男だらけの? 4
「「「「「「カンパーイ!!!」」」」」」
カチンと、グラスがぶつかる音が響く。
中には思い思いジュースを注いである。
ちなみに俺はいちご牛乳!
やっぱこれだよね!
「ハルー今日のおすすめは?」
「全部」
「特におすすめなのは?」
「んー……牛の頬肉のトマト煮込み、かね」
春斗先輩がそう言うと、じゃあそれいただきっと及川先輩が箸を伸ばす。
それを見ながら春斗先輩は料理の説明、というか品名を言っていく。
どれもこれも美味しそうで、どれから食べるか迷ってしまう。
暫く逡巡した後、やっぱ初めはサラダかなと思って、サラダが盛られている皿に手を伸ばした。
「シーザーサラダ美味しい…」
「そりゃいい素材使ってますからね」
「うわっ!…びっくりさせないでくださいよ春斗先輩…」
「いや、黙々とサラダを突いているからさ、ちょっと心配になって…脅かすつもりはなかったんだけど、悪いな」
「い、いえ…」
少し申し訳なさそうに言う春斗先輩にそう返せば、笑みがいつもの柔らかいものに変化する。
次いで、さっきおすすめだと言っていたトマト煮込みを盛ったお皿を渡してくれた。
香辛料とトマトのいい匂いがする。
「さっきも言ったけど、これ、特におすすめだから食べてみて」
「あ、はい!」
「よし、じゃあ俺は一旦キッチンに戻るか」
「キッチンにですか?」
「あぁ。そろそろメインディッシュが出来ているだろうし」
「!まだ何かあるんですか!」
「クリスマスの定番メニューだよ」
その一言でピンときた。
…アレだな。
それがどんな風になっているか気になって、声を上げた。
「あ、あの春斗先輩!」
「ん?」
「俺もついて行っていいですか?」
そう言うと、俺の好奇心を察したのか春斗先輩はニヤリと笑った。
無言の是に、俺は嬉々として立ち上がった
。
***
「…ねぇ岩ちゃん」
「あ?」
「ひーちゃん何も言わずにハルと笠松くんの間に座ったよね…」
「…ん、これ美味いな…笠松」
「さんきゅ。…おお…これは」
「だろ?」
「ちょっと無視しないで!!!」
「黄瀬、お前も食ってみろ」
「はいっス!」
見事にスルーをかましてくる岩ちゃんに、俺は頬を膨らませる。
少しくらい反応してくれてもいいじゃん…。
「……」
「センパイ!」
「なんですかー涼太くんー」
「オレだって飛空っちの隣に座りたかったっスよ!」
「ですよね?!!」
隣に座っていた黄瀬くんと意見が一致。
思わず食い気味に反応してしまう。それはもう、思いっきり隣を向き、黄瀬くんの肩をガッと掴むくらいには。
「い、痛いっスセンパイ…」
「ご、ごめん!!!つい!」
謝った後、お互いに顔を見合わせ、笑った。なんだか笑いが込み上げてきたのだ。
笑いながら、ひーちゃんの隣に座りたかったねぇと言うと、いっその事二人で飛空っちの両脇抱え込んで座っちゃえばよかったねと返してくる。
「くっ…その手があったか…!」
「何でさっき気づかなかったんだろ!」
「「アホかてめえら」」
「「アダッ?!」」
「さっきから聞いてりゃ何言ってんだ、あ?」
「お前ら揃いも揃ってアホなのか?え?」
「(い、岩ちゃんが二人いる…!)」
「(キャプテンが二人いる!?)」
「「おい、聞いてんのか」」
「「うス!!!!!」」
取り敢えず、早く戻ってきて二人とも…。
(何か向こう騒がしいな)
(及川先輩が何かやらかしているんじゃないですか?)
(それしかないな)