▲壁どんからの…ver,海常






『……と言うことで、海常からです!』


とパチパチと一人拍手に、呆ける海常組。


「ちょっと待ってほいしっス、説明とかないんス?」


いきなりのことで戸惑う海常を代表し
黄瀬君が話し出す。





『ごっほん。…今回は説明にもありました、
 壁ドンからの…シリーズです!

 壁ドンしたあとに皆がどんな対応をするのか
 という斬新で羞恥いっぱいの企画なのです!

 因みに、壁ドンからの一言で誰が一番素敵だったか
 決めると言うものなので

 まぁ、えっと頑張っていきましょう!!』





たんたんと今回の企画の話を進めるも
海常組はポカーンなままで。



「ちょ、ちょちょ、ちょっと待ってくれ!
 なんとなく内容も意味も理解したが

 なんで、うちからなんだ?」

と顔を真っ赤に笠松さんが訴える。


確かに、笠松さんには難易度は高いかもしれない。

すると小堀さんがもしかして…と話し出す。

「俺たち本編ではあまり出てこないから、
 俺たちから…とかなんじゃ?」






『さすが!その通りだと思います!

 海常は出すタイミングがないし
 黄瀬君は黄瀬君でバスケ部入部が遅いからね!』




そうなのだ、黄瀬君は2年にならないと出てこない。

まあ、私から絡みに行けば良いのだけれども
何か中学校の黄瀬君って今の2倍はめんどくさいんだよね。

「…ななっち顔に気持ちが出てるっスから。」

と言う黄瀬君はスーパー無視だ。



『えへ?…まあ、そんなこんなで開始ー!!』












▽▲












「で?誰からはじめるんだ?」

と真剣な顔の森山さん。




「も(り)やまセンパイ顔がマジ過ぎです!!」





「当たり前だ。こんな機会滅多にないんだぞ。
 …ちなみに俺は最後から二番目が良い。」

突っ込む早川君に対して、そう言い張る森山さんに
笠松さんは呆れていて。



「いや、意味わかんねーよ。順番に何の意味があるんだ?」


ちなみに私も順番の意味は分からないが
最後から二番にこだわる森山さん。



「まぁ、気持ちは分からなくもないっスね。
 …じゃぁ森山先輩は最後から二番目で、

 最後は笠松先輩が閉めてオッケーっスよね!」



と笑顔で言い切る黄瀬君に笠松さんは
「おおおお俺が最後なのか!?」
と怒鳴っていたような、

戸惑っていた様な、

そんな声が響いた。








No・1黄瀬君。




「やっぱ。こゆうのは俺の仕事っスよねー。」


とやる気満々の黄瀬君。

しかし、いざやるとなると
こちらもこちらで身構えてしまって

なんだか恥ずかしい。

誰だよ、これ企画したやつ。





すると

「ななっち、ちょっとごめんス?」

と、いきなり黄瀬君が断わりを入れるので

どうしたのかな?
とふっと上を向いてしまう、


その一瞬だった。

黄瀬君の左腕が背中に回り
反対の右手で黄瀬君は壁とトンと少し強めに叩く。

いわば、壁ドン状態で私の背中に
手を回してくれているという紳士的スタイル。




「なな…。」


いつも、〜っちとつける彼は
こんなときに限って〜っちをつけない。


『……黄瀬君。〜っち付け忘れてる。』

けっこう恥ずかしいこの状況で
何とか違うことに話を逸らそうとするも

「わざっとっス。」

なんて笑われてしまえば二の句も告げられない状態で
ただただ顔が赤くなる。


身長差もけっこう有るので
少し前かがみになっている黄瀬君がまた良い感じで。

どうしよう…と考えていると森山さんが
「はい、黄瀬終了〜。」と
終わりの合図を出してくれる。

なんともありがたや。




『ふぅ、これなかなか恥ずかしいね。
 私全校終わるまで生きててられるかな…。』


と心配する私をよそに

「背中に手を回すのは良かった。」

だとかなんだか向こうで意見交換してる。


おいおい、大丈夫か海常よ…。
と思ったのは仕方ない。









No・2 早川君




「よおーしガンバ(る)ぞー!!」

と意気込む早川君を見ると少しほほえましくなるが
熱気が半端じゃなくて、

壁をドンした勢いで壁に穴を開けそうだ。




「いきますよ!ななさん!」

と言う早川君に

『え?あ、はい!』

と返事をしてしまう。

行きますって直接言われると、
それはそれで恥ずかしいんですけども。


しかし、行きます。

と意気込んでから立ち尽くしたままの早川君。

顔は赤い。

『…早川君?』

と声を掛けるも返事はなし。

緊張しているんだろうな。と思い

一歩前に近づくとヒュンと顔の横を何かが通り過ぎる。




そしてそれとほぼ同時に聞こえてきたのは
ドンとは近いようで遠い

ガンっといった音。




恐る恐る横を見ると早川君の腕が伸びていて

何だか少しふるふる震えている様にも


見えなくはない。

ちなみに壁は少しヒビが入っている。





「お(れ)と…お(れ)と…」









「「…ちょっと待てー!!(っス!!)」」


と何かを言おうとした早川君を
黄瀬君と森山さんと笠松さんが止める。

しかも、笠松さんにいたっては
とび蹴りという、なかな暴力的なやりかたで。




『ど、どうしたの皆!?』

と私一人驚いていて、

小堀さんは困ったように笑っていた。




「何やってんだてめぇえ!!」



