▽52.






この世界に来て初めての学校行事。

ドキドキわくわくの学校行事。



因みに今年は体育祭だ。


私は科目として借り者競争と二人三脚。
後は全員参加の100メートル走。

フリー種目の借り物競争は

文句が無いよう、くじで決めたのだが悪運強く
私は引いてしまった。


因みにフリー種目のなかには

借り物競争

騎馬戦

玉入れ

タイヤ争奪

綱引き

棒倒し

などがありマンモス校のため皆を出すとなると
一日では終わら無い。

なので一人一項目以上、三項目までと

決まりがあるそうだ。


しかも、借り者競争は毎年悪魔の競技とされていて
誰もやりたがらない。



理由としては、借りてこなければならない者が
名前の通り人物と言うことと厳しい条件の物が多く
ネタに走っているんだとか。


だから公平にくじで決めたのだが

引いてしまったのでしょうがない。


出来るだけ難易度の低い物が来るよう願わないと。

あと、もう一つの学年別競技の二人三脚は

もちろん私は緑間君と。


なぜ、もちろんかと言うとクラスの中では何かと
セットにされるのだ。



夫婦漫才組として。



そして、当日緑間君から渡されたのは
小型のアラーム式時計。

しかも、時間になると「ここだ!急げ!」と鳴るのだ。
この、チョイスの意味がわからない。

「これは、貴様の今日のラッキーアイテムなのだよ。
 貸してやるから足だけは引っ張ってくれるなよ。」


と言い残し去っていく彼を見つめながら


『あれ?誕生日教えてたっけ?』と悩んだ。










そんなこんなで始まった体育祭。


不安しか感じないがせっかくだし
楽しんでいこうと、意気込んだ。




『始まったねー。体育祭。がんばろうね!』

と黒子君の横に行き話しかける。


自分のクラスのブースであれば基本どこに座ってもOKな為
黒子君の横を陣取る。

黒子君も嫌な顔しないし良いだろう。



クラスの一部のあほ共からは
「緑間ん所じゃくていいの?」
なんて心配されたが


『いいの、緑間君の横だと息がしづらい。』
と答えると確かにと何人かの男子が笑う。

なぜなら、体育祭が始まってからというもの
緑間君は呪文のように

「赤司に勝つ、赤司に勝つ。」

とぶつぶつ呟いているのだ。

怖いじゃないか。





あと、もうひとつは最近この間の全中での
目覚しいキセキの皆の活躍に
学校の女の子は色めきだし
皆のファンが増えた気がする。



今のところ、さつきちゃんや私に被害はないが。

いや、一回あったかな?




とりあえずは今まで通りで行こうと思うのだか
せっかくなら教室でも黒子君と居る時間を増やそう。と。

なんて遠い目で緑間君を見ていると黒子君が種目表を取り出す。



「そうですね。ななさんの種目は
 借り者競争でしたよね…時間はお昼前ですね。」


と黒子君が指差す。


『わぁー。午前中の項目をネタでしめよう。
 ってことかな?』


とため息をつくと黒子君はくすりと笑う。



「普通の内容の借り物だと良いですね。」


『ほんとだよー。』と笑いながら話していると
一年生の100メートル走の収集のアナウンスが
かかり黒子君がブースから消えていく。



「女子も並んでくださいねー。」と言う先生の声に
頑張らないとと重たい腰を上げ
私もクラスの子と一緒に並びに行く。


その際も
「ななちゃん借り者頑張って!楽しみにしてるから!」と
クラスの女子にエールを送られ

『えぇー。出来ることなら代わってよお。』
と皆で笑いながら整列をした。




その後は100メートル走を二位という微妙な順位で走りぬけ

黒子君やクラスの子、たまにさつきちゃんの所に
遊びに行ったりしていると

あっという間に自分の出なければならない
借り者競争へと項目が移る。


クラスの女子からは哀れみの言葉を。


あほな男子達からは「うけたらいいな。」と
エールをもらう。

『それ、競技関係ないじゃない。』

と、突っ込む私は無視される。




仕方ないと、入場口で並ぶとまさかのまさか。

私の後ろ、と言うことは私の次の走者に
こんな競技でないだろ。



と思われる赤司君が居て。

驚きすぎで口が閉じられない。





『ああああああ、赤司君!?』
と驚くと赤司君もこちらに気がついたようで。


「あぁ、ななもでるのかい?」

とごくごく普通に答える赤司君。




『赤司君もでるの?』

と聞けば

「まあ、ここに並んでいるからね。」と
さも当たり前のように話す。





「俺も意外だったんだがクラスの女の子に
 どうしても出てほしいとせがまれてね。」

と私の理由を知りたいという心のうちを察してか
説明してくれる赤司君。

『…クラスの女の子が?どうしてだろうね?』

どうしても赤司君に出てほしい理由…か?
…と考えていると、答えより先に始まってしまう

悪魔の競技…借り者競争。





「お互い検討を祈るよ。」と赤司君に言われ
苦笑いで返してしまう。

自分のことより赤司君が心配だ。


しかし、そうも言ってられないので
前を見据え準備する。


第一走者が横並びになり走り出すと
各コースに配置されている箱のところで一旦止まり
一枚紙を引き抜き固まる皆。


会場がどよめきだす。



すると嬉々とした声でナレーションが入る。


「お待たせいたしました!
 今回の借り者競争はなかなかハードに
 そしてピンクに仕上げております!!」


ハードにピンク?どうゆうことかと
頭をひねらせるも意味が分からず。

しかし一部の女子からはキャーと黄色い声が上がっている。
意味が理解できるの?



