▽79,


ピーと体育館に鳴り響いた笛の音と共に
始まる試合。


正邦との試合。


なかなか、はじめの波を掴みきれず
0対12と攻撃を止められたまま
先制を許している状況なのだが

それでも、徐々に機能していく
黒子君のミスディレクション。

しかし、火神君の体力の消耗の仕方が
半端じゃない。


心配に思いつつも

ちらりとリコちゃんを横目で見ると
手を顎に当てて何かを考えている様で
恐らく今の状況に
気がついているのだろう。

そんなことを考えていると
ピピーっと再度笛が鳴り響く。

どうやら焦った火神君が4つ目のファールを
もらってしまったようだ。

全くと思いながら視線をコートに
戻すと
ため息をはきつつ
リコちゃんが立ち上がる。


「ちょうどいいわ、一年二人引っ込めるわよ。
 小金井君、土田君アップ頼むわ。」


と、リコちゃんは交代の合図を出す。


「よし、なんだか久々な気ぃすんなつっちー!」

出された二人はというとノリノリで
カラカラ笑う小金井君になごみつつ
『頑張ってくださいね、』
と声をかければ「おうよー!」と
満面の笑みで返してくれる。

だが、それとは裏腹に
少し不満げな火神君を必死に
説得する日向君。


二年生の意地。


そんな言葉をふ、と思い出す。




ベンチに下がる黒子君達と入れ替わる際に
ハイタッチしながら二年生二人が
コートに入って行く。


やっぱり最近少し逞しくなった様な
気がする二年生に自然に笑みが出る。

そんな中、なんだかコートの中で
日向君が津川君に怒っているような
そんな気もするが気にしない。

だって、もの凄く津川君がこちらを見ているから。


その視線に先日のことを思い出し
出る冷汗をそっと拭う。



そんな私の知らないところで
黒子君が津川君を睨んでいることなんて
露知らず。



始まった試合。

元々二年生中心のチーム。
黒子君と火神君が抜けて火力が
下がった分安定力がぐんと上がる。

二年生が奮闘している中
小金井君がアウトコースを転がるボールを

追いかけ失神。

その代わりに黒子君が入れ替わり
コートに入って行く。

しかし点数自体は差が大きく開くわけでも
縮まるわけでもなく
決定点にはならない。

けれど皆、焦るわけでもなく
変わらず正邦の人たちと口論している。

その中でも
冷静さに欠けていない黒子君は
あっさりと津川君を抜かして行んだけれど。

彼の意地か本領発揮といったところか。


唖然としている津川君の様子は
コートの外からもはっきりと確認できるし
だんだんと日向君たちが正邦の動きに
戸惑わなくなっていて

スムーズについていけている。

体が慣れきた、


というのも大きいがコレが日向君が提案した作戦。


古武術。


古の技。

独特、特殊ということは
クセがあるということ。

そのクセを逆に活かせないか?
といった発想のものだった。


しかし、結果として
後半から慣れてきてからは
点数の追い上げが早かった。

現に

「「逆転!?まじか!!誠凛追いついた!!?」」


その、歓声のあと日向君がシュートを
決めて終了のホッスルが鳴り響く。

一瞬静まった会場から
熱い声が響き渡る。


73−71

誠凛高校の、勝ち。


喜ぶ誠凛に相反して
悔しがる正邦。
津川君は「どうしてだ。」と喚き散らす。

それを三年生が宥める。

その姿は悔しさや達成感などを
感じられる。

彼もまた、本気だったのだ。


整列する皆を見るリコちゃんは
少し涙ぐんでいる。
そんな、リコちゃんの頭をスッと
撫でる日向君に少し口元が
ゆるんでしまう。



さて、次は秀徳高校。





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