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男子バスケ部に無事入部届けを提出出来たわたしと友加梨。早速今日から練習に参加させてもらえるみたいなんだけれど…。
さて、困ったことになりました。
「はあ…体育館てどこにあるの…?」
ただいま、佐倉春菜、迷子です。
途中までは友加梨と一緒に体育館に向かっていたんだけど、何を見つけたのか、「ごめん、先に行ってて!」なんて、わたしの返事も聞かずに走りだしてしまって。
友加梨、足がすごく速いから追いかけるなんて無謀な事はできないし、ね。
それにしても新設校だけあって色んな施設が整ってるみたい。その分面積もあるから、今こうして迷っているんだけど…。
余裕を持ってやってきたつもりだけれど、このままじゃ時間も厳しい。
どうしよう、どうしよう。
なんだか泣けてきそうになって、涙の膜が張り始めたわたしの瞳にふと見覚えのある姿が映る。
その人がわたしとは殆ど初対面であるとか、案内してもらえるかだとか、いつものわたしなら悩んでしまっていただろう事も気にかけずわたしは走り出していた。
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