フェイント
「金田一!!!」
「はい!!」
ダッ
ネットより数歩後ろで踏み切り
「おらよっと!!!」
バシッ!!!
ピィイ!!
【21-13】
「春斗先輩…!?」
「今のは徹が悪いからな!?」
そうそう俺悪くない。
俺、徹に言ったもん。ボール全部ちょーだいって。
勇ちゃんの名前呼ぶのが悪いんですー
「いいじゃんいいじゃんフェイントみたいな物だよ〜。
金田一返事すると思ったから、相手釣られると思って!」
てへぺろ☆と舌を出す徹。
後で殴っとこ。
「相手たまにリードブロック使ってくるからな…」
そうなんだよね。
一のいう通りで、誰が打つか分かるとリードブロック使ってくるんだよなー…
まぁ、今回はそれが仇となったけど。
「それにどこに上げてもハルなら打てるでしょ?」
さっきの仕返しみたいにニッコリ笑う徹。
「ハハッ…そうだな!!」
ひーちゃんの方をみると、瞳をキラキラさせながら「春斗先輩…!」って言ってるのが聞こえる。
可愛いなぁ。
飛雄もあれぐらいに純粋になればいいのに。
まあ、ひーちゃん100%純粋ってわけじゃないけどね。
ボールがネットの下からコロコロと転がってくる。
「松っつん今日サーブ調子いいな!」
「そう…?」
アウトもせず、でも相手のコートの人のいない場所に落としてる。
徹は今日サーブ手ぇ抜いてるし。
ま、あの強烈サーブが出たらな失点もないはず。
俺も正直徹の強烈サーブは取りたくない。
手が痛くなるし。仕返しはちゃんとするけどなー!
ボッ!
「ナイッサー!」
松っつんのサーブは海常のリベロの子が拾う。
あの子反応地味に早いな。
だけどレシーブミスでボールの軌道が低い。
もう1人の子が身体を打ち付けながらも、ボールを上げる。
だけど今ので2回。
トスはあげられない。
「ふんぬっ!!」
「おっ?」
セッターの子がネットに背を向けながら、ボールをこっちに返す。
だけどそのボールは高い。
コートの端から端を精一杯使う。
「ハル!!!」
来たのはレフト平行。
「任せとけっ!!」
ダンッ!
ピィイ!
よっしゃフリー!
(春斗先輩…!!)
(ハルナイスー)
(徹もナイストス)