▽32.








いきなりのことで呆けてしまう
私、虹村さん、黒子君、日向君、伊月君、火神君の
六人に周りのメンバーは心配して
駆け寄ってくれる。


「とりあえず何があった話してもえるかい?」

そう言って来たのは意外にも氷室君で
友達の虹村さんや義弟の火神君が探索メンバーに
いたことが理由でか心配しているのが
目に見て分かる。



体育館に最早恒例となってしまった円を作り座る。


どうやら私達と同様に
体育館にもいきなり濃い霧が現れ

晴れたと思ったら私達が体育館に居たとの事だった。

こちらも今までの経緯を話す。
もちろん火神君の行動にはリコちゃんが怒り
正拳が火神君の頭に落ちたのは言うまでもない。

ちなみに天窓から抜け出た私は日向君という
同罪者がいたため強く責められることはなかったが

「天窓から落ちたななさん見てみたかった。」と
爆笑している高尾君をジト目で見てしまったことは
許してほしい。


「にしても火神っち、やりすぎじゃないっスか?
 どう考えても高校生の行動には見えないっス。」



話を聞き終えた面々は色々と思うところがあるのだろう。
黄瀬君の言葉にうんうんと頷く。
「いや、だってよ。」と口ごもる火神君に
氷室君が
「シュウも、そうとうだけとね。」
とフォローを入れるも「お前だけには言われたくねぇ。」と

虹村さんは呟いていた。
その言葉を理解できるのは陽泉のメンバーと
火神君くらいだろう。



「なるほど、それじゃ最終的に水色が出てきて
 ステージクリアと言うわけか。」

何かを考えるように黙る赤司君。
しかし、それを汲み取った様に話し出したのは今吉君だった。


「ラストステージ言うとるくらいや。何か派手な仕掛けが
 あるもんや思ってたが、何や拍子抜けやなぁ、」

と、いつもの悪い笑みを浮かべると
少し考える素振りを見せて 

いきなり、えぇそれは本当にいきなり今吉君が
大声をあげる。



「自分見とるんやろ!聞いとるんやろ!
 こんなんで、終いなわけないな?」


もちろん周りの皆はぎょっとするも
横に居た赤司君は、やれやれといった表情で、


『い、いいい今吉君!?挑発してどうするの?』


「そ、そそそそうですよ!いきなり、がっ!!と
 僕らやられてしまいますよ!!」

私の声に桜井君が激しく同意する。


「あほか、いつまで待っとっても状況は変わらんのやから
 こっちから動くしかないやろ。」


と今吉君は言うのだ。
近くで花宮君は

「人の嫌がることに関しては右に出る者はいねぇだろうから、
 まかせとけばいいだろ。

 妖怪には妖怪だな。」

と花宮君は笑っているけど
若松君が怯えてるから止めたげて、と思う。

しかし効果はあったみたいで



体育館の放送にスイッチが入る。




《ふふふふっ、思っていたより
 挑発的なんですね?
 
 もちろんですよ?

