後輩
『よいしょっと…』
水道場で濡れタオルと乾いたタオル、それとドリンクを用意した。
運ぶの大変だなー…。
潔子さんはすげーなー…
俺がいない時は1人でやってるんだろ?
「ほんと尊敬するわ…」
ま、頑張って2往復程度かな。
「飛空先輩…」
『ん…?』
名前を呼ばれて、声のした方向へ振り返る。
「お久しぶりです…それ持ちます…」
『お!国見じゃん!おひさ!』
声の主は一つ下の国見だった。
久しぶりだな〜
「ドリンクの方貸してください」
『え!?あ!いいって!国見試合出るだろ?休んでろって!
それともアップ抜け出してきちゃった…?』
「抜け出してないっスから…手伝わせてください」
サッと俺の腕からドリンクの入ったカゴを取る。
『お前らほんと良い奴だな〜!』
「お前ら…?」
『あ〜あのな!さっき金田一も俺の荷物持ってくれてな!
金田一の方が選手だから疲れるってのに…』
「(金田一…)」
『ほんとお前ら良い後輩だな!
俺マジお前ら好き!』
「……っ、先輩…」
『なーに?』
「急に笑わないでくださいっ、先に行きます!」
『えぇ!?』
スタスタと歩いて体育館に戻っちゃう国見。
俺なんかしたかなぁ…
なんか悪いことしちゃったら謝らなきゃなぁ…
***
あーもうっあの人は…!!!
中学の頃から部活の中心にいて、
飛空先輩がいるだけですごく部活の雰囲気がよくなって、
誰にでも優しくて…
「だから…金田一にも好かれるんだよ…」
(国見ちゃーん顔赤いよ〜?)
(!!!!)