▲花宮真と誕生日.
くそだるい学校が始まって、

嫌でも良い子演じて教室で授業を受ける。




自分で言うのもあれだが性格は悪い



猫かぶるのは上手いと自負している。




今更勉強するところでもない授業内容に
嫌気が差しながら適当にノートに
黒板の文字をまとめる。

今日も今日とてつまらない一日だ。



なんとなく授業を終えて部活をし
「花宮誕生日じゃんね?祝ったげよーか?」
と茶化してくる原に
「いるか、ぶっ殺すぞ。」
と返事をしいつも通り部活を終える。


少しは周りの奴らも気にしてくれてる。

そう思っただろうが
それは勘違いだから覚えとけバァーカ。

あいつらは人をからかうことしか考えていねぇ。

油断していると痛い目見るのはこっちだ。

ったく、良くあいつらこのお坊ちゃま学校に
入れたもんだぜ。



そんな感じで睨みを効かせ

適当に片付けて着替えて古橋や山崎と帰る。
ちなみに瀬戸は休みだ。


原については居た様な居なかった様な
そんな気もするが、まぁどうだって良いだろう。



家に帰って別にすることなんかねぇが
母親から
「今日は仕事で帰れないけど早く帰っておいでね」
とメールが入ってるもんだから帰らないわけには
いかない。

皆と別れて家に戻りカバンを下ろしたタイミングで
家のチャイムがなる。


「ちっ、帰ったばかっりだっつーのに
 めんどくせぇな。」

家には誰も居ないため盛大に舌打ちし
インターホンを確認するとまさかの人が立っていて
急いで玄関のドアを解除し迎えいれる。


何故?この時間に?このタイミングで?

