返信  [ 31/31 ]



『もしもっし…です及川先輩』



先輩と話すのは緊張する。
それも及川先輩になるともっと緊張する。
あんま良い思い出ないし…。


《久しぶり!!!返信いつもくれないから心配してたんだよ〜!》

「お久しぶりです…及川先輩こそ…あんなたくさんメールとか電話寄こすとか頭大丈夫ですか…?俺も心配です」

《相変わらず俺には厳しいね〜!
で、どうして返信くれたの?もしかして俺とデート行く気になった?》



デートって…、この人は…



「デートなんて行くわけないじゃないですか、何行ってんですか!
その…っ、返信したのは…!」



及川先輩に…トスを上げてもらいたくて…!

でも…及川先輩には酷いことしかしてないから…やってくれないかな…
てか…


「普通に頼んでも…ダメだよね…」

《ん?》



どうしよ…

「及川先輩今度どっかで遊びませんか…」

《え…?》

「でっ、デートじゃないですよ…?
遊ぶんですよ!遊ぶ!
予定があるなら…いいんですけど…」



そしたら誰に頼もう。
俺はそんなに顔広くないからなー…
うむ…。


《遊ぶ!!!!》

「え?」

《遊ぶ!!遊ぼ!!
やったよ!岩ちゃん!!ひーちゃんからデートのお誘い!!》



「で、デートじゃないです!岩泉先輩!!」

《クソ川うっせえよ。蓮浦と遊ぶのはいいが、部活は休むなよ。

休まないよ!!!ひーちゃんいつ暇!!?俺は毎日が暇!!!

ふざけんなっ!!

イダッ!冗談だよ!冗談!》



「っ、ははっ!
俺が及川先輩に予定合わせますから…空いてる日があったら連絡くださいね」

《オッケー!ドタキャンとか禁止だからね!》

「先輩こそ、」







よし、これでトスは上がるはず…た、たぶん…。

及川先輩と岩泉先輩のやり取りを聞いて、迂闊にも笑ってしまった。
中学の頃を思い出す。あの頃は大変だったなぁ…。



もう一回。


もう一回コートに立つために。



その際は及川先輩達とは敵になっちゃうけど…



「頑張ろ…!!!」





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