後ろ姿





「ふぅ…」


TO後の最初のサーブは俺の番。
さっきみたいにリズムよく行きたかったけど、青葉城西にTOを入れられてしまった。

要は集中を切らされてしまったということ…


「でもさっきの俺のトスからのスパイク…」


相手の前衛を反応させてたと思う。
俺の目線に釣られてたはず。

やれ。やるんだ森久。
お前ならでき"ピィーッ!"あ、やば!



「早くサーブを始めてください」



「す、すいません!!」



やばい審判に注意された!!
どうしよどうしよ…
早く打たなきゃ…!!


「森久落ち着け!!!」



失敗しちゃいけない…
サーブ…サーブ


ドッ!


「あっ!!」



「アウトアウトー」



俺が打ったサーブは特にスピードが出ているわけでもないが、ダンッと音と共にアウトする。


「ナイスジャッジ!!」



【9-5】



「おい〜森久〜」



「ご!ごめん!!」



「どうせろくでもないことかんがえてたんだろ〜」



「ひどっ!ほ、ほらあっちのサーブだから!!!」





***


「今日は半面か…」



「なんだお前がそういうこと言うなんてめずらしいな」



いつも女の事しか考えてない森山がコートの事を気にするなんて。
今日はなんかあんな。


「今、失礼なこと考えただろ」



「…考えてねーよ!でもほんとにめずらしいな」



「いや別に深い意味はない。
いつも全部使ってるからな。違和感があっただけだ」



バスケ部だけが使うってわけじゃないからな。
でも滅多にない。特にバレー部と一緒になるのは。
まぁ…


「さっさと練習戻らないとシバくぞ!!!」



「お!笠松見ろよあのボーイッシュな可愛い子!!!」


森山は海常バレー部とは違う相手チームのベンチに座ってる人を指差す。


「……顔見えねえじゃねーか」



「いや、あの後ろ姿は絶対にかわ「何話してるんスか〜!」黄瀬お前…」



「こわ!笠松先輩も森山先輩も眉間にシワが寄ってるっスよ!!!」



はぁ…とため息をつく。


「おい黄瀬」



「なんスか?」



「あの子可愛いと思わないか」


森山は再びベンチにいる人を指差す。



「えぇ〜後ろ姿じゃないっスか〜
わかんないスよ〜」


ほら見ろ。
やっぱわかんねえじゃねーか。



「絶対可愛いって!マネージャーかなぁ!
休憩時顔見に行くぞ笠松!」



「はぁ?休憩をそんなのに使いたくねえよ」



「あ!森山先輩!!」



黄瀬は森山の名前を呼びながらさっきから話題の中心人を指差した。



(絶対可愛い絶対可愛い)
(うるせえ)
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