挑戦的宣言

綺麗な色してる


クリス先輩の件で一時期御幸と気まずくなったが今は普通に会話をするようになった。
べ、別に?俺は?喋らなくても?よかったんだけど?御幸が?話しかけてくるから?

「沢村ー」

「ヘイラッシャッイ!」

「落ち着けよ」


た、タイミング良すぎだろーー!!?
ビビったわ!やめろよ!

「な、なんすか!?何か御用が?」

「まぁ、御用がありますね」

「なんでしょう!この沢村栄純にぜひお伝えください!」

俺の言葉に御幸が一瞬眉間に皺を寄せたが、ハァ、と溜息を吐いて話し出した。

「今度合宿あんだろ。それにお前の友達連れてこいよ」

合宿ってあの合宿か?

「友達ってお前の世話をしてる友達だぞ」

「な、なんだとー!!別に世話されてねえし!」

「どうせ無理矢理やらせてんだろ」


む、…りやりじゃないはず。
なんか自分で言って自信なくなってきた…明日でも聞こう…

「ちょっと、ちょーーっと手伝ってもらってるだけです」

「ふーん…じゃあさ、今度合宿あるじゃん?お手伝いにそのお友達呼べない?」

ニッコリと御幸が笑う。
お手伝いにって、マネージャーさんの?

「別にその必要なくないっすか?重たい物は積極的に1年が手伝うとか部則があるじゃないすか」

「そのお友達男だろ?手伝ってくれたら、ちょっとは1年も練習出来る時間が増えんじゃね?」


確かに今ここで御幸の頼みを聞いて御幸に一つ貸しを作りたい。
そしたら今度球をたくさん取ってもらうんだ。師匠には無理させらんねえから。

でもそのお友達って…奏太だろ?


「まぁ、聞いてみます…」

「絶対連れてこいよ!!」


くっそーー絶対断られる…










▼▼▼




突然だが俺は本が好きだ。

普段教室でも本を読むし、家でも手が開くと本を読む。
家の一部屋を書斎なんかにしちゃってるし。

中学の頃は影が薄い涼太のお友達と図書委員をやっていた。
本に囲まれて過ごすのはすごく落ち着いた。

そんな俺は高校でも図書委員をやっている。この学校は蔵書は多いんだが、生徒は本にあまり興味がないらしく図書委員になっても当番に来ない。

昼は司書の先生が見回りにくるから嫌々来てるらしいけど、放課後は来ないらしい。放課後の当番は30分だけだから、たまに俺は駆り出される。まぁ、いいけど。


「ねえ」

「はい、なんでしょうか」

「物理の参考書探してるんだけど、なんか分かりやすいのない?」

委員の仕事は簡単だ。
図書室に来る人が読みたい本を探したり、新刊のリクエストを受けたり、本の整理だったり、貸し出しだったり。

今回は本の捜索だ。


「ちょっと待っててください」


あの上履きの色からしたらこの人は3年の先輩だろう。
受験とかレポートで使うのかなー。

俺は参考書のスペースに向かおうとすると、その先輩も後ろからついてきた。


「放課後だいたい君いない?」

「…そうですか?毎日はいませんよ」


そして突然始まる雑談。

「3年で話題になってるよ。図書室に逆プリンの王子様がいる…とか」


その先輩は頭のてっぺんを指差す。
え?逆プリンの王子様って俺のこと?恥ずかしい誰それ言い出したのやめてよ。

「普通逆じゃない?元が金髪ってこと?」

「…まーそうっすね、めんどくさいんで黒染めしました。
先輩の髪色も地毛ですか?」


綺麗な桜色をしてる。
男の先輩なのに似合ってんなって素直に思った。

「地毛だよ、変?」

ニヤリと笑う先輩は俺を見上げる。

「変じゃないっす。綺麗だと思います」

俺の友達にも似たような髪色の子いるし。

「ふーん。君も地毛のままにしたらいいのに。
ほらあれ、今話題の……あーなんだっけ、…キセリョ、黄瀬涼太に似てるんじゃない?」

「…キセリョっすか」


先輩のセリフに吹き出しそうになる。
この人鋭いな…まぁ、涼太とは双子だし。

「なんのために黒染めしたのかは知らないけど金髪似合うと思うよ」




今度はニッコリと笑った。


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