T・O





――春斗




バスケ自体、半年ぶりくらいだから、多少鈍っていても仕方ないと思ってはいたが


「…シュートフォームが微妙だな。イメージと若干ズレがある」


こんなもんだと理屈では分かっていても、思ってしまう。


“思い通りに動け”


と。


それに、ひーちゃんから折角リクエストを貰ったんだ。

ブランクなんて知った事か。決めてやるだけだ。

そう思った時だった。



海常が第3Q開始早々にT・Oを取ったのは。







――海常組




「笠松」

「わかってます。今考えているところです」

「…影山、か。アイツは何者だ」

「……」

「笠松?」

「…さっきセンパイが言ってたんスけど、何でもバレーの選手らしいっス」


隣に座っているセンパイは考え込んでいて、監督の質問が聞こえていないようだった。

だから俺が代わりに答えた。


「?!…バスケの選手じゃないのか」

「俺はよく知らないんスけど、センパイ曰くそうらしいっスよ」

「…とてもそうは思えん。あの身のこなしは……お前達のように毎日ストイックに練習を積んでいる奴にしか見えん」

「「「「!?」」」」


唯一そこまで驚いていなかった笠松が、黄瀬に問う。


「……黄瀬、全力を出せないところ悪いが」

「はいっス」

「アイツの模倣、できるか?」

「「「!?」」」

「成る程な…」

「…青峰っち程じゃないスよね、アノ人」

「おそらく、な…」

「……このQ丸ごと貰ってもいいスか?」

「…いけるのか」

「やってみるっス。失敗したらスンマセンて話っスけど」

「…よし、それでいくか。中は笠松、お前に任せた。…やってこい!!」

「「「「「うス」」」」」







――観戦組




「あっ、海常のT・O終わったみたいです」


ひーちゃんの声を受けて、海常の方を見る。


「……へぇ」


声が、漏れた。

さっきまでと若干空気が違う。


「…模倣、か」

「!…岩ちゃん、金髪くんの事知ってんの」

「あんだけ騒がれてんだから、そんくらい耳に入ってくるわ…」


岩ちゃんでも知ってるんだから、ハルはもちろん知っているよね?


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -