▽41.





教室での授業は一度やったことあったが
いざ、やり直す形になると

凄く身にはいって理解ができる。

自分自身そんなに頭が悪いとも良いとも思ていなかったが
こうやって勉強していると

頭よくなったんじゃないか?と思うが

教室では小テスト常にクラス一位の緑間君が横に居るため
それは、まやかしだと直ぐに気づく。


『緑間君の頭はさ作りが違うよね。こう凡人と違ってさ。
 ……私もラッキーアイテム持とうかな。』




「ふん、馬鹿め。ラッキーアイテムとはあくまで
 人事尽くす為、運気を補正するためだ。

 持ったとしても良くなるのは
 ほんの少しだけに決まっているのだよ。」


と、小馬鹿にされる。
くそう、今すぐ高尾君を探しに行こうかしら。全く。


『緑間君…酷い。いつも、ドリンク作ってあげてるのに。
 わざわざ、書いて寄越してきたレシピ通りに
 作ってあげてるのに!』



そう、緑間君は私とさつきちゃんの作るドリンクに対し
今日は薄いだの、濃いだのと
毎日小姑の様に言ってきて、しまいには分量のレシピを
渡してきたのだ。


しかし、いざ作ってみると本当にこれが良い感じで
美味しくて皆の物も真似する様になったのだが。



「貴様はマネージャーだろう。作るのが当然なのだよ。」

とブリッジをくいっとあげる。


『駄目だよー?そんなんじゃ将来、亭主関白なっちゃうよ?』


と頬付きながら緑間君を見るも

クラスには笑いがおこり「夫婦漫才かっ!」と
突っ込まれる。





『えー、店主関白な旦那はなぁー…。』

と言うと更に笑いが増す。



「なっ、!!何を言っているのだよっ!!」
と一方で緑間君は照れている。


彼もこの手の話しは無理だったなと思う。が
面白いのでまあいいか。





そんな感じで教室での学校生活はなかなか楽しい。



まあ、緑間君とのやり取りは完全に見せ物になっているが。








ちなみに女の子の友達もとい男の子の友達も
物凄く仲の良い子はまだいない。

というか、とてもじゃないが作れない。

嫌いとか、好きとかではなく

やはり精神年齢ってのは大きく一瞬の付き合いは可能でも
長時間の付き合いは厳しくて。





お昼はいつも、学校見学で見つけた体育館の見える
人通りの少ないベンチで食べている。


本当に人が通らない所が魅力だ。

また、お昼は体育館の自主練習は大会前などしか
やっていないのか静かとても快適。



『はー、寝ちゃいそう。』

と食べ終わったお弁当箱を片付け
紙パックジュースにストローをさす。


すると突然背後から



「なんなら、そのまま襲ってやるけど?」

と、声がかかり驚いて振り向くと
灰色の男の子がいて。

にやりと笑うその顔はどこか寂しそうにも
見えなくはない。



『…地毛?それ?』


皆も、もちろんそうなのだが本当に地毛なのか?と
疑いたくなる様なカラフルなメンバーに
驚きは隠せない。

髭とかどうなるんだろう…いや、考えたくないな。




「ぶっ!まさかの返答だな。…横良いか?」

と良いとも返していないのに座る灰色君。



『だって、色素が薄くて綺麗じゃない?羨ましいんだけどもさ。』



「あぁ?別に良かねぇよ。目ぇつけられるし
 女は腐るほど寄ってきてうぜぇし。」

なんて、かなり失礼なことを言いながら
欠伸を噛み殺しもしない。



『もてる男は辛いーって、こと?贅沢な悩みだね。』


私も灰色君の欠伸が移ってしまうが、ちゃんと噛み殺す。


「あー、まぁな。でも人の物しか興味はねぇ。」



うわー、最低発言しましたよ。と思いながら
ジト目で見ると、何故か笑われて。



「お前変なやつだな。俺に対して女がその態度とは。」



『いやいや、普通だよ、普通。』


と言えば再度影をおとす灰色君。




「そうでもねぇさ普通なんてよ。
 …俺、灰崎よろしくな。」


そう言うと灰崎君はベンチから立ち上がり
ぐいっーと背伸びをする。


『こちらこそ、よろしくね。私は「ななだろ?」』


私が名乗る前に名前をいってくる灰崎君に
驚くも




「あー、あれだ。虹村…じゃねぇ主将が
 何かとお前のことかまってるだろ?

