▽36.







とりあえず、1ヶ月間花宮家に
お世話になることとなりました。

とんだ急展開です。
驚きを隠せません。


あのあと判明したのは今は1月と言うこと。
まだまだ寒い時期です。
え?時系列?良く知りません。


花宮さん(母)は私の年齢について
おぼえているか?と言われたが
誕生日はわかっても

歳まではわからない。


だって縮んでいるし。


分からないと、正直に伝えると
少し悩み中学から通ってはどうだろう?とのことだった。

理由が理由なだけに将来、学歴を問われ
小学がないとしてと
中学からは履歴として必要だろうし


外見から高校生?には見えないとのこと、

いろんな学校にも事情を話して掛け合ってくれると
言ってくださり本当に頭が上がらない。



「じゃあ、俺がひとつお兄さんになるね?」

と花宮君(真)が、言う。
彼は今中学一年生だそうだ。

中学一年で出来上がってる腹黒さ。
ひしひしと空気で伝わる。


そういや、この時点で花宮君は今吉君と 
出会っているんだった。


全く時間も場所もごちゃごちゃな所に来てしまったと
思うも、あの時水色の中で何かあったのかもしれない。



と言うことで
時間がたつのはあっという間、私は今花宮家にいます。

病院代について婦長がたてかえてくれるとのこと。

正式に遺産相続したらちゃんと払わないと。


「私はお仕事残ってるから真あとはよろしくね?」

と花宮さんが家を出ていってしまい
なんとも気まずい。

花宮君(真)はお母さんの前では優しい青年で
ぐれていない。

「分かったよ。母さん。」
と二人でお見送りして





はい、来ました沈黙。


「………。」


『………。』



とりあえず何か話題を探さないとと思い
キョロキョロすると
あるじゃないか!君の家にもバスケットボール!と
思い思いきって話しかける。




『花宮君はバスケするの?』


そう尋ねると少し難しい顔をするも
本当に一瞬のもので直ぐに笑顔に戻る。



「ああ、するよ?興味があるの?」

花宮君はボールを手に取ると
はい、と渡してくれる。

バスケットボールは模様がすり減り
凄く練習していたことがわかる。



イメージ無いな真面目に練習してる花宮君。
いや、負けないために練習はするのか。
プライド高そうだし。


『…練習してるんだね。』

とポツリと溢せばピクリと動く眉。




「練習していないように見えるかな?」

あ、地雷踏んだかな?と思うも
ずいずいと花宮君が近寄ってくので


『えっと、』と誤魔化す。

君のが性格が腹黒いからとは言えない。



『ば、バスケをしてる姿が想像出来なくて!』
と誤魔化す。


それでも、怪しそうにこちらを見るので
ついつい

『み、見せてよっ?』と
この口が言ってしまう。

そして、再度来る沈黙。


断るかな?と思うと「いいよ。」と言われ
玄関へと向かう花宮君。

『ええー!いいのかよー!』と心の中で叫び
テトテトと着いて行く。

ほら、と言われ家を出ると
近くの人気の無いストリートバスケの出来るところに着く。

行く最中、「バスケの経験ある?」と聞かれ
『あんましないや。』と答えておく。



バスケットコート入ると軽くダムダムとドリブルすると
シュッとボールを投げ入れる。

うん、綺麗だ。
人のを見てるとちょっとテンションが上がってきた。


『すごい!キレイだねっ!』

と手を叩く。
花宮君は少し満足げで「やる?」とボールを
こちらに投げてくれる。

バスケなんて久し振りで
出来るかな?、と思いつつ見よう見まねで
ネットに向け投げる。

ネットの枠をくるくる回り
落ちるか落ちないか分からないところでストンと落ちる。


入ったことが嬉しく更にテンションが、上がる。


『入ったよ!キセキだ!』
と年甲斐にもなくはしゃぐ。


つい、うっかり花宮君に駆け寄ると
コートの入り口から聞き覚えのある関西弁が聞こえる。

その声に一瞬どきり、とする。


「あれ?花宮やないか?女の子と一緒やなんて
 珍しいこともあるもんやな?」


振り返ると、これたま少し幼い今吉君がいらっしゃる。



バスケットボールを持っているところを見ると
彼も練習に来たのだろうか?

花宮君は私が居ることを忘れてしまったかのように
ちっと彼らしい舌打ちをする。




「なんで、あんたがここにいるんだよ。」

今吉君は笑顔を崩すことなくこちらに歩み寄る。



「なんでや言われてもな?部活が休みやったから
 動こう思うてな。

 そちらのお嬢さんは?」

ちらりと今吉君こがこちらを見る。



『あ、秋山…じゃないや。
 えっと、浅葱 ななです。

 今日から花宮君の家で少しお世話になることになってます。』



と言えば「ああ、」と納得する。

「昨日言いよった子か。えらく大人っぽいやね自分。

 ななさん?なな?浅葱さん?」

とこてんと首をかしげる今吉君、可愛い、




『名字はまだ慣れてないから名前でお願いします。
 年も私が下なので呼び捨てで大丈夫ですよ?』

と言えば、「そうか?ほな、ななって呼ぶわ。
ワシにもそない堅苦しい敬語使わんで大丈夫や。」

と言ってくれたので『うん!』と返すが
流石に今の状況で今吉君とは呼べないので今吉さんと呼ぼう。

花宮君は花宮さんとは呼ばないが。




「で、あんたいつまでいる気なんだよ?」
と花宮君は不機嫌だ。



「そない邪険にせんでーや。ほら、ななも
 びっくりしとんで?」

と話をふられる。どきりっとするも
えへへ?とおどけて見せたら花宮君からまさかの一言。



「こいつには始めっから猫かぶってんのバレてんだよ。」



『え!気づいてたの!?』というと
「バレバレだばぁか!」とおこられてしまう。


「なんや、仲良しさんやないか。」と
今吉さんが、笑う。

どうやらバスケットコートに連れて来たのち
話をしようとおもったらしい。


「つか、あんた主将だろ?こんなとこで
 練習してていいのかよ?」



「あー、ええねん別に。
 あと一年は楽しゅうバスケできそうやしな?」
とニヤリと笑う今吉さん。

確か、気に入らないレギュラーメンバーと監督を
今吉さんがやめさせたんだっけ?



そんな今吉さんに盛大に舌打ちをする花宮君を見ると

なんだか、懐かしい。そんな感情を呼び覚まし
ふふっと笑ってしまう。

それに気づいた二人がハテナマークを浮かべていて



『ふふっ、ごめん。なんだか面白くて。』
ヤバイ。涙も出てきた。

ぎょっとする二人を他所に涙は出てきて

自分の中で、突然な多くの出来事に
理解はしても感情はついてきておらず

不安定だったのだと。気付く。




やれやれと花宮君は慰める訳でもなく
ただ泣き止むを待っていてくれて
今吉さんが、よしよしと頭を撫でてくれていた。





しばらくたって泣き止み
今吉さんと花宮君の1or1を堪能し

花宮君と家路についた。









これをきっかけに三でバスケの練習を
花宮家、滞在1ヶ月の間続くとは夢にも思わず

また、1or1が暇になったからと
二人からのスパルタバスケ指導が入ることも

知るよしもなかった。


しかし、かなり二人とは仲良くなり
花宮君も名前で呼んでくれるようになったのは
すごい進歩だ。


あと、あとから花宮さん(母)が用意してくれた
携帯に花宮君と今吉さんの1or1の様子を写真におさめ

一生の宝だと思った。












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