男だらけの? 3
「上がって上がって」
「お邪魔しまーす」
なんと今日のクリスマス会、春斗先輩のお家でやるということだ。
影山いるのかな、と一瞬楽しみにしたのだけど、それは春斗先輩の一言で呆気なく崩れた。
“ひーちゃん、残念ながら飛雄はいないよ”
“…何でわかったんですか先輩”
“表情と醸し出す空気”
“俺、そんなにわかりやすかったですか…”
“あぁ”
即答だった。
地味に俺の心に傷ができました。ちっちゃいけどね。
ちなみに影山は、今日は烏野の皆とクリスマス合宿だそうだ。
合宿をクリスマスにやるなんて、誰かクリスマスに恨みで……あ、田中とノヤっさんか。
合宿なら潔子さん来るだろうし。…彼氏持ちじゃなければ。
恨みではなく…………ん?
いや、そこじゃない。
問題は、そこじゃない。
春斗先輩は、さっき“烏野の”クリスマス合宿と言わなかったか?
え、じゃあ、俺…
「飛空っち?どうかしたんスか」
「ひーちゃん?」
俺だけ知らされてなかったってこと?
なんで?
どうして?
「それはだな、ひーちゃん」
「春斗先輩?」
思わず頭を抱えて座り込みそうになったとき、春斗先輩の明るい声がした。
何か、企みをバラすかのような、楽しそうな声。
「“クリスマスの日のひーちゃんは俺がもらうから、合宿には参加させないよ”って大地とスガに言っておいたからなんだ」
「…………へ?」
「それ言ったとき、飛雄はギリィってしてたなぁ。アイツ、本当にひーちゃんの事大好きだよな」
なおも楽しそうな顔をする春斗先輩に、未だぽかんとした顔をしているであろう俺。
取り敢えず、知らされていなかった理由はわかった。
影山がそれを残念に思っている事もわかった。
だけど
「何でそれを昨日より前に言ってくれなかったんですかー!」
「いや、サプライズ的な?」
「合宿があると言ってくれてたら、合宿前にしなきゃなんない準備の手伝いできたじゃないですか!!!潔子さんと谷地ちゃんに申し訳ないぃ…」
「ま、気にするな」
「無理ですよ!!!」
(あああああ…、潔子さんと谷地ちゃんにすみませんってメールしとかないと!)
(ひーちゃん何飲むー?)
(今それどころじゃないので、黙ってて下さい!及川先輩!)
(は、はい…!)