と不可解に思っているうちにそいつは玄関先まで
あがってきていてコンコンと叩かれる。


見間違いなんてことはないだろう。


ゆっくりとドアを開けるとそこに居たのは
間違いなくななで。

『どもっ。』

と軽いアイサツをしてくる。



いったい何の用事なんだと思いながら
溜息を吐きよく見るとスーパーの袋が
ななの手から下げられていて
よけいに不可解だ。

『今日は花宮君の家にお邪魔することに
 なりましたのでどうぞ、よろしく。』

「は?…お邪魔って…おい!てめっ!」


いきなりお邪魔になる宣言をしたかと
思えば俺の制止も振り切り勝手に部屋に
ずんずんと押し入っていく。


本当に何なんだ?と再度思いながら
玄関を閉めななの背中を追うと
ななはキッチンで足を止め何やら
ごぞごそとし始める。



「おい、いい加減説明しろ。」

現状に少しの淡い期待が俺の苛立ちを
かきたててキツイ言い方になってしまったが
それは、俺の責任ではないと思う。


『もう、せっかちさんだな。

 今日は花宮君の誕生日でしょ?
 花宮さんから今日はお仕事で帰れないって
 前から話をもらってて花宮君一人なの
 知ってたからお祝いしようと思って。』


「ああ?お祝い?」


『そう、お祝い。
 事前に言っちゃうと嫌がるでしょ?』


料理を作ろうとする手を止めずに
顔だけ上げて困ったように笑うななに
呆れるも俺の性格を良く理解しているな、と
少し嬉しくもなる。


だが、男一人の家に何の危機感もなく
あがってくることや

せめて私服でくればいいものの
急いでたのかはしらねぇが制服のままのこと

いろんな誘惑や思想にイライラしながら
チッと舌打ちし袖をまくる。


「ジッと待ってんのも腹立つから貸せ。」


乱暴にななの手から玉ねぎを奪い取ると
水で洗い出す。
横でななのクスリと笑う声が聞こえるが
気づかないフリをする。

すると、ななが手を荒いカバンから
ヘアピンを一本出すと
『動かないでね?』と俺の前に回りこみ
器用に前髪を留められる。


『花宮君、前髪長いからこれで大丈夫。
 手伝ってくれてありがとう。』

礼を言うなら俺のほうだろうが…と
心の中で思いながらも

「勘違いしてんじゃねーよ。バァカ。」

と声に出して言う俺に『はいはい。』と
笑い返す。



きっとこんなやり取りが出来る女は
この世にこいつしかいないだろうと俺は思う。






それから他愛もない話をしながら料理を
進めていると案外簡単にそれは出来て
「意外と簡単だな。」とぼやけば
『花宮君が器用なだけだよ。』といわれる。

なんだこの、カップルみたいな会話と
一瞬正気に戻り
俺は俺が憎らしくなる。


そんなことを考えながら
机の上に一緒に作った料理を並べる。

本当に見栄えだけで言えば悪くない。


そこになながどこからか小さいホールケーキを
取り出して真ん中にちょこんと置く。

生クリームを使用していない感じの
チョコレートケーキ。

甘くなさそうな見た目からして
俺の好みを一丁前に考えてきたのだろう。



『花宮君、誕生日おめでとう。』

俺の向いに座りそう言い放たれる言葉に
ガラにもなく少し感動していたりもする。

いや、考えてみりゃ今日は
俺らしくないことばかりだったか。



「…ま、喜んでやらないこともない。」


照れ隠しにもならないがふいっと目を背ける。


『素直じゃないなぁ。』
なんて明るい声が聞こえてくるが
間違ってはいないし否定もしない。


すると、
『誕生日プレゼントもあるんだよー。』
とななが席を離れソファーの方に
置いてていたカバンをごそごそしだす。


ここまでしといてプレゼントとは
用意周到じゃねぇか…と思うも
そこから動き出さないなな。

どうしたものかと俺も動き近づくと
ふるふると肩が震えていて


『プレゼント学校に忘れてきちゃった!!』

と嘆いていた。

そそっかしいこいつのことだから今更
驚きもしないが当の本人は凄く気にしている様で
くるりとこちらに振り向くと

『ごめん花宮君!日を改めて渡すから!』

と見て分かるほどしょんぼりしていて

「別にこんだけしてもらっといて
 文句なんていわねぇよ。」

と声をかけるも落ち込んだまま。

ったく、めんどくせぇな。と軽く舌打ち
しそうになるのをぐっとこらえて
頭をがしがしと掻く。

「……真。」

ポツリと呟くと『え?』と顔を上げるなな。

「お前、俺のことも親のことも名字呼びだろ?
 いちいちややこしいんだよ。

 今日は…まぁ、それでいい。」

自分で言っててやっぱり恥ずかしいなと
背を向けて歩き出そうとすると
きゅっと手をつかまれ振り返る。


『…ありがとう。改めて誕生日おめでとう真君。』


言いなれていない恥ずかしさからか
頬を少し赤らめて笑うななの悩殺力は
尋常ではなく

俺の中で何かが切れる音がする。

そのまま掴まれた腕を俺から掴みなおし
後ろのソファーめがけてななを押し倒す。


『は、は、花宮君!?』

赤らめていた顔は真っ赤に変わり
少し体を捻るように身動きするも
女に負けてやるほど俺も弱くはない。


「…真だっつってんだろーが。」

ななに覆いかぶさりそのまま
もたれ掛かるように身体をおろし顔の横に
自分の顔を付ける。

「一回しか言わねーから良く聞け。
 …ありがとう。」

そう言って顔を上げれば真っ赤な顔と目が合う。

ざまあねぇなと笑みがこぼれるが
俺もたいして変わりないか。と思う。


『…真君ずるい。ツンデレ。』

とぶつぶつ文句言っているななの鼻を
つまみながら
「そもそも女がそんな格好で男の家に来るな。
 お前は無防備すぎんだよばぁか!!」
と言い上から退きテーブルへ戻る。

未だ真っ赤のままのななを見ながら

名前を呼ばれる嬉しさに








今日は悪くない日だな。と思った。























































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