後を耐えない  [ 27/31 ]


「…っ、そうか…無理矢理話させて悪い…」

「い、いえ!
今まで内緒にしててすいませんでした…」



正直言うと、この話をするのは勇気がいるいうか…
思い出して、その…あまりいい気分ではない。


「あの…でも、俺、後悔はしてないです。
影山は異名を付けられたけど、天才セッターにまで成長した。
それだけでいいんです」



俺が部活辞めてから、元々あまり笑わない影山が更に笑わなくなった気がしたけど…。


「じゃ、じゃあ、次な。
蓮浦はもうバレーは出来ないのか?」

「でもいつも、パス練とか、サーブ練、レシーブ練は参加してるよね」

「それは……」


言え。
俺だって、前に進まなきゃいけないんだ。


「お、俺が逃げてるだけなんです…。
高校に上がる前には普通に歩けるぐらいには、治ってた。
でも…膝が…膝に違和感があって…。前と違う気がして…。

それに…前みたいに跳べなかったら…って考えると…」


怖い。








▼▼▼


たぶん後者が本当の理由だ。
蓮浦は前に踏み出せないだけなんだ…

「でも、全部参加しなきゃ、バレーを本当にやらなきゃ、影山が傷つくんじゃないか?」



「…え?」


中学の頃の蓮浦は"王様"(影山)の"奴隷"という異名で通っていた。

理由は、どんな無茶苦茶なトスにも王様の希望通りに応えられる。拒否権はなかったから。(拒否をしなかった)

俺は蓮浦が試合をやってるのを観たことがあった。
それは、跳ぶんじゃない。飛ぶんだ。高く。

しかも、空中で身体の自由が効く。
始めて観たときは、目を奪われた。

もちろんそれは俺だけでなく、様々な人から注目された。
中学なのに、他校の中学の強豪校からの引き抜き。
異例の中2の頃からの様々な推薦枠。

だけど蓮浦は、事故により、推薦を全部蹴った。
推薦を貰えない人からは恨めしいことだろう。

怪我をしてでも良いと言う高校は後を耐えなかったが、全て断った。



そして烏野(ここ)にきた。








  



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