんなキラキラしてるひーちゃん滅多に見れないから、今のうちに眼球に焼き付けたほうがいいよ〜!」
そう話す及川先輩の周りには女性がいっぱいいて。
俺たちとの距離は2mちょっとある。
「あの〜高校生ですかぁ〜?」
「モデルさんとかですか!?」
「こ、この後暇ですか!?」
「はぁー!どこに来ても徹は人気だなー」
「そういうハルにもチラチラと視線を向けてる女子いるけどな」
確かに春斗先輩を見て頬を赤らめてる人が多々見受けられる。
「……気の所為だろ」
『春斗先輩も人気ですねー』
「ほら、そんなんいいから早くホテル行くぞ!
もう近いんだから!」
あ、話そらされちゃった。
「ちょ!置いて行かないでよ!」
「てめえが遅いんだろ!!このグズ川!!!」
「ヒドっ!ひーちゃん助けて!」
『部屋割りどうなってるんですかねー!』
「ちょ!待って!部屋割りひーちゃんと一緒がいい!!待ってってば!!」
部屋割りかぁ…春斗先輩と一緒がいいなぁ。
「お願い!お願いします!待って!!」
「「『はぁ…』」」
***
『え!?』
「だからお前らが来んの遅いから先に他の奴らの部屋割り決めちゃったぞ」
コーチが言う。
待ってっても来ないからと先にくじをしちゃったらしい。
「一部屋2人な。お前ら4人でくじ引いちゃえ。
同じ番号の奴と同室だからな」
「やった!ひーちゃんと同室になれる可能性が!!!」
『イヤ!絶対にイヤです!
及川先輩と同室になったら、いろいろな意味で疲れるじゃないですか!!』
なるなら春斗先輩か岩泉先輩!!!!
「いいじゃんひーちゃん。
大勢でやるより、ひーちゃんも確率が上がるんだよ?
ハルとなれるかもしれないんだよ?」
この場に合わないような笑みを掲げる及川先輩。
なんでこんなに余裕そうなんだろ…
「でも、ひーちゃんは俺となるけどね」
『なんか言いましたか!!!?』
「なんも言ってなーい!」
(ほら、割り箸持ってきたぞ)
(1か2しかないんだよね?)
(おう。同じ番号の奴と同室だからな)
(文句なしの一発勝負だな)