▽04,


《えー、茶番はそこまででいかな?》


マイクから流れる淡々した声に、
体育館は一斉に静まり返る。
声からして歳はそんなにとっていない感じで高め。
ハキハキとした話し方というよりは
ゆったりとした話し方。紫原君ほどではないが
間違いなく、男の子であることは分かる。


「あんた、誰っスか!こんな所に皆集めて、
 どうゆうつもりなんスか!」


謎の声に驚いている中、
黄瀬君が臆せずギャンギャンと吠える。
いつも、そんな彼に煩いとひと蹴りする笠松君は
眉間に深い皺をよせ、

教壇の近くのスピーカー睨む。


《どうゆう、つもり?ふふっ。それは、これから
 ちゃーんと説明してあげるよ?

 直ぐに、死なれちゃ困るから、ね?》

スピーカー越しでも分かる、
人を小馬鹿にしたような笑い。


「死なれたら困るだぁ?
 あぁ?てめぇ、ふざけてんのか?」


どちらかと言うと、あ"あ"?と
ドスを効かせて青峰君は
ぐっと前のめりに体を付きだし
教壇に向かおうとするのを

今吉君が制止する。




「青峰、相手に翻弄されるな。見苦しいのだよ。
 …たが、しかし。姿を見せないような奴に
 どうこう、言われる筋合いはないな。」


緑間君は、くいっと眼鏡のブリッジをあげるも
敵意は一ミリも隠せていない。
いや、隠す気もないということか。



《今はまだ、お預けってこで多目に見てほしいね。
 ほら、ラスボスは最後に出てくるものだろ?》


悠々と話す、自称ラスボスさん。


「君が、誰かと言うことは後から暴くとして
 いい加減俺達をここに連れて来た理由を話して
 くれないだろうか。」


赤司君はラスボスさんに負けず劣らず淡々と
喋っているけど威圧感が半端ない。

感情を、表に出すタイプではないはずの彼が
怒っていると私でもわかってしまうほどに。

しかし、スピーカー越しの彼は
動揺ひとつしていない。


《ふふふっ。やっぱりキセキの世代の皆は元気だなぁ。》




「…いや、俺なんもいってねーし。」

ふふふ、と笑うラスボスさんに紫原君は小さく
突っ込む。うん。
私は聞いているよ。


《ここに君らは連れて来たのはね。もちろん
 君たちに死んでもらうため。
 だけど、簡単にはいかなくてね。

 この、ステージを作り出すのに
 時間がかかったんだよ?》


なんなの?言っている意味が分からい。死ぬ?
何この人。本当に人間なの?
只でさえ意味の分からない場所に連れてこられて
もう、私の頭はショート寸前。


私の近くでダンっと火神君が立ち上がり叫ぶ。

「てめぇ!ぶさけてんのか!?」

火神君だけではない。
この状況で皆は恐れるどころか
怒りに満ち満ちている。
流石は強豪なバスケットチームだなぁ。


「火神君。姿が見えない相手に怒っても
 仕方ないですよ。
 ですか、冗談にしては質が悪すぎです。
 なんだか気に入りません。」

黒子君は、スッと後ろから表れ火神君の横に並ぶ。
その様子は怒っている。
言ってることとやってることが矛盾しているが、

彼もそうとう怒りがきているのだろう。



《ふざけていないよ。本気だよ?
 君達をここに連れてくるのにどれだけ時間と
 リスクを背負ってると思う?

 間違いなく、僕も死ぬだろうね。

 だが、良いんだそれで。僕は満足さ。

 だが、しかし死なない方法もあるよ?

 そのためのこの、ステージなんだから。》




「ふーん…んで?

 いやぁーさ、死ぬとか死なないとか
 ぶっちゃけ話が飛びすぎて
 意味わかんねーよ。マジで。」

高尾君が若干引き気味で話す。ほんとにね。
私も同意見です。


《うん。まぁ、そうだろうね。
 この世界の話からしようか。

 ここは僕の作った世界。解りやすく言えば
 2.5次元。…精神世界といった方がいいかな?
 だから、君らは生身の身体じゃないが五感は
 そのまま。この世界で死ねば精神が死ぬ。

 だから、君らの身体は植物状態に陥る
 …と言うことだ。》


さらさらと、話される世界の話。


《この世界創るにあたって、僕の方で幾つか
 ルールを作った。

 いや、作らざるえなかった。
 といった方がいいかな?

 さっきも、言ったけどこんな世界を創るには
 なかなかリスクが高くてね?
 本当は、君達が無惨に死んで
 植物状態になった姿を
 嘲笑いたかったんだけど、どうしてもね、》







「ふはっ。人のこと言えないが、なかなか良い
 性格してやがるぜ。」

花宮君は考える様に顎に手をあてている。

《確かに君には言われたくないな。悪童さん?

 まあ、決まり…みたいなものかな?
 君達が死ぬように作れば生き残れる様な道も
 必ず作らなければ行けなかった。と言うわけだ。

 望むものには、それなりにの対価が必要だと
 言うことだね。残念だったが。》


そこまで話すと、一息おいて赤司君が話し出す。








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