本気で





俯かせていた顔をあげるとサーブの態勢に入った及川徹と目が合う。


「ほ、…本気で…」



「森久…?どうした…?」



「本気で来い!!!!!!
お前のサーブなんか…!!!


絶対に…!!!取ってやる!!!!!」



「「「………」」」



フーッ!
絶対に取って…!
長くコートに立つんだ!!!



「森久あのさ」



「な、なんだよ…」



「お前今のポジション分かってる?」



「ポジションって……あ、」



俺…今…



「モリ今前衛じゃん」



一気に顔が火照るのがわかる。
やばい…くっそ恥ずかしい。


「しかもセッターじゃん」



「………うっせ!!!いいだろ!!!
俺だってあいつのサーブ取りたいんだよ!!!!」



でもそうだよな…
俺がサーブ取っちゃったら…トスとか…
そもそも前衛には来ないか…



「へぇ…」



「徹やんのか?」



「だって、いじめて欲しいんでしょ?
お望み通りやってあげるよ。


いいよ!!君にサーブ打ってあげる」



「は…?」



ダン、ダン、



及川徹がサーブを打つ前の動作、ルーティンをやる。

その瞬間。


緩みきった空気が一気にピリピリとした。


前方上方にトスを高くあげる。



たっけ…っ、


そう思ったその瞬間には



バシィイインッ!!!!





サーブはコートに入っていた。


得点板の審判は唖然としたような顔をし、青城側の得点板を一枚めくる。


「……っ!」



【24-14】


「あれれ〜?絶対に取るんじゃなかったの〜?」



やっぱりすげーな…
俺は前衛だったのに…そこに確実に落としてくるとか…!



『先輩相変わらずムカつきますね!!!』



「ひどくない!?だから!!!」



『その挑発するような態度が中学の頃思い出します!!』



くっそ…あいつはあの余裕だし…!



「つ、次!!!」



海常側に流れたボールをキクが拾い、相手に投げる。


あと一点…!
あと一点で負けちゃうんだ…!


ダンッダンッ、


どうしたら取れる?
そもそも、今のやつに俺は反応すら出来なかった。
レシーブしてもちゃんと自分のコートにあげられるか?



及川徹がボールを高くあげる。



「腕じゃダメだ…どうする…広いところ…、むっ、胸とか!?」



ドッ!!



サーブが勢い良く俺の方へ向かってくる。


「む、胸!!ぶへっ!」



ボッと鈍い音を出してサーブは俺の顔面へ。
俺の身体は後ろへと重力に従って倒れて行く。


「も!森久!!」


な、に…近寄ってきてんだよ…
まだ試合は終わってないぞ…


ボールは…



「ボール!!!上がってんだろッ!!!」




ドサッ



大丈夫…天井にボールは当たってない…


「…っ!
ソノ、ヘルプ!!」



「わかってる!!!」



立たなきゃ…立たなきゃいけないのに…



「ツッチー!」



「任せとけ!!!」



バシィイ!!



「松川!!」



「わかってる!!」



ドッ



「ナイスレシーブ!
ハル!!」



「持ってこい!!!!」



バシィイ!!



「七瀬!!!」



「大丈夫ッス!!ハイッ!」



起きなきゃ…なに…セッターが寝てんだよ…



「ソノ!!」



「オッケー!」



「レフトォオオオオ!!!!」



バシィイ!!






(ハル!!)
(わかってんだよ!!オラッ!)


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