 ですが、その前に宝箱を開けてみてくださいよ?》



確かに開けていなかったやと思い
宝箱にてをかける。
赤司君が心配そうな顔をしていたが
《何も仕掛けていないよ》と言うと水色君の言葉を
信じようと思う。


開けると、確かに仕掛けはなく入っていたのは
拳銃の最後のパーツ。


それを、赤司君に渡さすと彼は難なく組み合わせていく。
その様子を見ていた福井君がはぁーと溜め息を溢す。

「マジすげぇな、赤司。」



「どうした福井?気になるアルか?」


どちらかと言えば恍惚とした顔で赤司君を見ている福井君。


「いや。俺あーゆうやつ好きでさぁ。」

と言うことはプラモデルとかそう言うのが好きなのだろうか。

「そうアルか?私には分からないアルね。」

一方で劉君は全く興味なさそうだが。
そうこう話している内に赤司君は拳銃を作り上げる。

最後に一番始めに見つけて来た
弾丸を嵌める。


「ぴったりですね。」


全ステージをクリアして手に入れたのは
一発だけ撃てる拳銃。

帰るために必要なアイテム。



《さすが赤司君?君ならこの程度
 作り上げられると思っていたよ。》



そう言うと水色君が、今度は姿を現す。
会ったことのあるメンバーは警戒し
会ったことのないメンバーは驚きを隠せずにいる。


青峰君が赤司君の作り上げた拳銃をまじまじと見る。
彼は水色君の姿に驚いてはいないようだ。

「これが必要なアイテムってことか?」



「ああ、そのようだ。
 しかし腑に落ちないな。」


赤司君は自分の手の中にある拳銃を見つめる。



「あ?なにがだよ?」
と青峰君は良く分かっていないようだ。

「峰ちん本当に馬鹿ー。これだと、誰かが何かを
 撃たなきゃいけないってことじゃん。」


と間の抜けた話し方は変わらない紫原君。
でも、その顔は真剣で。



《そうだね。そうだよ。
 誰かが何かを撃たなきゃ帰れない。

 そうゆう風に創った。》


体育館ステージに腰掛ける水色君は
ふふふと笑う。


「んだよ!それ!」と火神君が怒るも
水色君はどこ吹く風の如し。
正直、話しもぶっ飛びすぎで理解しづらく
皆からも重たい空気がながれる。


「ねぇ?あんたを撃ち抜くんじゃ駄目なの?」
と怖がることなく原君がもの申す。

その態度に霧崎第一は誰も止めやしない。



《残念だけど僕は創設者だからね。
 対象外だよ。》



「ちっ、やたら素直にステージクリアさせてくれると思ったら
 最後の最後にこれか。

 本当に性格悪いな。」

と苦々し顔で舌打ちをする花宮君。
流石にここまで酷いとは思っていなかったのだろう。

《悪童の、君に言われたくは無いね。

 まあ、しかし否定はしませんよ。
 あえてクリアできるよう仕向けた。

 その結果ここまで誰一人として欠けていないでしょう?


 最後に誰かが死ななければいけないのだから。》




「ってめぇ!ふざけんじゃねぇぞ!
 お前が何にキレてこんなことしてっか分かんねぇし

 分かりたくもねぇけど冗談も大概にしやがれ!」


ダンッ!と怒りを露にし宮地君が水色君へ向かおうとするのを
さすがに、と思ったのか大坪君と木村君が止めている。


「水色、貴様はどうしてこうも俺達にこだわるのだよ。」



ぽつりと緑間君が宮地君達の後ろから言う。





《どうして?愚問だよ。
 一軍にいってしまった君たちには分からないだろうが

 キセキの世代と君達が呼ばれるようになってから
 例えどんなに頑張って一軍へ這い上がっても

 ベンチ入りすら出来ない。
 練習試合も出さしてもらえない。

 でも、それでも!諦めず憧れ尊敬し
 君達という光を追い続けた、それなのに!


 君達のプレーは相手を馬鹿にすようなプレイばかり。

 僕は辛かった。

 どんなに望んでも凡人には手に入れられない力を持っていて
 なのに、それを悪質に使い

 悔しくて練習した結果膝を痛めてバスケは二度と
 出来なくなってしまった。》


《だから、僕の見た絶望を君達にも見てもらいたいんだ。


 ね?これで公平だろ?》


と笑みを絶やさない水色君はもう狂っている。



『何が絶望?』

言い返してはいけない。
頭では理解していても話すことを止められなくて。



《…何が言いたいんだ?》






『何が絶望だって聞いたの。

 バスケができなくなったこと?
 皆のプレーを見て裏切られたと思ったこと?


 そんなのどっちにしたって貴方の思い違いじゃないの!?


 天才には天才の辛さがあるはずでしょう?
 確かに水色君から見たら贅沢な悩みだったかもしれない。
 でも、そんなこと水色君での価値観じゃない!
 
 膝を痛めてたことだって
 本当にバスケ出来なかったの?
 本当に辞めるしか道はなかったの?

 途中で自分で見限って諦めたんじゃないの?
 今の木吉君見てもう一度同じこと言える!?』


「おい、ななっ」と虹村さんが止めに入るも
もう止まらない。


『ねぇ、、捨ててしまったのは自分じゃないの?』


最後の方は力尽きて声が萎んでしまう。
先程から無言で聞いている水色君、



《分かっていますよ。諦めたのは僕だ。
 見限ったのも僕だ。

 それでも!許すことはできない!!》

悔しそうに悲しそうに顔を歪める水色君。


《でも、貴女はそんな悠長に僕に説教している場合じゃないと
思いますけどね……。》




『え?』と聞き返すも水色君はストンとステージから
体育館に降り一歩、また一歩と
こちらに歩み寄る。




《しっかりとお話をしましょう。

 今までのステージで集めてきた拳銃を使って
 この世界から出ることが出きる。

 もちろん、誰でも良い様に初めはプログラミングしていた。

 しかしステージを、クリアしていく中で
 考えが変わりましてね?

 人を限定しました。

 そちらの方が面白いかなと、思いまてね?》



その言葉に皆が言葉を詰まらせる中
私は一人冷静で

そうか

あの紙はこの事を言っていたのかと。

なら、私の選ぶ道は1つしか無いだろう。




もう後には引けないのだ。







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