▲夏と祭と君と僕。 





「花火に行こうッス!!」


そう言い出したのは黄瀬君で。


夏休みの間
海常は練習試合の為に神奈川から東京に数日間
滞在をしているから

集まろう!と黄瀬君からメールが入り

なぜか私と黒子君、火神君がマジバに呼び出された。


そして、口頭に戻るだ。



「ねー!行こうっスよ!花火!おーまーつーりー!」

と黒子君をぐわんぐわん揺さぶりながら
黄瀬君は花火に行きたいと訴えている。

「…黄瀬君痛いです。」


と小さく抗議するも気にする様子もない。
火神君はため息をつきながら

「たく、ガキかよ」と呆れながらハンバーガーを
モシャモシャと、また一個また一個と食べてゆく。


『花火か、楽しそうだね。いつあるの?』
そう聞くと黄瀬君の顔はぱぁーと明るくなる。
本当に分かりやすいなぁ。とほほえましくなる。



「流石っななっち!今度の日曜っス!」


待ってましたよ、その質問!見たな感じで笑顔の黄瀬君。

「日曜ですか。確かに部活はありませんね。」


と黒子君が少し考えながら答えるところを見ると
頭の中でスケージュール確認をしているのか。


「もちろんお休みのはずっス!
 わざわざ誠凛の監督さんに了承貰いに行ったんスから!」


とどや顔ピースの黄瀬君。

「それ、拒否権ねぇーじゃねーか!」と
火神君は怒っていたが反対に黒子君は呆れていた。

そんなこんで皆で行く夏の花火大会が決行されたのだ。






花火大会当日リコちゃんに呼び出され
リコちゃんの家にいる。

それは、浴衣を何枚も持っとてるから貸すわ。
とリコちゃんが誘ってくれたので
浴衣を一緒に着ることになったのだ。。

少し照れ臭いけれど機会がなければ着ないものだ
楽しまなければ、

そんなことを、考えていると

「よしっ、完璧!」と
着付けをしてくれていたリコちゃんが顔をあげる。



緩いところもキツイところとない。
本当に完璧だ。


『ありがとう!』とくるりと回って見せると
リコちゃんも満足そうに笑う。

そのあとに影虎さんに会場まで送ってもらったのだが
浴衣姿のリコちゃんにデレデレであったのは
言うまでもない。




会場に着くと場所取りをしてくれていたと言う
海常組の待つ堤防までいく。

場所とりのじゃんけんに海常が負けたのだ。

人も多いしみつからないかなぁー?とも思ったが
黄色彼とその先輩達、それに誠凛メンバーが加わり
もう、悪目立ちだ。

しかも、黄瀬君と森山さんをしばいている笠松さんを見た所
何かやらかしていることは間違いなくて。


「祭りに来てまで何やってんのかしら?」
とリコちゃんは呆れている。

因みに今回、別の日に海常と誠凛の練習試合をする。
と言う条件でリコちゃんは承諾したらしい。


すると、こちらに気づいた数名がおーいと、
てを降る。その姿…まあ目立っていて。

手を降っていた小金井君をリコちゃんはきっと睨み
つかつかと近寄る。
あれ?、みたいな顔を小金井君はしているけど
それも束の間


リコちゃんの、正拳はヒットして。
ああ、こうやって皆に混ざっていくんだと実感する。

しかし、まあ平和でなにより。

私もリコちゃんの後ろをついて行く。

「お!ななっち!浴衣姿似合うっス!」
という黄瀬君達もちゃっかり浴衣姿で様になっている。


『ありがとう。黄瀬君も凄い似合ってるよ?』



「っ本当っスか!?じゃぁ、一緒に…「ちーっす!」」

黄瀬君の浴衣姿を誉めると喜んでくれて
何かを言おうとした瞬間誰かの声が被る。

「…高尾君じゃないっスか。
 もしかしてわざとじゃないっスよね?」


なんのことかは解らないがしゅんとした黄瀬君に
高尾君は「えー?なんのこと?」ととぼけている様にも見える。

その証拠に「馬鹿めっ。」と緑間君は呆れていたし。


「んだよ、緑間達も来てたのか?」
と火神君が、近寄る。
どうやら秀徳全体できているらしい。

「貴様が居ると分かれば来なかったのだよ。
 が、しかしどこぞの黄色馬鹿がしつこいのでな。」

と黄瀬君を指差す。
いつもながらツンツンな緑間君の横で高尾君が
「でも、今日のおは朝で蟹座のラッキーアイテム浴衣姿の自分だって真ちゃん一日中これよ?」

と、笑っている。