 俺も今日から一軍入りだからよ。

 仲良くやろーぜ?」

と笑う灰崎君はいったいどこまで本気なのか計り知れず。

「また、来るわななちゃん?」
と私の紙パックジュースを奪っていく灰崎君は
見た目はただのヤンキーにしか見えなかった。











そのあと、授業が終わり部活へ行くと本当に灰崎君が
一軍入りしており

『うわぁ、ほんとにいるよ。』

と心の中で呟いたはずが声に出ていて

「うわ、とか酷くね?」と灰崎君が茶化してき
『いや、人のジュース盗ってく灰崎君が酷いよね?』と

肩パンチをくらわす。



「痛ぇ。折れたかもしれんね。おい、責任とってねろや。」


と私の腕を掴み、ずるずると体育館を引きずられる。


『ええー、なにその急展開!理不尽ー!
 それに、旦那は緑間君だから駄目だよ。』



何気なく今日の授業の話を逃げ道に灰崎君に言うと
静まり返る体育館。


「は?緑間?」と何やら真面目に返す灰崎君。
それは、皆のも同じなようで青峰君が

「え?お前緑間と付き合ってんの!?」

と騒ぎだし、おいおいそんな騒ぐんじゃないと
思う私を他所にさつきちゃんが

「え!そうなの!みどりんと……考え直した方がっ!」
なんて、本音を漏らすもんで


「桃井!それはどうゆうことなのだよ!
 それに、そもそも俺は誰とも付き合っていないのだよ!!」


と顔を赤くして否定する緑間君。
初だねぇ?とほほえましく笑っていると

シュートをするかまえをとる緑間君。


『…え?、待って!待って!嘘だよね!?』
と言う私の声は緑間君に無視され

「俺のシュートは絶対落ちんっ!」


と綺麗なフォームでボールを放つ。


高めに打たれたボールはまっすぐ私の頭に落下。




『痛い!そして酷い!』



と、抗議するも
「ふん、人事を尽くした結果なのだよ。」
と鼻を鳴らし何時ものように眼鏡のブリッジをあげる。

すると、黙って見ていた赤司君が爽やかにくすりと笑い
「まるで、夫婦漫才のようだね。」
と突っ込み場を沸かせた。


もちろん、そのあと「おめぇら!真面目に練習しろ!」
と皆で虹村主将に怒られたが

皆笑顔で練習に戻っていき良かったとおもう。



いつまでも、こんな馬鹿なやり取りが
続けばいいのにと思うが事実はそうはいかないことを
知っている。



関わると決めたのだ。しっかりやねば。と
気合いを入れ直す。



少しでも長く皆が皆であれるよう。






 
 

▽▲





赤司君side
















彼女は不思議な人だと始めに思った。


とても同い年には思えない雰囲気に、
周りと一線引くその態度。


しかし、自分達のことを考えてくれているという
行動の数々。



笑っているのに

どこか、寂しげな様子で物思いにふけっている
その姿が消えてしまいそうに儚くて

ぼけーっと空を眺めている彼女に
ついつい声をかけてしまう。



「今日もお疲れ様。いつもマネージャー業ありがとう。」



俺の声に気がついたのか、
後ろを振り返り『どういたしまして?』と笑っていて


「しかし、部活が終わったにも関わらず
 直ぐに帰宅しないのは関心できないな。」


そう、今は部活も終わり片付けも終わり
ほとんどの人達は帰ってしまっている状況で。


『耳が痛いです。…ちょっとね、考え事してて。』




そう、歯切れ悪そうに言うあたり
何かあるのだろうと簡単に察しがつくが。




「帰らないのかい?」



何気なく俺は聞いたつもりだったが
一瞬悲しそうに微笑み


『返るよー。』
と間の延びた返事をする彼女はここではない
どこかを見ていて



掴んだ瞬間消えてなくなってしまう、


そんな気持ちになる、




しかし、何もなかったかのように笑い
『赤司君もほら、帰ろう!』と

あるきだし


やはり不思議な人だと思い直した。
















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