雷市がキャッチボールを教えてもらってから2週間目。
週3で教えてもらっているがやっと板に付いてきたのか、雷市は前より暴投の回数も少なくなり、コントロール力も少し付いてきた。
やっぱ天才球児が教えるキャッチボールはちげえのかな。分かんねえけど。
奏太も同じように思ったのか雷市を褒めてその本人は照れている。
おいおい、あんま雷市褒めんなよ調子乗るから
でも息子を褒められたのは嬉しくニヤニヤしながら見ていると、雷市が暴投した。言わんこっちゃねえな!
当たった所は脚か…それにしても何か金属音みたいな音が…
「親父ッ!」
「わーってるって…おい大丈夫か?」
キャッチボールの球だからそこまで強くはないはずだから痣が出来るぐらいか?と思ってたら、どんどん奏太の顔色が悪くなる。
「だい…じょうぶ、」
「大丈夫じゃねえな、裾捲るぞ」
「いや、いい……っす…」
若干抵抗されたが気付かないフリをし裾を捲ると出てきたのはゴツい器具。
その器具は膝上まで装着され、只事ではないなと思った。
沈黙が続きどうしようかと手を止めているとその手を奏太に叩かれる。
「ごめん雷市俺帰るわ、また今度な」
顔面蒼白のまま両手を使い奏太は立とうとするがバランスを崩し「うわっ」と顔面からダイブする。
「「……」」
うわ、プルプルしてる
「……あのな」
「なんだよ!笑うなら笑えよ!!」
蒼白だった顔を赤面させて叫ぶ奏太はいつもは大人っぽい風貌だったのに今日はガキっぽく見えた。
「ガハハッ!家まで送ってく」
雷市を右側に立たせ奏太を支える。
でけえな、こいつ縮めよちょっと。それかほんと雷市に身長分けてやってくれ。
河川敷から5分程度。
しばらく歩いていると高級そうなマンション街に出た。
すげえな、こんな家住んでみてえわ。
つか、まさかこいつの家って……
「ここです、ここの8階」
きっと俺は雷市とまったく同じ顔をしているだろう。
「フハッ!アホ面すぎ」
とりあえずムカついたから脚に響かない程度にケツを蹴っておこう。