▽27.





「何か言いたいことはあるか?ん?
 言い訳なら今聞いてやる。」




緑間君をしばき終えた虹村さんが
私の目の前で素敵な笑みを浮かべて

またしても仁王立ちしていらっしゃる。


『申し開きようも、、、ございません。』


因み私は座っている状態から移動していないので
まさに説教されている図になるだろう。


どうやら、内容を緑間君に聞いた虹村さんは
私が一人でプールまで逃げたことに怒っていて


「まず、一人で逃げてる事に納得いかねぇ。
 何歩か譲って緑間の責任にしたって
 まず、体育館に逃げ込んで来るべきだろ?ん?」


分かる。この笑顔は怒っている。
だって、あひる口になっていらっしゃるもの。

そんな判断ができる状況じゃなかったんだよ!と
抗議したいが

言えれるような雰囲気でもない。

助けを求める様に黒子君を見るも、ワンコのように
眉を下げふるふると首を横にふる。
助けられない。という意味だろう。


『確かに、、体育館へ来るべきだった…かも、、』
とゴニョゴニョ言うと虹村さんがため息をつく。

すると、仁王立ちの状態から屈んで私の目線にあわせる。



「たくっ、心配して待ってる身にもなれ。
 無事だから良かったものの。

 …わかったか?」


そう言うと虹村さんはぐしゃぐしゃと私の頭を撫でる。



『ごめんね。それと、ありがとう。
 …あとさ、私…一応歳上なんだけどな?』

と虹村さんを見ると「わかってるけど、見えねぇからつい。」
と笑われてしまった。




「虹村さん、そろそろいいですか?」と赤司君が
声をかけ
その場は何とかおさまる。

それと同時に収集もかかり体育館真ん中へと移動する。


宝箱がぽつんと置いてあり、そういえば
開けてなかったなと近づき開けようも手を伸ばすと
がっと赤司君に手首捕まれ止められる。


『え?、開けないの?』


驚いて赤司君を見ると
「何かあればこちらでもファローしますが
 気をつけて下さい。」
と言い手を退ける。

最後に「わかったね?」と赤司君に言われ敬語とタメ口を
うまく使いこなす赤司君は
本当に女の子をタブらかす天才なんじゃないかと
関心どころか心配になる。


しかし、とりあえずは目の前の事を先決しなければと
赤司君に『わかった、』と言い宝箱を開ける。

きぃーと音をたてて開いたその中には
予想通り拳銃のパーツ。とプラスドライバーや
マイナスドライバー等の工具。


「ふむ。」と赤司君はそれを手に取ると
今までのパーツを工具を利用し組み合わせいく。

すごい良くわからないけど合体してる。
というか、どうして組み立てれるのだろ。


皆も同じことを思っているのかぽかーんとしていて。


因み一緒にいた虹村さんだが、今少し距離をおいている。
おそらく……なのだが、さっきから実渕さんが
めちゃくちゃ虹村さんを見てる。

虹村さんはそれに気づいてか実渕さんから離れていて

高尾君がタイプだと思っていたが
なるほど。虹村さんもタイプなのね。



すると「ああいう、危ない香りがする人も良くないかしら?」
と私の心を読んだのか小声で実渕さんはそう言うと
ぱちんと綺麗なウインクを決められてしまった。



「やはり、あと一部部品が足りないな。」

組終えたのか赤司君がコトンとそれを床に置く。

拳銃の、原型が分かるほどに組み立てられていたが
確かにどこか不格好で。



「やはり、あと一ステージ残っているということでしょうか。」


ぽつりと言う黒子君の言葉に皆押し黙る。


「まあ、間違いなくそうやろうな。
 今回も来てるで、、、予告の紙。」


と今吉君がヒラヒラと紙をだす。




「ちっ、持ってやがるのにこのタイミングまで
 出さないとかマジで悪趣味だな。」

けして堂々と言う感じはないが悪態つく花宮君に
「そない意地悪ちゃうで?」と
ふふふと笑う今吉君に更にちっと再度舌打ちをしていた。


「ねー、何て書いてあんの?」と
二人のやり取りに臆することなく葉山君が
身を乗り出す。


どうぞ?と今吉君が葉山君に紙を渡す。


「えー、と…」と首をかしげる。

「もうっ!」と言いながらその紙を実渕さんが
葉山君から紙を奪い取る。

どうやら、紙には




ラストステージ、宝探し。
三軍体育館にて開催。




のみだった。


『何かいきなり雑になったね。三軍専用の体育館ってこと?』



「そうッス!因みにここは一軍専用ッスね!」

と、私の質問に元気良く黄瀬君が答えてくれる。
黄瀬君の、横で笠松君が何か納得していて


「わかっちゃいたが、、流石帝光。設備が半端ねぇな。」と
ぼやいていた。



『そっか、やっぱ大きいんだね帝光中。』


すると一番始めに黒子君が見つけた地図を赤司君が
持ってきてくれて、三軍体育館の場所を教えてくれる。


「ここからは、そんなに離れていていません。
 場所も流れからして誠凛、黒子達が行くとなれば
