はじめまして、新世界
入学し、2日目の朝。

氷帝はエスカレーター式ということもあって、登校風景は勿論であるが、新しいはずのクラスメートたちの顔ぶれも数ヶ月前とはほとんど変わりが無い。

目立って変化があったのは“高等部”という名称だけではないか。

樺地が居ないこともあり、今まで以上に面倒な女子生徒の群れを抜ければ漸く教室へと辿りつく。

…ったく、朝っぱらからなんでこうも疲れなきゃいけねぇんだよ。

僅かに乱れた制服を正しながら、心の中で悪態をつく。
席に着けば、やっと気が緩むのが感じられた。(決して大袈裟に話しているわけじゃねぇ)


「朝から大変そうだねー」


ふと、隣から声がかけられる。

間延びしたその声は欠伸をする隣の女子生徒のものらしいが、此方をちらりとも見ないそいつはまるで独り言を言っているかのようだ。
どうやらこいつが隣の席らしい。

どこか男らしくも見えるショートカットのそいつは、未だにざわつく女子生徒たちを呆れたように見渡し溜め息をひとつ。

その様は己にとってとても新鮮なものであり。


「まるで人事みてーに言うじゃねぇか。」
「人事だからね、」


のちに紫ノ宮美樹と名乗るその女のそっけない返答にも、
俺は僅かに笑みを浮かべるのだった。



はじめまして、新世界











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