「しかも、何故だか俺等も付き合わされてる。」
と、木村君はげんなりしている。

「それについては感謝しています。厳密に言えばおは朝には浴衣姿の自分とその仲間なので。」

くいっと上げられるブリッジ。
なかなか鬼畜だな、おは朝。


「ねー、ななちゃん?浴衣似合うね。このあと一緒に屋台いかない?」

と高尾君が前髪をさらりと触れてくる。

「あー!やっぱり高尾君さっきのわざとっスよねー!!」
と黄瀬君がわりこんでくる。
「えー?」とおちゃらけていて、全くしかたないな。
と笑ってしまう。

すると、誰かにすっと手を取られぐいっと
引っ張られる。

誰かな?驚きつつ見ると先程までぼけーっと
お祭りを見ていた森山さんで。


「俺は思ったんだ。夏祭りは女性の皆様が綺麗に見える魔法が存在すると今までは思っていたんだ。」


「「「「はっ?」」」」


いきなり、のことで周りから何のことか?と
ポカーンとしている。
しかし、私の手を掴んだまま森山さんは続ける。


「だが、今年は誰を見ても胸がトキメかない。俺はついに病気になってしまったんじゃないかと…そう思った。

 だが、俺はきづいたんだ。

 これは、恋なんだと!!」



皆に一瞬の静寂が生まれる。
おそらく誰一人、意味を理解できていないのだろう。



『……森山さん?』

と声を念のため、かける。


「あぁ。ななわかってる。行こうっ!」


握った手をそのまま引っ張り屋台へ繰り出す。
後ろで皆なの「えー!!」と言う叫び声が聞こえてくるも

気にとめない森山さん。




そんな、後ろの奥で高尾君が

「あーあ、宮地さんが浴衣姿のななちゃんに照れてる間に
 海常の森山さんにななちゃん持っていかれましたっすよ?」

とちゃかしており
「うっせ、轢くぞ。」と話していたなんて知るよしもなかった。










「人が多いから手を繋いで行こう。」
と手に力を入れる。

『ありがとう。』
と握り返せばにっこりと笑う森山さん。
本当に女好きをノゾケば格好いいのに。


にしても、いろいろ屋台があり
目移りしてしまう。

「あれ、やりますか?」
と森山君が指差したのは水ヨーヨー掬いの屋台で
「浴衣姿には水ヨーヨーでしょう?」


にっこりと笑い、そう言うと二人で並んで
ヨーヨー掬いの屋台へ行く。
「俺に色を選らばせてくれる?」と
森山さんが掬いだす。

森山さんが、選んだのは青色をメインにした水玉柄の
ヨーヨーで、こんな少しのところで
海常愛が伝わる。


『すごい、一発で!』
失敗することなく狙った水玉ヨーヨーを一発で取る森山さん。
「どうぞ?」と手渡されスマートだ。

『ありがとう。』とそれを受けとると
森山さんは満足そうに笑う。


その姿をちらちらと見る女の人が多く
森山さんの男前さをものがたっている。


その後も色んな屋台を森山さんと回っていると
高校生だろうか?
「あのっ!」と声をかけてくる。

背は低め短い髪を器用に巻いて後ろで1つに纏め
薄いピンクの浴衣と濃い赤色の帯がアクセントとなっており

凄く可愛らしい子だ。


「あの、彼女さんですか?」
と、こちらの様子を伺っていて

『え!?あ、違うからっ!』と否定しあげると
安心したように再度森山さんに向き直る。

「あの、良かったら連絡先交換してもらえませんか!?」

顔を赤らめ背が引くいため必殺上目遣い。

これは、森山さんじゃなくともやられてしまうだろうと
思っていると、肩をぐいっと抱かれ

「素敵なお誘いだけど、ごめんね。
 今は出会いは求めていないんだ。」
とやんわりと断る。

女の子は少し戸惑うもペコリと頭を下げ
友達と思われる所に戻っていく。




『良かったの?可愛かったよあのこ?』

と森山さんの顔を覗き見ると


「俺にはなながいるから。」

そう言うけれども今、私といるから。と言う意味か
深い意味があるのか分からず

ん?と再度聞くと

「いいや、今はそれでもいいよ。今ね?
 だけど俺も大学生になったし、うかうかはしてられないな。」

と笑い頭を撫でられるのだった。














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