▲拍手.2015年/9月〜10月
「よーし!!皆でコメント録るよー!!」



練習終了後いきなり桃井に呼ばれて
部室に行くと

あからさまに不自然なマイクと録音機が
置かれとって

なんのこっちゃと正直ワシも思うてしもたわ。








ん?そういや紹介が遅れてしもたね?
今回の進行は三年主将やらさしてもろてる

今吉や。

まぁ、贔屓にどうも。






ほんでな?桃井の説明からするとや

「ファンの方に感謝の意思を伝える企画なの!」
と、えらい楽しそうで。




おそらく、桃井に引きづられて来たんやろう
青峰は両足ガッチガチに縛られとる。



「も、桃井さん。感謝ってどういったことを?」

と桜井がおどおどしながら言うとって
来年こいつが青峰とコンビ組んでくれんと
困るんやけど

もうちっと、あのおどおどがなくなれば…なんて考えとるが…ありゃ、無理やな。







「もっちろん!ちゃんと、みどりんから聞いて
 おりますとも!

 で・も・秀徳も
 けっこう、ちぐはぐだったみたいだから

 もう、思うがままで言いかなって!」



「んだよ、それじゃあ参考にもなんねーじゃねーか!」


あっけらかんと言う桃井に若松が食いつくが
いかんせんこいつは声がでかくてかなわん。






「もう、最後まで聞いてくださいよー。
 そう言うんじゃないかと思ってました。

 な・の・で今回は私から吹き込みます。」


と本人はやる気満々やし…まあ、ええやろ。



「さつき!どうでもいいからこの縄ほどけ!
 つか、俺のマイちゃん返せ!てめぇ!」


とさっきから皆に完全にスルーされとる青峰が暴れる。
桃井のことやマイちゃんの写真集とか使うて
青峰のこと呼び出したんやろうな。



さすが…としか言いようがないが
敵にはまわしたないなぁ。






「桃井。青峰もああ言っているし
 そろそろ放してやってもいいんじゃないか?」


と冷静に言う諏佐。少し困っとるようにも
見えんくはないが。



「駄目ですよ!諏佐さん!青峰君たら
 唯一経験してるのに、何にも感想とかアドバイスとか
 くれないんですよ!?」


と桃井は怒っとって



「まぁ、桃井の言わんとしとることは分からんでも
 ないが、その辺で良いやろ?

 な?青峰もやるもんなぁ?」


先に言うとくが脅しとる訳やあらへんで?
ちょっときつく言うとるだけや。

それに青峰も「やりゃーいいんだろ。」と
文句を言いつつ了承してくれて
可愛げはないが青峰らしゅうて

ついつい微笑ましくなる。

うちの後輩は花宮といい

青峰といい

素直やないからなぁ。



ワシの横で
「青峰さん主将の言うことは、まだ聞くんですよね。」
と桜井が肩を落としとったが

ワシの言うこともそんな聞きやせんけどな。






「ま、皆練習で疲れてるだろうから
 早めに終わらせるか。」

と言う諏佐に

「青峰は練習してねーから疲れてるわけ
 ねーけどなっ!!!」

と若松が言いよったが、本当のことやし
めんどくさいし無視して始まりを迎える。





最初は宣言どおり桃井がするようで


マイクの前に立ち深呼吸する桃井。

黙っとけば本当に顔は可愛いんやけどな。
あ、タイプって訳やあらへんで?





「えーっと、いつもありがとうございます!
 青峰君がご迷惑お掛けしてます。

 私からも、うーんと叱っておきますので!



 ……何よ大ちゃん。文句ある?」




桃井が言うや否や青峰が凄い顔で
桃井のこと睨んどって

もちろん、その視線に桃井も怒る。

「文句しかねーよ!!
 てめぇ、俺がいったい何したってんだよ!

 つか、その呼び方止めろって!」

と縛られたままじたばたする青峰。

「いつも迷惑しか、かけてないじゃない。」

なんて怯まんところが桃井の良いところや。



「なら、次青峰君がお手本見せてよ!」と

やっと青峰の縄を解く。




ちっと舌打ちしながら手をぶらぶらさせ
桃井にマイクのところまで引っ張られていく。


「あー、めんどくせぇ。

 ありがとう。……ほらよ。これでいいだろうが。


 あぁん?んだよ、良?」

めんどくさがりつつもコメントを吹き込む
青峰の口からありがとうなんて言葉が出るもんなんかと

正直ワシも驚いとるが

桜井もそうとう驚いたんやろな。
ぽかーんと口を開けたまま呆けとる。




「…す、すみません。青峰さんから
 お礼の言葉が出てくるとは
 思わなかったものですから。」


「っんだよ。別に言えねぇ訳じゃねーよ。」

驚く桜井に「やめろ。」と言う青峰。

なんや意外とええコンビやないか。


「じゃぁ、この流れで言ってみよー!」
と桃井がノリノリで桜井の背中を押す。

「ええ!ぼ、ぼくですか!?」

と戸惑う桜井は無視されとるな。



しかしや、緊張しながらも
負けず嫌いなうちの特攻隊長さんは

やるきスイッチが入ったら出来る子なんやけど…

話し出した桜井は


「す、すみません!すみません!
 僕なんかが感謝の意とか称して!すみません!

