あの時 [ 25/31 ] 「はぁぁああああ…」 大地先輩の気遣いでスガさんと龍以外帰ってもらった。 なんかすいません。 「えっと…じゃあ、田中は蓮浦の過去…?を知ってるわけ?」 「あ、はい」 「俺とスガには話さなかったんだ」 「ごめんなさい!!! 龍にはその…!しつこく無理矢理聞いてきて…!!だから!!」 「はぁ、わかったから話してくれ」 「は、はい…」 俺はスゥーと息を吸う。 「3年前。 俺が北川第一の中2の時。部活帰りで影山と一緒に帰ってたんです。」 ドクン、ドクン、 と鼓動が早くなる。 「影山と俺は家が近くて…ほぼ毎日一緒に帰ってた。 そのままコンビニに寄ったり…、一緒に自主練したりもした… これが日課だったんです」 そう。 あの日も同じように、影山と一緒に帰ったんだ。 「今日は一緒に練習しようって話になって、いつも練習してる場所に移動したんです。 あと少し、あと少しで着いた。車通りが少ないところで、その道には信号機はなかった。 影山は先に行ってるって言って、歩き出した」 話せ。 前に進むんだ。 「落ち着いて」 「…そ、そこに…トラックが…つ、突っ込んできて…」 手が震える。 それに合わせて、声も震える。 「影山がトラックに轢かれそうになった」 (でも、) (気づいたら俺が) (前に出ていた) [←] |