▽80.


正邦との試合が終わり与えられた
部屋へと皆で戻り
急いで身体のケアを始める。

マッサージから水分補給。

エネルギーチャージなど出来ることは全て。


あれこれよと指示を出すリコちゃんに合わせて
自分も動く。
幸い、というか誠凛は部員数が少ないため二人でも
なんとか手が回るのだ。

私は黒子君にスポーツドリンクと
軽い軽食を渡し『お疲れ様』と
彼をねぎらう。

「本番はこれからです。」と
意気込む彼に『無理は禁物だよ。』と笑う。


「これでも僕は男なんですから
 少しは恰好良く無理させてください。」

困ったように笑い黒子君は男と言うより、男の子で
「火神君お願いしますね。」と
お手洗いに向かいその後を降旗君が着いていく。

男として見られたい、そんな時期なのだろうか。
思春期の黒子君なんて少し
想像できもしないけれど可愛いなっと
思ってしまう自分が

何だか歳より臭くて可笑しくなり
苦笑いを溢しながら筋肉が冷えない様に
火神君に薄いバスタオルをかける。



「本当にバカ神は本能のままでしか
 生きられないなんて
 本当にバカ。」

と寝てしまった火神君を怒るリコちゃんを
宥めていると先ほどあった津川君とのことを
根掘り葉掘り日向君に聞かれ結局最後は
皆に

「ーっ!そういうことは早く言えドアホ!」
とか
「もう!女の子って自覚持って!」
とか
「呼んでくれたら直ぐに行ったのに。」

などなどで心配&怒られる始末となり

逃げるように更衣室を、あとにする。



『もう、リコちゃん流石に私も女だって
 自覚してるんだけどなー…。』

ぶつぶつと、呟きながら廊下をひたすら進む。


逃げたして来たのでもちろん、行く宛もない。

『…とりあえず黒子君を迎えに行こうかな。』


廊下の角を曲がりながら
男子トイレを目指していると
「よっ!」と方を叩かれる。

声と軽い口調から誰だかはすぐに分かる。

試合前で緊張してもおかしくないはずの場面で
この、明るさは彼の持ち味だと再確認しながら振り返る。


『…やっぱり、高尾君だ。』


と、私的にはどや顔で振り返ったのに
顔に手を当てて何やら悶えている。


「ちょっ、待って、落ち着くまで待って!」

と言うその顔は少し赤い。


『どうしたの?』と訪ねると
その質問にすぐに答えることなく高尾君は深い
深呼吸をし手を外す。

もう、赤くはない。


「あー…落ち着いた。俺の心拍数えらい。

 つか!なな!
 振り返り際にその顔反則だかんね!
 名前当ててくれんのは嬉しいーけどさ、
 あー、なんつーかもうその無防備なの心配だわ…。」


最後の方は萎みながら言う高尾君は
誉めてくれているのか
怒っているのか、
心配してくれているのか、

良くわからない。


けれど、百面相する高尾君が面白くて
笑みがこぼれる。

それにつられて高尾君も一緒に笑う。


「今日このあとさ、誠凛と試合あんじゃん?
 俺、真剣にやっから見ててよ。」


にかっと笑いながら高尾君は私の頭を撫でる。


『…うん、本気じゃないと意味ないからお願い、』

頭を撫でられながら答えると
「もち、まかせろって。」と再度笑い合いながら
試合でと話し別れる。


高尾君と話したことで、
すっかり黒子君を探すことを
忘れてしまいそのまま控え室に帰るも
黒子君は既に戻っていて火神君を起こしていた。



「火神君…時間です。」


「…行くか!」


「はい。」


二人が気合いを入れてる邪魔をしてらならないと
入り口で待つ。

どうやら先輩達は先に行ってしまった様だ。


「お!?ななか、行くぞ!」


入り口近くで私の存在煮気が付いた火神君が
私の腕をつかみ歩いていく










緑の彼と対峙するために。








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