▲拍手.2015年/12月〜2017年


昨日、旧友である紫原敦から
マイクやスピーカーなど一式が送られてきた。

まさかとは思っていたが
送られて来たのはWC終了後。


後から聞くに梱包までは済んでいたが
送るのが面倒で忘れていたとのこと。

昔から紫原は面倒くさがり…というか
少し爪が甘いところもあったな。と
一人考えながら視聴覚室で皆を待つ。



大会が終わって初めて
部活を休みとさせてもらっている。


だからなのか、少しだけ居心地が悪いなと
そんなことを考えていると
廊下の方から大きな声が聞こえると共に
軽い地響きする。

これは、考えなくても根武谷達が騒ぎながら、
こちらに向かって来ているのだろうと考えられる。
本来であれば叱るべきところだと思うのだが
視聴覚室は本校舎からは離れた場所にある為、
今日くらいは良いかと待っていると、

ガラッとスライド式のドアが開く音が鳴った。



その扉が開くと共に

「赤司ぃ〜お待たせ!」

と一番乗りで入って来たのは、
うちのSFである葉山小太郎。

彼はいつも明るくチームを引っ張ってくれている。


「征ちゃんごめんさないね。
 どっかの筋肉ゴリラ馬鹿さんが
 英語の小テストで赤点とっちゃってね。」

と、葉山の横で実渕がため息を吐き続いて入る。

実渕は良く暴走する葉山や根武谷を宥めてくれるので
とても有りがたい存在である。

もう一人の俺は皆が暴走しても
威圧し制する事が出来るだろうが

実の所、俺自身はあまり得意ではない。

その点キセキのメンバーは
良く纏まっていたなと少し思いだしで笑みが零れる。


「英語だけ苦手なんだよな。マッスルわからん。」

「いや、アンタの言葉の意味の方が難解だわ。」

本当にこの偏差値の高い我が洛山高校に居るのも
バスケの才能を認められたからで、

そもそも勉強好きではない根武谷や葉山には
この学校の授業について行くのだけで精一杯なのだろう。

そういった経験がない俺は嫌味では無く純粋に、
こんな風なやり取りは羨ましく感じる。

その思いが出ていたのか葉山に
「赤司が笑ってる!」と指摘され、
そんなに口元が緩んでいたのかと思い
少し恥ずかしくなるも


やはりそれも嬉しかった。





「さて、じゃあ皆集まったし始めようか。」

皆が来る前にセッティングし終えているマイクに向かい
歩き出すと「え!?赤司ぃ!黛さんいなくね?」と
葉山が声を上げる。

「いや、ついさっき来たよ。」
と視線を黛さんの方にやれば
端の方で頬杖つきながら小説を読んでいた様で
視線を本から皆へと移す。


「うわぁ!いつの間に居たんだよ黛さん!
 マジ気が付けねぇって!」

「……いい加減驚かなくなってきちゃったわ。」

「マッスル影薄いもんな。」

驚く葉山達に慣れているというように
黛さんはため息を吐くと
「お前らはもっとマシなことは言えねぇのかよ。」
と本を閉じ視線を逸らす。


「いいかい?じゃあ始めるよ。
 今回皆を呼んだのはこのマイクに
 一言ずつファンの人に向かってコメントを
 言ってもらいたい。

 もらったコメントはこちらで編集するが…
 まぁ、何か一言で良い。
 マイクに向かって言ってくれ。まず俺が試すよ。」

皆の視線を受けながらマイクにスイッチを入れた。



「いつもお世話になっています。
 貴女方が会いに来てくださるのを有難く思っている。

 …ん?何か変なこと言ったか葉山?」


俺は当たり障りの無い言葉を選んで
言ったつもりだったが目の前で葉山が

口をあんぐりと開いていて、その呆け顔が目に入る。


「いや、普通はキモく感じる台詞も
 赤司が言えば何か様になるなぁ…て。
 良くわかんねぇけど、やっぱ赤司はすげーな!」

「分かんないって…小太郎アンタね…。
 そうゆう所がだめなのよ。」

「まぁ、理解した所でお前と赤司じゃ
 スペックが違い過ぎるだろーが。考えろ。」


はしゃぐ葉山に実渕と黛さんが
少しきつめに制すも葉山は全く気にしていない様で
「次!俺やる!」と騒いでいる。

俺がマイクから離れると、
そのタイミングを待っていたかのように
葉山がぴょんとマイクへ移る。




「何か良くわかんねぇけどありがとなっ!
 俺ら次は絶対優勝すっから試合見に来いよ!
 な!黛さん!」


言い終えた葉山はキラキラした目で黛さんを見ていたが、
いつも表情が硬いあの黛さんが他者から見ても分かるほど
呆れの表情を浮かべていた。


「…おい、馬鹿。お前本当に馬鹿なんだな。
 今さらながら良く受かったなこの学校に。」

黛さんの言葉に「え〜??」と文句を吐き出す葉山。
しかし、会話を聞いていた実渕も頭を抱えているし
根武谷に関しては「流石葉山!」と笑っている。


「いいか。俺は既に引退してるんだから次はもうない。
 …お前俺を先輩だって自覚してないだろ。」

ため息交じりに黛さんが言えば
「あ!確かに!」と葉山は詫びることなく笑う。

その言葉に同意するかの様に根武谷も笑い

