残り
黄瀬が指を差した方向を見ると…
「あぁー!!!」
相手校の選手が森山が目をつけた子を撫でていた。
「うるせえな、耳元で騒ぐな」
「すまん…でも…俺が目をつけてたのに…!」
勝手につけてただけだろ。
「なんかいい感じっスねー」
「あいつ黄瀬よりイケメンじゃないか、笠松」
「え!?」
確かに…
黄瀬に負けてないぐらいの顔だな。
つか…
「だから何か今日いつもよりギャラリーが多いのか…」
体育館上のスペースも。入り口前もその周辺も。
いつもはもう少し少ないのに…
「でも俺の方がイケメンだな」
「寝言は寝てから言え」
「いっ!!」
俺は森山にバシッと音が鳴るくらいに肩パンをした。
***
最初は普通だったのに、さっきから及川先輩のスキンシップが激しくなってきた。
頭を撫でてきたりとか…いつもよりくっついてくるし…。
なんでだろ…
『20点台に乗った…』
今は【20-13】
あの後も海常のセッターの小技で何点か点数を取られた。
でも今はこっちが勝ってる…
『みなさーん!頑張ってくださーい!』
「!!頑張る頑張る!!!」
「黙れ徹。ひーちゃんは俺に言ったんだよ」
「ハルそんなキャラだったっけ!?ひーちゃん"みなさん"言ったよね!!?」
及川先輩試合中だよ…もう
『及川先輩以外に言ったんです!!』
「えぇっ!?」
「ほら」
そして再開する試合。
そういえば1セット目はあんまり春斗先輩活躍しなかったなぁ…
見たいな春斗先輩が飛ぶ姿。
そう思ってると、何故か春斗先輩と目が合い、春斗先輩はニッコリ笑った。
『……?』
「徹、残り俺に全部ちょーだい」
「え!?ハルそれ本気?」
「俺嘘ついたことないだろ」
「もうそれが嘘のような気がするんだけど…」
「なんか言った?」
ハルはニッコリと俺に笑う。
目が笑ってないよ…徹ちゃん怖い…!
「でもなに?今回はメンバーに入ってるだけじゃなかったの?」
「なんだよ…俺が相手に点を取られるとでも?」
それはないよ。一ミリも思ってない。ハルの事は信用してる。
「それに…ひーちゃんにあんな顔されちゃーねー…」
「なにそれ!!どんな顔!!?」
「教えねーよ、ばーか!」
ひど!!
(ひーちゃん!!)
(…?はい!)
(俺のこと見てろよ!)