 あ、ありがとうって言うの忘れてました!」




なんて言うてワタワタしよる。

本当はできる子なんやけどなぁ。SGとしては
文句なしや。




「なんつーか桜井らしい挨拶だな。」
と呆れる若松の横で
「あれが良なんだし、いいんじゃねーのか?」と
青峰はあくびを殺している。

まぁ、マイペースなチームなもんで。

もうそろそろえいか。とワシは重たい腰を上げ

「したら、次はワシが入れるわ。
 最後のトリは勘弁やしなぁ。」


「ーっ!ちょ、今吉さんずるいっす!!」

とか、なんとか若松がぎゃいぎゃい言いよったが
まぁここは無視やな。

さくさくっと終わらせて終いにしたいので

「なんや、ぐだくだですまんのぅ。
 今後もよろしゅう頼むわ。

 ん?別に次来んからって
 誰にも何もせんよ?ワシは。なぁ?諏佐。」



ワシが吹き込むのを見よった諏佐が
全くと、困ったように笑いよって

そんな怖い意味ないんやで?お茶目なジョークやと
言うとさらに笑いよった。



諏佐は人が良いからな。



せやからワシも諏佐には意地悪せぇへんし
ここまで一緒にバスケ部を支えてくれたんには
感謝しとるくらいや。



「ほんなら次は諏佐か?」

と諏佐の背中を押しマイクまでひっぱて行く。
再度若松が
「ええぇ!!俺が最後っすか!?」かと
ぎゃいぎゃい言いよったけど

これも無視や。






「いつもありがとう。うちのチームは個性的で
 申し訳ないな。

 副主将としてなかなか荷が重いよ。
 な?若松。」




諏佐は言い切ると「なっ?」と若松に問いかけ
「本当っすよ!」と言い張っていたが
お前もそんな変わらへんとワシは思うとる。

桜井も同じこと思ったんか顔が引きつっとるしな。





すると桃井が
「若松さんも十分個性的ですけどね?」
と言い「どこがだよっ!!」と叫ぶ若松。

「そうゆうとこだろうが、ばかか。」

なんて先輩扱いをしない青峰に若松は青筋立て
それをとめる桜井。



「ようこんなんで来年やっていけるんかいな。」

と呟くワシに


「これでいいんだよ、きっと。」と
諏佐は笑ろうとった。








「はいはい、じゃぁ次は若松さんどうぞ。」

と半ば投げやりに桃井が若松をマイクへ追いやる。
幼馴染の青峰と上手く付き合っているだけあって

なかなかめんどくさい奴の扱いは慣れとる。



若松は深呼吸をするとマイクの向かって

「うっす!いつもありがとうな!
 これからも俺たちの活躍を楽しみにしててくれ!



 ……おい、桃井。笑ってんの見えてんぞこら。」



と話す…と言うより叫ぶと言うた方がぴったりな
音量で話す。

これ録音聞いたら音が割とるんやないやろーか。


しかも、何だかんだで若松が一番しっかり
しとってびっくりしてしもうたが

桃井にはそれが面白かったんか肩を震わせ
笑いをこらえとる。

「もしかして若松さん一番、吹き込むの楽しみに
 してました?」

と言う桃井の言葉に顔を赤くする若松。
こりゃ、ビンゴやで。








「だ!!そ!そんなことあるわけねーだろ!」

と喚く若松に青峰の後ろに逃げる桃井。

それをやっぱり止めるんは桜井で。




「なぁ、諏佐。」


と横に居る諏佐に声をかければ
「ん?」と返事を返してくれて

「良いチームになったとワシもらしくなく
 思うてもうたわ。」



となんとなく感傷に浸たる。


「あぁ。俺もそう思うさ。」

と同意をされたら、それで満たされ
それ以上出てくる言葉は見当たらんかった。



























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☆関西弁?京弁?難しかったんですが
 管理人、西日本出身なのでがんばってみました。!










えーっと、いつもありがとうございます!
青峰君がご迷惑お掛けしてます。

私からも、うーんと叱っておきますので!
……何よ大ちゃん。文句ある?



あー、めんどくせぇ。

ありがとう。……ほらよ。これでいいだろうが。
あぁん?んだよ、良?


す、すみません!すみません!
僕なんかが感謝の意とか称して!すみません!

あ、ありがとうって言うの忘れてました!



なんや、ぐだくだですまんのぅ。
今後もよろしゅう頼むわ。

ん?別に次来んからって誰にも何もせんよ?ワシは。なぁ?諏佐。


いつもありがとう。うちのチームは個性的で
申し訳ないな。

副主将としてなかなか荷が重いよ。
な?若松。



うっす!いつもありがとうな!
これからも俺たちの活躍を楽しみにしててくれ!

……おい、桃井。笑ってんの見えてんぞこら。





以上


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