飛べない烏  [ 8/31 ]



「いいじゃんコート上の王様!!
キングだぜキ・ン・グ!!」

「それは……ちが「違くない」

「マイナスに考えすぎだって、プラス思考に考えろ。
コートを支配する、司令塔、元々セッターはそういうポジションだ。
相手のポテンシャルを活かして、トスを出す。

ほら、かっこいいだろ?」

「………」

「お前は、勝手に貼付けられたレッテルに捕らわれすぎだ。
…その異名は消えないかもしれない、でも意味なら変えられるだろ…?」



それは人が勝手に考えたもの。

別の意味に捉えろ。屁理屈だけど。




「んじゃ、今日の試合お疲れ様…。
また、会えたらいいな」



きっと影山だから、強豪校に行くのだろう。
もう会うことはないんだ。


高校では仲間が見つかるといいんだけどな。



俺は、影山に背を向けて手を振りその場から去る。









はずだった。



「飛空さんっ!!」



影山の言葉が無ければ。


「……ん?」

「えと…高校どこに行ってんすか」

「…高校?」



まさか…と思いきや、その考えを捨て答える。



「飛べない烏」



こんな名前を付けた奴をぶん殴りたいけど、絶対飛べるようにするよ、俺は。

_________
修正:15/07/03





  



[]