原因
「あ、俺2だ。ひーちゃんいくつ?俺と一緒?それとも岩ちゃん?」
春斗先輩が笑顔で割り箸に書かれた2番という数字を見せてくる。
『お、俺…』
半泣き状態で春斗先輩に割り箸を見せる。
「ひーちゃん1じゃーん!同じー」
満面の笑みで1と書かれた割り箸を俺の顔の前に持ってくる。
『い、いやだ…』
ズルズルと及川先輩に腕を引かれる。
「ごめんなひーちゃん!
ほんとは助けてやりたいけど、一発勝負は一発勝負だからな!
あ、徹」
「なーにー?」
「ひーちゃんに変なことすんなよ」
「は、はい!!」
***
『いいですか!及川先輩!!
こっからここが俺の領域ですからね!入っちゃダメですよ!』
ベッドの上で正座してる及川先輩に向かって、ベッドとベッドの間を指を指す。
「わかったってばー」
『ほんとですか!?』
「ほんとほんと」
て、適当だなぁ!
「なんでひーちゃんはそんな俺のことを嫌い…っていうか、警戒するの?」
俺なんかした?
と及川先輩が言う。
「むしろさ!神奈川遠征に誘ってあげたんだよ?」
『そ、それは……かっ感謝してます…』
ごにょごにょと言葉を紡ぐ。
『春斗先輩にも他の方にも会えたし……そ、それに及川先輩の事は…嫌いじゃないです…』
別に及川先輩の事は嫌いじゃないんだ。
むしろ中学の頃何故か贔屓に見てもらったり、けっ怪我をした時も毎日お見舞いに来てもらって感謝してる…。
ちょっと性格はあれだけど、
良い人だし…バレーは普通に上手だし…
で、でも…!!!
『及川先輩…影山いじめたじゃないですか…!!!!!』
「へ?」
『後輩イジメよくないです!!!』
***
フゥーッと肩を上下させて息を切らせるひーちゃん。
俺の顔はポカーンだと思う。
え?
だから俺にそんな態度取ってたの?
トビオちゃんをイジメたから?
いや、トビオちゃんからかっただけだし!
トビオちゃんで遊んだだけだし!
てか
「そんな理由で…」
『そんな理由ってなんですか!死活問題です!』
死活!?
と、とりあえずひーちゃんがトビオちゃんを可愛がってるのは分かった。
溺愛してるのも分かった。
「えと…ごめんね…?」
『影山に謝ってくださいよぉおおお』
バサァア!っとベッドに入って毛布の中で丸まるひーちゃん。
可愛いな、おい。
「徹とひーちゃーん。
今日の事話し合おうぜー…って、なにやってんの…」
ベッドの上で正座をしてる俺。
毛布の中で丸まってるひーちゃん。
うん、おかしい。
「ひーちゃん、ほら、ハル来たよ」
『さっきぶりです、春斗先輩』
変わり身早っ!
「お、おう…さっきぶり…」
「てめ、蓮浦いじめてないだろうなァ」
「いじめてないよ!ほんと!ね!ひーちゃん!!」
『じ、実は…』
(ちょ!嘘はダメよ!)
(冗談ですよ)