▽60,






黄瀬君に暴言を吐かれて早、数日。

昨日は虹村さんとあんな話をして気まずくなるかと
心配したがそんなことは無く安心して今日を過ごしていた。




また、今日は黄瀬君と黒子君

あとさつきちゃんが二軍の試合同伴しているとかでおらず


寂しい気持ち反面ほっと胸を撫で下ろした記憶はまだ新しい。








しかし、今日はどうだろうか。


部活に行くと、いつの間にか
「黒子っち」と黒子君を呼ぶ彼に驚き
遠目で見ていると

こちらに気づきかけよってくる。






それを、半分状況反射で私の体は逃げてしまいそうになるのを

なぜだか信じていた、さつきちゃんに止められる。


『さ、さつきちゃん!?』と言えば
「ちょっと待ってて。」と言われ逃げずに止まる。


すると黄瀬君が勢い良く頭を下げ




「この間は……ごめんっス!」

と思いもよらない言葉が黄瀬君から紡がれ驚く私。



「黒子っちのこともそうっスけど、
 アンタのことも勘違いしたみたいで

 昨日桃っちに怒られちゃったっス。」

と笑う黄瀬君。横でさつきちゃんが
「本当に、きーちゃんが悪い。」
と未だ怒っていて。







「ううっ。だから悪かった謝ってるじゃないっスかー。」

と涙目で訴える。


近くにいた紫原君や青峰君、緑間君は
何のことだ?と聞いてきているが

私はあえて何も答えない。

しかし、昨日一緒に内容を聞いたであろう黒子君が



「黄瀬君が人間性を疑うような酷いことを
 ななさんに言ったんです。」

と言い放つので再度落ち込む黄瀬君。



『もういいよ。謝ってくれたし誤解が解けたなら
 それでいいから。』

と黄瀬君に助け舟を出す。

すると「ななっちー!!」と
黄瀬君は嬉しそうに顔を上げる。




『だから、ほら三人もう追求しない。
 …私も生意気言っちゃったもん。』

なんて笑って言えば


「本気で怒るななちんとかレアじゃんね?
 見てみたかった。」

と逆に追求され失敗したと肩を落とした。





その後、皆で帰ることになったのだが緑間君だけ
赤司君に用事があるとかで

赤司君と緑間君抜きで帰ることに。


しかし、そのときにあることに気がついてしまった。



あれ?さつきちゃん?


黒子君のこと見てどぎまぎしてる?

そう思いさつきちゃんに
『黒子君と何かあった?』と聞けば


「べべべべべべ、別に!!」と後ずさる。


ものすごく怪しいが、
『そっか?』と笑えば

「…もう少し気持ちが落ち着いたら聞いてくれる?」

と顔を真っ赤にして言うさつきちゃんは
恋する乙女そのもので可愛かった。


こんな感じで久しぶりに穏やかな時間を
過ごしたばかりであったのに








次の日に部活に行くと灰崎君が退部していた。








それを聞いた黒子君が走って灰崎君の後を追うが
…見込みはなさそうだ。

確かに彼は素行が悪かった。

でも、バスケが好きだと言うことは伝わっていし

サボることも多かったが何だかんだで練習はしていた。




だが、本当に自己退部を彼が

このタイミングでするだろうか?



黄瀬君という同じポジションの天才が入ったこの状況で。






考えれば考えるほど複雑な気分だ。


しばらくして黒子君が帰ってくるも、
やはり上手くいかなかった様で肩を落としていた。

誰よりも仲間を思いやることの出来る黒子君は

良くも悪くも切り捨てる。

という選択肢はどんな状況であってもないのだろう。



甘いと言われれば、それまでだが。




そんな彼の性格で救われる人も居るのだ。
私は嫌いじゃない。




『…とりあえず練習しよっか?』

と声を皆に声をかけ練習を再開する。


いまだ肩を落とす黒子君の背を押して。





そして、一度加速しだした流れは止まることなく

今度は練習の指揮が真田コーチから白金監督へと変わり
主将が虹村さんから赤司君へ変わる。


また、最近皆のバスケの調子がすこぶる良いのだ。


特に、緑間君、紫原君…青峰君。



正直、最近私も気が気ではない。
確か私の記憶の中ではこのあたりから
チームはバラバラになったはず。

詳しくは思い出せないが、
それぞれきっかけはあった。


私は、そのときどうしたらいいのだろう。


と考えていると
赤司君が何かに気づき私の元に来る。

「何か不安そうだね?僕が主将では心もとないかい?」

と微笑まれるので直ぐに

『ううん。そんなんじゃないの。
 赤司君が不安なわけじゃなくて…そうだな。

 周りのほうが不安だな。』

と練習している皆を見れば


「確かに。最近は個々の能力が目立ってきたが
 喧嘩はいつものことだろう?」

と赤司君に言われる。
確かに赤司君の言うとおり喧嘩はいつものこと。
言い合いなんて日常茶飯事。

でも、やっぱり帝光中という雰囲気が
選手を彼等を殺しているような

そんな気がしてならない。

勝利への執念からか。


『…個々の能力か。確かにそうかも。
 ごめんね考えすぎなのかもしれないや。』

と赤司君に笑いかけ

『ちょっと二、三軍も見て来る。』


と体育館を後にした。











『さ、てと。こっちの様子はどうかな?』

と二軍の体育館を覗けば、そこは修羅場だった。




なんというか殺伐としていて二軍のコーチに対して
一人の選手が殴りかかろうとしていた。

それを皆で止めている。そんな状況。


二軍マネージャーの女の子達は怖がって下がっている。




「ーっ!!!二軍だから、なんだって言うんだよ!」

とコーチを引っ掴んでいる子が叫ぶ。


この声は水色君だ。


慌てて二軍の体育館に入り水色君を抑える。

『何がどうしたんですか!?』

そう言いながら二人を止めると
バツが悪そうに水色君がコーチから手を離す。

掴まれていた胸倉をコーチは押さえ皺を直しながら



「…君は確か一軍の。」

と私の顔を見て思い出した様につぶやく。

話はこうだ。





練習中の出来事でついコーチが選手の失敗を見て
「これだから二軍は。」と
失言をしてしまったようで



それに水色君が怒った。

と言うことだ。


これに関しては、まず間違いなくコーチが悪い。

『指導者であろう人がそんなことを…。』
とつい呟いてしまった私にカチンと来たのか

コーチが「君に何がかわるんだ?」と
吐き捨てられてしまう。

しかし、その言葉にカチンと来たは私も同じで

『何も分かりませんが水色君が腹立てた理由くらいは分かります。

 このことに関してはいち生徒の私が
 コーチにどうこう言う権利は無いので
 しっかり白金監督へ報告させていただきます。』


と頭を下げ体育館を出る。

去り際に見たコーチの顔は真っ青だったが知るもんか


と思い一軍体育館へと戻ったのだった。





























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