▽42.








さてはて、学校も、部活も、一人暮らしにもなれてきた。


それに加え、大雨が降ったりだとか
近所で変質者が出ただとか

そんなことが、おきると
決って今吉君と花宮君から大丈夫か?
のメールが入るのだ。



まあ、私が一人暮らしだと、知っているからだろう。





もちろん、あと一人このことを知っている虹村さんも
心配をしくれているが
一人暮らしということは明かしていないため
さほど過保護、と言うわけではない。


言ってしまうと過保護になりそうで言えないというのが
正直なところだが。








そして、現在放課後in図書室。

今日は体育館のワッスクがけのため部活はお休み。

ストバスへ行こうと誘ってくれた青峰君達に
すまない、と断りを入れ図書室に来ている。



今後の皆の出来事を覚えている限り書き起こそうと
思ったのだ。





しかし、いざ書き起こそうにも
時系列が頭の中でぐっちゃぐちゃとなっており
良く思い出せない。




『…とりあえず、黒子君が一軍にきて
 黄瀬君も一軍に来て灰崎君ともちゃもちゃして

 灰崎君退部して、

 えーと、赤司君が主将になって、
 青峰君がぐれる?

 いやいや、なんかいろいろすっ飛ばしたかな?』



考えてもこれ以上は思い出せない。



『何か他に大切なこと…』



バスケ部の顔を一人ずつ思い返す。
キセキの世代は青峰君を先頭にぐれだすから
しっかり見とかないとと

見てはいる。まだ、大丈夫だ。
一年生だし。


『青峰君、赤司君、相沢君、浅岡先輩、…』

ととりあえず思い出せるメンバーを
あいうえお順に呟く。


最後まで言いきるが思い出せない。


『あと、主要な人ってだれだっけなぁー。』


と悩んでいると横から
「白金監督じゃないでしょうか?」
と声がかかり驚く。

見ると声の主は黒子君だ。


『黒子君っ!!』



何冊かの本を手に持ち整理している様に見える。
そうか、彼は図書委員か。



「すみません。先程からぶつぶつとバスケ部の名前を
 一人ずつおしゃっていたのが
 聞こえてきまして。

 …僕の事知っているんですね。」


と、黒子君も少し驚いている。



『ごめん、うるさかったよね?気を付ける。

 もちろん知ってるよ!
 同じクラスだしバスケ部だもの。』



と言うと少し嬉しそうに微笑し「そうですか。」と
本の整理に戻る黒子君。

けして主人公ですからとは、口が裂けても言えないが。


しかし、黒子君の白金監督と言う言葉で

大切なことを思い出す。

そうだ、彼が倒れてから狂いだしたのだ。
いや、狂いだしたのに歯止めが効かなくなるのか。



『白金監督…か。』


だか、要点がわかれども、
どうすればいいのか分からない。


直接、白金監督に貴方は病気で倒れると言うか?
いやいや、それではただの電波的発言で
マネージャーを辞めさせられるかもしれない。


なら、赤司君の主将昇格を伸ばし…だめだ。
それでは虹村さんの負担になる。

彼はなにかしら理由があって主将の座をおりたはずだ。


八方塞がりとはこのこと。


仕方ない。

とりあえず今日は病院に行かなければいけない日なので
荷物を纏め図書室を出る。

もちろん、黒子君に『お疲れ様!また明日ね。』
と声をかけて。










病院に着くと軽い問診し、薬をもらい
病院の中庭でぼけーっと座っている。

入院時も、良く中庭のベンチにいたものだ。



事故のあと、ほとんどの傷は跡形もなく消えて
問題ないのだか
肩の傷だけ痕に残ってしまっていて

医師にも不可思議だと言われている傷口がある。


それは交通事故では出来えない鋭利なもので刺されている
そんな感じの傷口だ。


私はこの傷を、勝手にあの不思議な体験をした際についた
傷が反映されたものなんじゃないかな?と思っている。



その傷は私が秋山ななとして皆と関わった証であり
私にとっては特別な傷なのだ。


むしろ、このまま消えないでほしい。



そんなことを考えていると

ふと、視界の先で捉えた人影。
考えていた人物。


思わずベンチを立ち上がり。
無我夢中で追いかける。