などなど三人が凄い剣幕で怒っていたため
少し後ろにさがり小堀さんに内容確認すると

どうやら、早川君の勢いが良すぎて
傍から見たときキスしてしまいそうな距離だったとか。




『なるほど、それで。
 私、全然気がつかなかった…。』

と言えば

「ななさんはそうゆうとこ抜けてそうだもんなあ。」
と小堀さんに笑われた。









No・3 小堀さん






「俺はできない。」



開口一番のやらない宣言。まさかの宣言。


「えー!そんなんアリっスか!?」
と驚く黄瀬君の横でも冷静なままの小堀さん。




「俺は、お前らのこと凄いと思う。
 好きな相手に向かって真正面で向き合っていくお前らが…。」

そこまで言うと小堀さんは少しうつむく。


「だからこそ自信がないんだ。
 こんな曖昧な気持ちで俺がやったところで、

 どうにもなんないんじゃないかって。」



「小堀先輩…。」



黄瀬君と早川君は何だか目がきらきらさせている。

なんというか「この人は凄い。」みたいな顔して。

一方で森山さんはうんうんと頷いていて

笠松さんは「お前が共感するな。」と
頭を抱えている。




「ななさん。悪い。こんな良く分からない状態で
 あなたに言い寄ることなんてできないよ。」

そう言って優しく頭を撫でる。

なんとも真面目な小堀さん。



『そうですよね、小堀さんがそう言うなら
 それでもオッケイです。』



と私が笑うと安心したように笑いかえす小堀さん。

後ろで頭を抱えた笠松さんが

「それは、遠回しに俺らがななさんのこと
 好きってことじゃねーか、、、。」

と顔を赤くしていたことは気づかなかった。











No・4 森山さん。





「ついに俺の番が回ってきたな。」


さらりと前髪をわける森山さんは
黄瀬君に負けず劣らず男前で。



密かに学校で人気のあると言われる森山さん。
それに気づいていないところを見ると

意外と鈍感さんなのかもしれない。

そんな、彼はどうゆう風に来るのかな?
なんて考えたいたら


なんの前触れも無く森山さんは
私の手をとる。

そして、何故か前にいる森山さんの方に私を引き寄せる。


あれ?壁へドンって言う企画なのに
前?このままじゃハグだよ?と思っていたら

一回前に引き寄せてから
森山さんは自分の体ごと壁ドン。


なので、如何せん距離が近い。


しかも、手を顔横に縫い付けられている体制で
よけいに恥ずかしい。



『も、森山さん?』



ゆっくりと上を見上げるとバッチリと目が合う。



「どうしたなな?…こわいか? 」



そう言いながら笑う…というより
微笑む森山さん。


『怖い…と言うより恥ずかしい、かな?』




目線を泳がせ下を向くと頬に添えられる手。




「そこは、怖いって言ってくれないと
 止められないだろ?」





そう言うとじわりじわりと縮まる距離。
あれ、どうしようと内心焦っていると




「はいっ!ストップっスー!!!」


と黄瀬君の明るい声で止められる。





「森山先輩やりすぎっス!
 先輩こそチューしそうだったじゃないっスか!!」




と怒る黄瀬君に「据え膳食わずはなんとやらだろ!」と
よくわからない返しで森山さんも怒っていた




『びっくりしたー!本当にキスしちゃうところだったよ。』

と振り返った先には、笠松さんがいて。


笠松さんはどうやら、こちら側の向こうに行こうとして
前へ踏み出したタイミングだったらしい。


ぶつかりはしなかったが運悪く
笠松さんの頬っぺたに口がかすってしまったのだ。

なので、形としては一瞬ほっぺにチューを
私からしてしまった感じで。







『わっ。…ごめんなさい。大丈夫……?』


大丈夫?と私が慌てて笠松さんを見ると

既に顔を真っ赤にさせていて
口を金魚のようにパクパクとさせている。




『あの…笠松さん?』

と顔を覗き込むと「うおっ!!」オーバーに驚くので
つられて私も驚いてしまう。




「いや、あの、その、、、。」

と、戸惑う笠松さんにとどめを刺したのは黄瀬君で。


「事故とは言え笠松センパイずるいっス!
 !ななっちとキスするなんて!」

と、ほっぺにチューしたことをこだわる黄瀬君に



「おい、黄瀬馬鹿っ!」
とすかさず小堀さんが止めに入るも


赤かった笠松さんの顔は更に赤みを増し

ぼふんとショートしそのまま
その場に倒れこんでしまう。





「笠松…なんて良い死に方だ。」

なんて森山さんは冗談言ってるし

「黄瀬!とどめ刺した(ら)ダメだろーが!」

と早川君は怒っていた



黄瀬君は黄瀬君で「笠松センパイ…。」と

なんだが申し訳ないような顔してつぶやいていた。
















『…と、とにもかくにも笠松さんは棄権という事で
 海常組は終了です!』






『あなたの一番は誰でしたでしょうか?


 ちなみに私は、本当に好きな人じゃないとできないと
 照れていた小堀さん優勝です!!

 …ん?黄瀬君何?主旨が違う?


 んん??何だか後ろが騒がしい気もしますが気にしません!
 次回の高校をお楽しみ!!』














以上。




prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -