▽37.








「ななちゃん、ここが貴女の新しい家よ?」


と花宮さん(母)がつれ来てくれたのが
マンションの一室、

セキュリティが割りとしっかりしている
大きめワンフロアーの部屋でなかなかお高そうだ。


しかし花宮さんいわく中学生の一人暮らしなんて
危険極まりないので
セキュリティが厳しいところを選んだ結果なのだとか。



しかも、このくらいの家賃なら
無事相続できたお金で大学卒業まではバイトしなくても
余裕だそうで。


まあ、私が施設には入りたくないと
わがままを言ってしまったのだけれど。





「一通りの家具も揃えてみたわ。
 なにか必要なものがあれば足していってね?」


と言われ見渡すと、
ベット、テレビ、机、冷蔵庫、カーテン

何から何まで揃えていただき
今すぐ住めるといった感じだ。

「ちょっと大人っぽすぎたかしら?」

と部屋を見渡した花宮さんは困ったように笑う。
確かにシックな色合いで全体的に大人っぽいが

『私はこちらの方が好きです。』
と答えておく。
実年齢は大人なのだから問題ない。







手荷物自体はあまりなかったので
バックひとつの荷物。

猫を被らなくなった花宮君(真)とは
結構仲良くなったので離れるのは少し寂しく感じられ


『寂しいね?』と言えば


「また、来ればいいじゃねぇか。」
と通常通りツンツンで。

また、中学については掛け合ってくださったそうで
ひとつ私立の中学校が受け入れてくれるとのこと。

学費については、なんだか良くわからない
手当てがついて
かなり安くなるんだとか。


その事も含め花宮さん(母)が料金計算してくれて
無駄遣いしなければ
大学卒業まではこちらも大丈夫だそうだ。

その時、すごい額をもらったんだと実感して
少し冷や汗がでた。





本来は誰か第三者が料金の把握をするそうなのだが
今回、私がしっかりしている。との理由で
すべて私に一任してくれていた。


『本当に何から何までありがとうございます。』
と、真新しい部屋でペコリと頭を下げる。


「いいのよ。」と言いながら
一冊のパンフレットを手渡される。



「ここが受け入れてくれた学校よ?
 来週に一応遅めの実力テストを行いたいそうだら
 確認しておいてね?」

と言われページをめくったところで手が止まる。



開いたページの見開きには
なぜなら、帝光中学という名前が記載されていたのだから。













▽▲













あれから、日がたつのも早いもので
実力テストを行いに帝光中に来ています。

え?中学校ってテストあるの?と思ったが
私立ならでは。

入学テスト、というよりか
実力確認。といったところだ。

まあ、入学試験があったのなら
青峰君は間違いなく入学できないだろう。

偏見だけども。








とりあえず事前に携帯で学校を
調べていたこともあり

何とか迷わず来れた。
家からも、さほど離れていないところを見ると
花宮さんが考慮してくれたのか?と思う。



学校自体は本日休日ということもあり
部活生の声しか聞こえない。

うーん、青春なこんな感じ、懐かしい。






校内に入ると職員室を探すべく歩く。

因みに私服では目立ってしまうため
白のシャツ軽めのカーディガンしたはタイトスカート。

お育ちの良さそうな雰囲気だけかもし出す。
実際はそうでもないので。



職員室は案外簡単に見つかり軽く面接のようなものをし
一つの教室に通されテストを行う。

この日のために勉強のおさらいはした。


久し振りで出来るか心配で
引っ越したあとも花宮君に何度か勉強を見てもらった。

途中意地悪でドリルと言われ花宮君の宿題を
やらされたのは驚いたが




しかし、花宮君から言わせれ勉強面は問題ない。
と太鼓判を押されたので安心だ。


だか、小学六年までの内容なので
壊滅的では恥ずかしい。






すべて終わると一礼し、教室からでる。

教員からは「落ち着いていて礼儀正しいね。」と
誉められ好印象だ。


よしよし、と思いながら校内を歩き下駄箱に向う。


4月からここに、皆と通うことになるのか、と。
何だか不思議な気持ちだ。




しかし、まあ不思議な体験をしたのも帝光だったし
どちらかと言えば懐かしい感じだ。




そのまま帰れば良かったんだけど
懐かしさが勝り校内をうろうろしたい気持ちにかられ

少し歩き回る。


中庭もでかいなぁー、と思いながらぼけーっと歩く。


奇妙な体験をしたときは空が赤黒く
周りの景色を楽しむことが出来なかったが
校内は広いし、なかなか楽しい。





『おお?中庭にベンチがあるんだ。』


中庭の人目に付きそうにない場所に
ポツリとあるベンチ。

人通りも少なそうでとても居心地がよさそうだ。





ここから校舎奥の体育館も良く見える。




すると、



「あれ?君どこの子?」

と軽めの男の子、二人組が声をかけてくる。



見た目からして制服なので部活生ではない。

補習か何かの帰りだろうか?


グイグイと来る男の人達にたじろぎながら

『学校見学ですけど…。』と
距離を取るも詰めてくる。


「え?何?照れてるの?可愛くない?」

となおもグイグイくるので

『照れてません、可愛くありません、近いです、』
と私は出来るだけ冷たく言うも

嫌がってることに気がついていないのか
はたまた、嫌がってるのを喜んでいるのか。


しまいには、手を掴んでくるものだから
嫌悪感が走る。





『ちょっと、止めてくださいっ!』

と身をよじる。
すると、私の後ろから





「おい、何やってんだよ。」


と声がする。聞き覚えのある声に少し安心する気持ちと
高揚する気持ち。

男の子達は少し焦っている様子で
あんなに詰めていた距離を広くとる。







「…っに、虹村。」

男の子に手を離され振り返ることができ
振り返ると、虹村さんがいて。

ゆるいTシャツにスポーツ用のハーフパンツ。

右腕にはバスケットボール。




「だから何やってんだよって聞いてんだよ。」



少しドスの効いた声で言う虹村さんは

それはそれはヒーローと言うよりヒール役なんじゃと
思うほど怖かった。







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