まさか、会えると思わなかった。
しかも病院という場所で。


そう思いながら走った先にいたのは












白金監督だった。
















『…っ、監督!』


病院内でないことをいいことに
少し大きめな声で監督を呼び止める。


驚いてはいたものの
「浅葱か。」と立ち止まってくれて。



息を整え少し冷静になる。


あれ、ここで引き留めて何をどう切りだそう。


『…監督も、ここに通院を?』



ちょっと、いきなりすぎたかな?と

思うも口から出た言葉は訂正できない。


監督は考えるような素振りをし
近くのファミレスを指差す。



「浅葱君は一人暮らしだったね?よかったらご飯でも
 一緒にたべるかい?」


まさかの、切り返しに驚きつつも
監督ファミレスとか入るの?、と笑ってしまいそうになる。



『そうですね、ぜひ。』

と笑えば意外と優しく笑いかけてくれて
更に驚いた。





一度席に着くと、何を話していいのか分からなくなり
押し黙る。

とりあえず、監督がハンバーグという可愛いのを
選んだことに関しては突っ込まない。



「私が通院しているか?…だったね。」



と、いきなり監督から話を戻され『はいっ!』と
上ずった声で返事をしてしまう。




「少し悪いところがあってね、数年前から通院しているよ。
 院長と知り合いと言うこともあり

 君の事は学校に来る前から知っていた。


 有名だったよ。あの大事故の被害者で
 記憶喪失と騒がれていたからね。」



まさか、自分が知らない間にそんな話が
でかくなっていようとは
思っても見なかった。



『そうだったんですね。そんな騒ぎになっていたなんて
 知りませんでした。』



「まあ、そうだろうね。君は目覚めたばかりだっただろうし。

 ……それより君は何か言いたいことが
 あったんじゃないのかな?」



突然確信をつかれ、どきりとする。

なんて、言えばいいのだろう。

言い方に思い悩んでいると
運ばれて来る料理。

美味しそうな湯気も出ている。


料理を見つめながら小さく息を吐き出す。
ここで言わなければ…と、




『…赤司君をはじめとする一年生の数人には
 周りからは頭2つ分ほど抜きでて才能が目立ちます。

 それは、白金監督も薄々はご存知ですよね?』

数人と濁したのは、まだ黄瀬君が一軍に来ていないため。

白金監督は黙って次の言葉を待ってくれている。
肯定とうけとっていいだろう。


『彼等はまだ幼いから、その抜き出た力を
 押さえることも
 また、それによって生まれる感情のコントロールも

 誰かが纏めて受け止めて、止めてあげないと
 出来ないと思うんです。


 白金監督。


 凄く失礼だということは、わかっているんです。

 でも、どうか無理をしないで
 休めるときに休んでください。

 一番大切な時に貴方がいないと困ってしまいます。』




一気に話し一息つくも、もはや手遅れなほど電波な
話をしたきがしなくもない。

ヤバイと思い監督の顔をチラリと見ると

困った様に笑っていて



「…とりあえず食べるかね?」
と料理に手をつける。

私もあわてて自分のを食べ出す。



「君は不思議な子だね。
 まるで未来を見てきているかのようだ。」


ふと、白金監督が呟き
再度胸がどきりとする『そうでしょうか?』と笑うも
うまく笑えている自信はゼロだ。


「君は現状を虹村には、纏められると思うか?」


ふと、投げ掛けられた疑問に
どうゆう意味か分からず首をかしげるも

白金監督は私をじっと見つめていて本気なのだということは
伝わってくる。





『私は虹村さんと、白金監督…この二人にしか
 纏めれないと思っております。』


そう、言うと少し間をあけて



「そうか。検討してみるよ。」




と真剣な面持ちで私をみて小さくコクりと頷く。
とりあえずは怒られなくて良かったと
安心するも今後の展開の予想は出来ず


不安はとりのぞかれないのだった。














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