理想の  [ 5/31 ]



思い出したくなかった夢をみた。


俺が中2の時の、最悪の事故。
飛空さんは俺を庇って、重傷を負った。

あの時の俺は、飛空さんが中心だったのに。



その事故をきっかけに、俺は周りから嫌われはじめた。


飛空さんは人気者だったから。


その事故をきっかけに、飛空さんはレギュラーを外された。


飛空さんは本物の天才だったから。
なんでも出来る、漫画の中のヒーローみたいな存在だったから。


俺は代が変わると同時に1年の夏にレギュラー入りした。

その時には飛空さんはもう、レギュラー。


1年でのレギュラー入りはまだ俺だけだったから、入れなかった2年から反感を買った。

その反感を飛空さんはいつも追い払ってくれた。


1年のクソ生意気だった俺を、一生懸命に馴染ませようとしてくれた。(意味は無かったけど)
そして、俺はセッターというポジションを貰った。

セッターは、チームの司令塔みたいなもん。


俺がこう打って欲しいなど言ったが、飛空さん以外は聞いてもくれなかった。

反対に飛空さんは、一生懸命に聞いてくれて。
俺がやりたかった連携ができるようになった。



なのになのになのに、




(飛空さんがいなくなった今)
(俺の理想の連携をできるやつはいなくなった)








  



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