02
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PCAという部屋には蛍光灯が付いていた。


だけど部屋は暗いまま。
もちろん電気を点けようとした。
でもこの部屋には電気が通っていなかった。




全員が希望を無くし俯いたその時。




部屋のある一点が光った。

それに驚いて全員が顔を上げたと同時にカタカタと音が鳴った。


「おい…何が起きたんだよ…」


誰かが声をあげると同時に赤司がその光った場所へ行く。


光ったのは中央にあるパソコン。電気も通ってないのになぜ光ったのかはわからない。


「これを見てくれ」


赤司の言葉に何人かが近づく。


そのパソコンのモニターには文字が浮かび上がっていた。



「"行き詰まってしまったあなた達へ最高のプレゼント"…んだよこれ…」



その言葉を見て機嫌をさらに悪くした人がいた。物に当たる人もいる。



「"一人だけ救助者を呼ぶことが出来ます"…か…」


救助者。今この場で考えるとこの意味のわからない空間から助け出してくれる人だろう。

赤司は考えた。誰を呼ぶのが適切か。

部活の仲間、監督を呼ぶ?いや、もうこれ以上変な空間に巻き込みたくない。じゃあ、これに対応出来そうな本職の物を呼ぶか?でも実際にこの空間にきて知り合いが誰もいなく気が狂ってしまったら更に場が悪くなるかもしれない。


じゃあ……


「…誰かこの場に呼んでもいいと思える奴はいないか?」

「呼んでもいい奴?」

「一人だけ救助者が呼べるらしい。画面には名前とその物について詳しく書き込むスペースがある。何か知恵を齎してくれそうな……」


全員が考え込むが、出る言葉は監督など巻き込みたくないという満場一致の言葉。


「クソッどうすれば………ッ」

折角何か進展しそうなのに、適切者がいなく再び詰まりそうになる時。


「おい、誠凜の一年」


花宮が誠凜に話しかけた。話しかけたのが花宮だったのがいけなかったのか、愛想悪く火神が返事をした。


「誠凜の一年に眞山っつう奴がいるだろ」


「あぁ、いるよ。眞山梓乃だろ?」


質問に答えたのは一年の黒子、火神じゃなくて中学の頃花宮と同じ"無冠の五将"と呼ばれた木吉だった。


「あ"ぁ?なんでお前が知ってんだよ木吉」

「それはこっちが聞きたいっつの」

「眞山はなー、何でも屋っての誠凜でしてるんだ。花宮もその口ぶりなら知ってるだろ?眞山は生粋のゲーム好きって」

「あぁ、そうだな」

「眞山がほしいゲームと引き換えに頼み事をするんだ。部活のスケットとか偵察、バイトの頼みでもいいし、ゲームを渡せばなんでもしてくれる。俺たちバスケ部は部員が少ないからスカウターとか手伝ってもらってるよな」

「そうですね、お世話になってます。僕と火神くんは同じクラスですし」

「そいつがどうしたんだ…です」


誠凜が話す内容に終始眉間にシワを寄せて行く花宮に赤司が質問をした。


「もしかしてその眞山さんを呼ぶんですか?」


「あぁ、そうだ」


「話を聞く限りではその子は女性ですよね?女性を巻き込む訳には行かないです」


誠凜がそれに賛同をする。


「でも他に思い当たる奴はいねえんだろ?だったらいいじゃねえか、あいつは女みたいで女じゃねえからな」


その言葉に全員が「どんなやつだ」と想像しただろう。


「あーー花宮の幼馴染やな、確か。思い出したで」

「花宮の幼馴染!?」



それは性格が悪そうな……という呟きと同時に発言した人を叩く音が鳴る。


「俺もその子でええと思うでェ?その子変な子やしな」


変な子という言葉に周囲はまた「どんなやつだ?」と想像した。


「じゃあ決まりでいいな」


ちょっと待ってください、という赤司の制止の声も聞かずに花宮は軽やかにキーボードを叩く。





「安心しいや。その子はきっとこの場を変えるで」



誰もキーボードを叩いていないのにカタカタと再び音が聞こえる。



"誠凜高校一年 眞山 梓乃 受け付けました"


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