▲紫原敦と誕生日.
夏から秋へと変わり肌寒くなってきた
今日この頃。







「…何個ケーキを用意しましょうか。」

と、黒子君が悩む。


前回に続き今回は我が家で紫原君の誕生日を祝おうとなっているのだけれども

甘いの大好き、紫の妖精こと紫原敦だ。



一人で一つは食べてしまいそう。






『そのことなんだけど何個も買うと高くつくから
 私皆が来る前に作っちゃった。』


と私は冷蔵庫を指差す。


『市販の物に比べたら見た目は落ちるかもだけど
 何回も味見したし味は大丈夫だと思う。』

と笑えば黒子君が


「いえ、下手な市販の物より僕なら
 嬉しいと思いますよ?」

と言ってくれとりあえず安心する。
そんな素敵な話をしている横で青峰君が冷蔵庫の中を覗いていて

「三つか。」と数の確認をしている。




『行動が早いね。ちなみに、
 その右端にある生地の底が茶色く焦げてるのは
 甘いの苦手な人用ケーキだから。』


と説明してあげる。


焦がしているのはカラメルで少し苦く作っているのだ。





「ほら、大ちゃんケーキばかっり見てないで、
 こっちのも手伝って。」

とさつきちゃんに怒られぶつぶつ言いながらも折り紙でわっかのレースを作っていく。

青峰君に折り紙なんて似合わなさすぎて面白い。



「つか、なんで俺が料理担当固定になってんだ?
 …たくっ。」




と青峰君が立ち去ったキッチンで赤いエプロン付けて火神君がちまちまと丁寧に料理を作っている。



「それは仕方ないとしか言いようがないのだよ。
 貴様となな意外は皆、
 料理はからっきしなのだから。」

と眼鏡のブリッジを上げフンと鼻を鳴らす緑間君。ここの二人仲が悪いんだよね。


ライバル意識が強いというか。
すると、お使いに行っていた黄瀬君が「ただいまー。」と帰ってくる。

「ただいまっス。…ってまだ、こんだけしか
 進んでないんスか!?」

と部屋を見渡し驚く。


確かに進み具合は芳しくなく

『しかたない。』と私は呟き立ち上がり
携帯を取り電話をかける。

かけた先は福井さん。


今日、秋田からこちらに来てくれることになっていて。なんでも岡村さんと大学の見学来るつもりだったから丁度いいとの事。




まぁ、何だかんだで祝ってあげようと皆思っているのだろう。


げんに俺も俺もと劉君や氷室君も来ている。





少しコール音が鳴ると福井さんが「おうっ。」と電話に出てくれる。

話を聞くとどうやら少し前にこちらに到着していて、もうすぐ着くようだ。





『…はい。そうですか。すみません。助かります。』と話をし電話を切る。

直ぐに黒子君が「どうでしたか?」と確認してくれる。




『うん。もう着くから着いたら
 飾りつけ手伝ってくれるって。』

と話し進めた。



そのあと10分としない内に皆が家に来てせっせと準備を終わらせる。

「おわったー。」と皆で達成感に浸れば直ぐになる私の携帯。

『赤司君からメールだ。』

とメールを開き内容を見て固まる。緑間君が「どうしたのだよ?」と一緒に携帯を覗き込む。

『…そろそろ準備は終わった頃だろうから
 紫原を連れて行くよ。て書いてある。』


そう、今回の足止め役は赤司君だったのだが…。





「流石赤司っち…。恐るべしっス。」

と皆で冷や汗かいたのは言うまでもない。

赤司君に了解。ナイスなタイミングだよ!
と返信を打ち携帯をしまいこれからのこと思い笑みがこぼれた。










▽▲











紫原君視点。














もう直ぐ誕生日だからって訳でもないけど一回帰って来いって親から連絡があって今は秋田にいない。


けど、そのことは室ちん達意外には言ってなかったのに

なんでか赤ちんが目の前に居る。てか家に来た。




しかも「やぁ、」なんてさわやかに。


「赤ちんから家に来るなんて珍しいね。」

と言えば「たまにはこういうのもいいだろう?」と

やっぱり赤ちんは余裕で。


そんなこんなで家で話していると親に見つかり上がっていけばなんて言い出す始末。

親と赤ちんが話しているのを聞きながら






ほんと何しに来たんだろうと考えていると赤ちんが




「お気遣い痛み入りますが、本日はこの後
 敦君と予定がありますので
 ご遠慮させていただきます。

 申し訳ありません。ありがとうございます。」

なんて赤ちんの口から言葉が紡がれて驚く。

あ、言葉使いとかにじゃないよ?内容にだかんね?





