挑戦的宣言

見習いのアイツ


その後なんとか壁を使って立った俺はグラウンドに向かった。

まぁ着いた瞬間用具取ってこいってパシリされたんだけどね、これ三年続くの?ツライ。


「あ!お前さっきの!!」

「あ」


同じ授業の生徒がグラウンドで走ってる中一人ダラダラと用具を出している時、さっきぶつかった生徒と会った。


「これありがとな。でけえけど」

「薄々思ってた」



特に悪気もなく言った。俺は180後半出し、こいつは170半ばとかだろ?ちょっとでけえかなって思ってた。実際見たらハーパンも膝よりかなり下だしTシャツも丈が長い。


「まだまだ伸びる!!」

「いて、チョップすんなバカ」

「バカ!!!?」


ポロっと暴言が出るとこいつは「俺は沢村栄純っつー名前があるんだ!!!!」とか言った。


「沢村くんね、覚えた覚えた」

「嘘付け!!!俺は野球部エースになるんだ!サイン貰うなら今のうちだぞ」

「………」


野球部…?

「沢村くん野球部なんだ、サインはいらないかな」

「おう野球部だ次期エースな」

「今はエースじゃないの?」

「今は……野球部見習い…」


は?
見習い?

ここそんなんあるの?


「そんな目で見んじゃねえ!!お前名前なんだよ!」

普通の目でしたけど。まぁ普通の目よりはちょっと死んでたかもしれないけど。


「名前は!!!?」

地団駄を踏みながら怒られた。

「蜂木…」

「蜂木!!?」

「奏太」

「奏太!!!?奏太……奏太…」


声でけえな、俺のこと知ってんのかとビビったわ

「そんな名前連呼すんなし」

「あだ名考えてんだし」

「あだ名なんてお前変な名前つける気だろやめろ」



なんでバレた!!とか言ってるけどこいつ表情分かり易すぎ。これでもし投手なんかやってたら…

「いいから呼ぶなら普通に呼べ」

「奏太な」

「わかったお前は沢村な」

「そこは栄純だろ!?」

コロコロ変わる表情見てて飽きないけど…ほんと…


「ほら、早くしないと集合掛けられるぞ」

「やべ!また遅刻する!」


また?

「じゃあな!!後で体操着返すな!」

「おう、汗臭くすんなよ」



し、しねえよ!という微妙な返事が返ってきたが、聞かなかった事にしとこう。








その後栄純が見習いを脱出したと聞いたのはもうちょっと後の話。




▼20150109修正

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