* 休み時間。 きっと転校生の宿命であろう質問攻めだ。 「ねーねー何処の国に住んでたの?」 「イギリスだよ」 「うお、かっけー!」 …多分、さっきも誰かに答えた質問なんだけどなー。 「でも、何だか初めの印象とは違うかも。」 「あー私も。帰国子女だからもっと近寄りがたい感じかなっていうか…」 「そうそう!」 あー…よく言われるよ、それ。 帰国子女だからもっとしっかりしてるんじゃないかと思った、 期待外れだった、みんなそんな事ばっかりだよね。 なんて思ってたら、誰かに名前を呼ばれる。 名前…と言っても苗字だ。 振り向くとさっき質問してくれた女の子…と、 「美樹!」 「よ、来てやった」 にか、なんて表し方がよく似合う笑顔を浮かべれば、 早く来い、と手招きされた。 取り敢えず周りに集まっていたみんなに、 ごめん、と理由を伝えれば、気にしないでと笑ってくれた。 …早速みんな良い人すぎる。 「クラスが近くて助かったよなー」 「あ、確かに!美樹はAなんでしょ?」 「…ん、不本意ながら。」 「なんで!?」 そう言った美樹の周りには、何だかこう… 負のオーラらしきものが漂っていた。 理由を聞けば、今朝のあの人、“跡部”と同じクラスだからだそうだ。 こう言っちゃ悪いけど…C組で良かったわ…うん。 「…お前今A組じゃなくて良かったって思っただろ」 「うわ、何、美樹ちゃんエスパー!?」 「お前が言うときもいからちゃん付け止めろ」 「酷い!」 そこまで言えば、チャイムが鳴り始める。 …まだ数回目だけど、何だか音が違う。 何が違うって…高貴さ的なあれだよ! 美樹はやばい!なんて言いながら別れも告げずに走っていった。 取り敢えずうちは手を振りながら見送って、先生が来たのを見れば、急いで着席した。 転校初日 (本当、クラスが近くてよかった) …end |