「…?え?約束した覚えねーし。」

と言えば「行けば分かるさ。」と赤ちんはそのまま親に頭を下げ玄関を出て行く。

別に着いていく必要もないけど条件反射で家を出てしまい赤ちんに着いていく。

「ちょっと赤ちん。どこいくつもりー?」

と携帯を触る赤ちんの背中を見つめながら話すと




「ななの家だよ。
 …紫原薄々分かっているんじゃないか?」

と赤ちんは携帯をしまいながら
振り返りクスリと笑う。



そうはっきり指摘されると
もしかしてと考えていたことでも恥ずかしく感じ

「別にわかんねーし。」

といつもの調子で言えば「そうか。」と笑われてしまい更に恥ずかしかったが、赤ちんには色々敵わないし、まぁいいかと進んだ。











少し歩いてななちんの家に着く。
インターホン鳴らして家に入りリビングの入り口前で赤ちんがいったん止まる。

するとなぜか俺の先を歩いていた赤ちんに背中を押され先に入れといわれる。

なんだし。と思いながらリビングのドアノブを捻り入ると

その瞬間パンパンと鳴るクッラカー音。


「「「「「「誕生日おめでとう!」」」」」」」」


皆に言われ驚く。

正直予想はしてたけどいざってなると恥ずかしいし。

しかも良く見るとリビング入り口から席までまいう棒で道が作られていて

近くにいた桃ちんに

「これあとで袋に入れるから全部むっ君がもって帰っていいよ?」

と言われる。地味に嬉しい。
すると、陽泉の皆から大きな袋を一つ手渡され

「これは俺達からだよ、敦。」

と室ちんに言われ開けると大きめのマフラーとまいう棒のプレミアム限定味が30本セットで入っていて

やっぱ俺の好み良くわかってんなー。とガラにも無くテンションがあがった。


「これ、プレミアムじゃーん!!室ちん達良くこれ見つけてきたね。」

と袋からガサガサ出せば



「あぁ、福井さんがね。頑張ってくれたんだよ?」

と氷ちんが笑い

「そうだぞ、紫原。感謝しろよなー。」と
先輩も照れている。

そんな、皆の後ろで


「俺が選んだマフラーも喜ばんかい!」

とアゴっぽい人が騒いで多様な気もするけど…まぁいいか。

そんな感じで誕生日を皆に祝ってもらい途中ケーキが出てくる。

聞いたところななちんがわざわざ作ってくれていたようで。

甘さ控えめと普通のと二種類。

もちろん両方とも取って食べる。

やっぱ甘いほうが好きだけど両方とも売ってる物となんら遜色ないくらいおいしくて。

顔が綻ぶ。


「ななちんケーキおいしいよ?」

と言えば『良かった。』と胸を撫で下ろしていて。

料理に関しては得意でも不得意でもないといっていたのに
自分の為に作ってくれたのかと思うと嬉しくて

しかし、良く見るとななちんのケーキは一向に減っていなくて
「食べねーの?」ろ聞けば

『何回も味見してお腹はっちゃって。』

と困ったように笑っていたが、それが余計に嬉しくて胸がきゅっと締まる。

自分のケーキを一掬いし
ななちんの口まであーんすると驚きつつも口を開くななちん。

『お腹一杯って言ったのに。』ともぐもぐさせるななちんのほっぺにチュッとすると





顔を赤くし咽だす。ななちん。


何か、黄瀬ちんや桃ちんがぎゃいぎゃい言ってたけど無視しながら

水を飲むななちんに

「来年も作ってね?」

と言えば

『こんなんでよければいつでも。』

と満面の笑みを見られて
また、胸がキュと締まった。


俺、本当にななちんが好きなと。

再確認した誕生日だった。




















































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