「今年はご存知の通り借り者競争には一、二年しか走りません。
 なので三年生にどんな物が借り物として良いか
 事前にアンケートした結果、

 出た候補全てをこの箱につめました!
 …それに加えやはり気になるあの子のこと!
 彼女!彼氏!何だってありの借り物競争!!

 さぁ、一回目はどんな借り者でしょうっ!!」




と楽しそうに話している。

なるほど、先ほど赤司君が言っていた内容が合致する。

今回の借り者競争はお年頃の
生徒に内容を決めさせたため、

好きな誰それ〜的なものも含まれている可能性があるということ。
しかもそれを赤司君に引いてもらいたいがための
出場懇願となれば
その女の子は、なかなかの策士だ。




しかし、私がそっち系の紙を引いてしまう
恐れもあるということだ。

気をつけなければ。

また、借りてきた者の内容はゴールとともに発表されていて、




将来はげそうな人。とか

一度告白した人。とか

顔はタイプだけど絶対に付き合いたくない人。とか

純粋に友達として好きな人(異性)

などなど、ぞっとうするような内容ばかりだ。




しかし、上手いこと司会進行さんが
「残念、きみじゃ付き合うことはできないそうだ。
 早く見切りをつけるんだよ。」
とか面白いこと言って場を沸かす。



だが行きたくない気持ちはだんだんと大きくなって

それでも回ってくる順番。

ため息を吐き位置につくとパンと乾いたピストル音が鳴る。
一斉に走り出すが走者の顔は皆緊張の色が出ている。

箱までたどり着くと
簡単なやつ、簡単なやつ、と
祈りながら紙を引き抜く。

そこには





”貴方の良く理解してくれている人(異性)”

と書かれてあった。

くそ、異性じゃなければさつきちゃんを借りるのに
なぜ、わざわざ異性なのか。

周りの皆も凄いのが出たのか
何人かは紙を持ったまま固まっている。





『どうしよう。緑間君…か黒子君?』

いやどちらにしても仲はいいのだが
私のことを話しいるかと言えば話していないし。


なんとも言いがたいが


まあ体育祭だし真面目にことを考えないでも。
と思いクラスを見渡す。

するとナレーションをしていた司会進行の男の子が
困っている子のところに行き色々話している。

直ぐに動かなかった私にも困っているのだと
勘違いした様でこちらに近寄る。




「浅葱さんはどんなの引きましたか…?って
 意外と難易度低いじゃん。

 良く理解してくれる人(異性)??って言っちゃったよ俺。」

と司会君は笑っている。

観客も「おいー」と笑がおきる。




おいおい、と思うも

『あ、言っちゃいましたね?』と私も便乗し笑う。

「さ、どうしますか?」と司会君が笑うので少し悩むも
面倒だし今誰か引っ張って来ると余計目立つな、と思い
『じゃあ、貴方を借ります。』
と司会君をそのまま引きずりコースを走る。





「え?マジ?ちょ、ちょっと待て。初対面、初対面だぜ?」
と焦る司会君に『インスピレーションって大切でしょう?』
とふざけてみせる。

もちろんマイクに、拾われる私の声と司会君の声で
会話は筒抜け、開場は大爆笑。



手近の司会君を引きずったことにより
一着優勝の私。


『司会さんありがとう。お陰で一着ですよ。』
と笑うと「まじ困った後輩だぜ、焦った。」と
笑って許してくれた。

『あ、先輩だったんですね!』

今更ながら先輩と言うのことに気がつくと

「そうだぞー。先輩だぞー。たくよ。
 お前は一年の浅葱なにちゃん?」

と割りとフレンドリーに話しかけてくる司会さん。

『ななです。司会さん。』

「ななちゃんね、りょーかい。素敵な思い出ありがとう。」
と笑いながら帰って行く。


私も自分の番がおわったので
クラスのブースに帰ると「お前は最高にうけた。」と
クラスからは大絶賛。

『お前らは、他人事だとおもって!』と
ぷんぷん怒るもつかの間。

「なな借りられてくれないか?」と
赤司君が私のクラスまで来たのだ。

驚いて振り替えるとどうやら借り者競争真っ最中で。


一部の女の子が「赤司様っ」とやいやい騒いでいて
ぽかんと、する私を赤司君が引っ張り出す。



手を引かれて再度グラウンド中央へと逆戻り。


『え?、私が借り者!?』

と走りながら聞くと

「ああ。」と前を見て答える赤司君。


悪いことだったらどうしよう。





あと、回りの女子の視線が痛い。







と思いながら走ると

「大丈夫。悪い内容ではないよ。」

と赤司君が声に出していない質問に答える。




『赤司君って、読心術使えるの?』







「いいや、でもななは顔に考えが出やすいとは思うね。」



と今度は笑われてしまう。

そんな話をしていると、あっという間に走り終え
当たり前のように一着の赤司君。

息の一つも切れていない。


すると先ほど別れを告げた司会さんが
「お前働くなー。」と赤司君から紙を預かる。

借り者の内容の紙だろう。


司会さんは、それを見ると少し驚き赤司君を見る。




「…えーっと一年赤司君一着。借り者は何と
 “もっと親しい異性”でした!

 意外だけど、確かに君マネージャーだったね!バスケの!」

と司会さんが言うと




爽やかな顔して赤司君が


「えぇ。お世話になっています。
 それに、名前で呼んでいるのは彼女だけなので。」

と爆弾発言のお陰で女子からの
キャーと言う、いろんな感情の悲鳴が響き

私は倒れそうになった。













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