「まぁーあれだな。何だかんだでアンタとバスケするの
 当たり前になってたからな。」

と葉山より盛大に笑う。


一方笑われた黛さんは仕方ないと言わんばかりに
もう一度ため息を吐いたが、
どう見ても少し照れている様だった。

それを隠すかの様に席から立ち上がりマイク前と歩く。


彼にしては珍しい荒っぽい行動が
感情を肯定している様で少しおかしかったが。




「…俺は、やれることはやるだけだ。
 今もこれからもな。

 アンタもアンタ等も酔狂なもんだな。
 …まぁ一番はうちの根武谷か。」

恥ずかしいことを言われた仕返しなのか
名指しされた根武谷は

「俺は筋肉に対しては熱意を持ってるが他は普通だ!
」と黛の言葉に対して胸を張っている。


「いや、お前は何に関しても
 マッスルマッスルうるさい。くどい。」

「永ちゃん加減ってもん知らねぇーもんな。」

「アタシは中学の時から諦めてるわ。」

「おいおいおいおい、筋肉はバスケの大切な要素だぜ?
 お前らがちょっと細すぎんるんだよ。」


フンっと言いながら腕に筋肉を盛り上げさせる
根武谷を見ながら実渕が
「アンタを基準にしたら、もう別のスポーツになるわよ。」
とため息を吐く。

本当に実渕は大変な立ち位置である。



「まあまあ、皆が永ちゃんみたいになるのは無理だからさ。
 諦めて次は永ちゃんやれば?」

と、葉山に勧められ「おうよ!」とマイクへ向かう。


根武谷は深呼吸をすると見事にも

見当違いなことを話し出す。




「筋肉をつけるためには肉を食らう。
 筋肉をつけるとすべてに勝る!

 だから一緒に肉を食おっーぐふぉ!!
 …痛てぇ!コラ!実渕っ!」


意気込んで話し出した根武谷の言葉を聞くや否や
すかさず実渕が根武谷のお腹を殴る。


「アンタ主旨分かってんの!?
 征ちゃんが見せてくれたでしょ?
 筋肉筋肉って馬鹿の一つ覚えみたいに!」

「ああん?筋肉こそが勝利の全てだろうーが。」

「馬鹿ね!程よい筋肉ってのが一番良いに
 決まってるじゃない!

 それに、今回は感謝の意を込めたコメントよ?」


だんだんとヒートアップしていく根武谷と実渕。

本来は止めるべきなのだろうが、
いつも通りの状況に俺は少し和みつつあり
葉山も「まーた、始まったよ。」と
止める気はなさそうだ。


「なんだよ、ならやってみろよ!」


ああでもない。こうでもないと
言い合っていた二人だが根武谷の一声で実渕が
「わかったよ、見てなさい。」と
マイクの方に歩いて行く。

マイクの前に立つとフンと笑いし喋り出す。




「やっだぁー、可愛い子も歓迎だけど
 かっこいいイケメンさんの方が私は好みだわぁ。
 でも、来てくれていてありがとっ。

 どう?これでいいかしら征ちゃん?」


にっこり笑いながらマイクのスイッチを切る実渕。
俺の後ろで黛さんが「いや、それもちょっと違うだろ。」と
呟いたのを俺は聞き逃さなかったが、

まぁ突っ込まない事にする。


「ああ、実渕ありがとう。」


お礼を言いながら納得がいかなさそうな根武谷を無視し
機材を片付けようとしたら、
そこにいた実渕が手伝ってくれる。

その行動に気付いた葉山が「俺もやるよ。」と
根武谷を引っ張りながら来て一緒に。

黛さんは手伝いはしないものの
黙ってその様子を見ていた。


WC決勝。


惜しくも誠凛に負けてしまったが
俺は今とても清々しく、このチームが好きだと言える。



それは他の誰でもない黒子のおかげだなと。


一人旧友を思い馳せた。








「黒子、次はお前だ。」














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葉山のキャラが掴めねぇぇぇぇ。

そして、私の中で暴走する永ちゃん。(笑


しかし、書きやすかったぞ。永ちゃん(笑


ストーリーテラーを赤司君にした事は
流れ上仕方なかったのですが
いやいや…難しい…。


と、いう事で急遽WC決勝前の設定を
決勝後にしました…。

本編…頑張って進めます…。









いつもお世話になっています。
貴女方が会いに来てくださるのを有難く思っている。

ん?何か変なこと言ったか葉山?


何か良くわかんねぇけどありがとなっ!

俺ら絶対優勝すっから試合見に来いよ!
な!黛さん!


…俺は、やれることはやるだけだ。

アンタもアンタ等も酔狂なもんだな。
…まぁ一番はうちの根武谷か。


筋肉をつけるためには肉を食らう。
筋肉をつけるとすべてに勝る!

だから一緒に肉を食おっーぐふぉ!!
…痛てぇ!コラ!実渕っ!


やっだぁー、可愛い子も歓迎だけど
かっこいいイケメンさんの方が私は好みだわぁ。
でも、来てくれていてありがとっ。

どう?これでいいかしら征ちゃん?










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