 まず、問題はないはずです。」

と丁寧に教えてくれる赤司君。
なるほど。一軍、二軍、三軍で並んでて渡り廊下を
進んでいくようだ。

因みに三軍の体育館が、一番小さい。


赤司君いわく三軍横にバレー部体育館もあり
狭いんだとか。



そして、やはり最後は誠凛組が行くようで
火神君がストレッチし始めていた。



「うっし!次は俺らの所だよなっ!」



うきうきする火神君を物凄い顔で誠凛組は見ていて
日向君が、

「いや、何でお前がそんな嬉々としてんのかわかんねぇよ。」
と、顔をひきつらせている。

「火神君、大丈夫でしょうか?試合か何かにと
 勘違いをしているのかも…。」
と、黒子君は…いろんな意味で心配していたが

「おい!黒子!聞こえてんぞ!」

と火神君はどうやらバカにされたことには
気がついているようだ。


「火神がバカにされて鏡をバカーンと割る!」

「いや、もう意味すらわかんねぇわ伊月。」


もう、突っ込む気にもなれねぇと日向君は頭を抱えていて
突っ込み役の日向君はこのメンバーじゃ
そりゃ疲れるだろうよ。と思う。


「ほら!あんた達!バカやってないで気を引き締める!」

リコちゃん監督の一声によりチームに少し緊張感が戻る。

うん、良い監督だ。

「あと、悪いけど鉄平は留守番ね?」と、リコちゃんが
さらりと言うと火神君と私が「『え!?』」となかなか良い
リアクションをとる。

「さっき、鉄平とも話したんだけど元の世界でかなり膝を
 痛めてる状況だからね、今この状態で痛くないと言っても
 出来るだけ動いてほしくないのよ。」



そう言うリコちゃんは少し悲しそうで
もちろん、等の本人木吉君も残念そうで

日向君と伊月君は、
ばつの悪そうな顔をしている。


「悪いな!ここまで来て一緒に行けないなんてな!、、。」


「先輩…。」

それでも明るい声を崩さない木吉君に火神君は
なにんとも言えない表情で。


一番悔しいのは、仲間を危険な場所に送り出すことしかできない
木吉君本人なのだろう。

私はそんな彼の気持ちをすくい、出来るだけ明るく言葉を放つ。


『わかった!最後だし、ちゃっちゃっと終わらせて
 皆、元の世界に帰ろうね!』

木吉君にそう笑いかけると笑い返され「ああ。」と
彼が笑顔にもどって良かったと思う。

「ま、木吉のことはしゃーねぇとして
 そしたらあれか?カントク俺らの所は他の
 高校に比べて人数すくなくなるっつーことか?」


と、日向君は頭をかいていたが
リコちゃんが「そこは問題ないわっ!」明るく返す。
それはそれは、にこにこと。

「これも、さっき話して決めたんだけど
 鉄平の代わりに虹村君が行ってくれる事になったの。」

むしろ頼りになるでしょ?とリコちゃんは親指立てて
ぐっ!としているも残りメンバー呆気に取られる。





「「「「『え?』」」」」

と言うと私たちと


「いやー。わるいな!」
 
と笑う木吉君。



「俺も行きたかったら問題ねぇよ。」

とごく普通に話す虹村さん。


「いやいやいやいや?カントクっ?
 中学時代ナンバーワンプレイヤーの虹村修造だぞ?
 あの!!」

と若干興奮気味の日向君がリコちゃんの肩をごんごんと
揺さぶっていてリコちゃんもはうざそうだ。


げんに「ちょっと、日向君痛い。」と振り払っている。


「馬鹿ね!そんなこと分かってるわよ。
 私を誰だとおもってんのよ!

 バスケから一旦は離れたとは言え、やっぱり数値は
 かなりのものよ。

 盗めるもんは来年に向けて今から盗まなきゃ!」

と、ガッツポーズを作るリコちゃん。



「いや、まあ。そうなんだけどよ。」と良い淀む日向君に
「日向、中学ん時からバスケ好きだしな。
 虹村さんのこともそうとう見入ってた。」と伊月が、
こっそりと教えてくれる。


なるほど緊張するのかな?と思うと
「そんな、すげぇもんじゃねぇよ。」と虹村さんが後ろで
頭をガシガシしていて

伊月君が何故か「悪いな。」と虹村さんへ謝っていた。













「それでは、赤司君。行ってきますね、」

結局、木吉君の代わりに虹村さんが行くことで話は纏まり
黒子君は出立前に赤司君に、声をかける。
「ああ、気を付けるんだよ。」と赤司君は赤司君で
何だか親の様な返答をしており少し可笑しくなる。


すると、ずっとバスケットボールで遊んでいた青峰君がボールを
黒子君に投げ「テツ、油断すんじゃねぇーぞ。」と
声をかけていた。


黒子君はぎゅっとボールを抱きしめ「はいっ!」と
頷き皆で体育館をでたのだった。



ただ、己で体育館を出ることを許されない虹村さんは
体育館を出るその瞬間だけ火神君に担がれており

なんともシュールで笑いそうなった。








prev / next

[ back to top ]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -