▽01.


絞り出した私の声は、自分でも分かるほど震えていて。

でも誰にも頼れなくて、
とりあえず眉麻呂の彼を見る。


年下になに気負けしてんだ、自分。



よし、正直に話しても絶対怪しまれるけど
下手に嘘ついて怪しまれるよりは
正直に言ったほうが…ましか。うん。

一人で意気込むも、いざ!となれば
なかなか口火を切れない。

そんなとき私の肩に誰かが、
すっと手を置き一歩前にでる。
あ、黒子君だ。


「花宮先輩、赤司君。
 すみませんがそんなに威圧しては
 彼女も話しづらいんではないでしょうか?
 いきなり友好的……にはいかないでしょうが、
 困っているのは皆同じです。

 せめて、自己紹介からしませんか?」


黒子君は少し私を庇う様に前に出ると怖がりもせず
赤司君や周りを見やる。

何人かは不服そうであったが、

もう何人かは”そうだな。とか そうだね。とか”
同意をしてくれる。赤司君も少し黒子君を見て
ふっと柔らかい笑み零す。


「黒子らしいな。分かった。
 自己紹介から始めようか。」


あれ?赤司征十郎ってこんなキャラだったか?
と思うも、この流れ的には自分から自己紹介を

しないといけないだろうから、
一旦考えるのをやめる。



私の横に座る黒子に目をやるとバッチリ目が会う。
彼の顔色からは表情は伺えないが。

「黒子君ありがとう。」

「いえ、僕は思ったこと言っただけです。」

ふんわりとした独特の笑みを見せてくれる黒子君、
本当に紳士。

よしっと心の中で気合を入れなおし
前しっかり見据える。

大丈夫。皆年下だ。


なんなら今のこの状況だって
現実とは言いにくいじゃないか。

何を恐れているんだ自分。

いや、なんとも言えない恐怖感に
身体は支配されているのだけれど。

『えっと…。秋山ななといいます。
 歳は…まあ20代ちょいちょいで、
 ここには家に帰っている途中
 気を失い気づいたらここの体育館にいました。
 …といっても俄かにも信じがたいですよね?』


自分で話していても、
なんだか信憑性にかけている気がする。

小さいため息を短く吐き気まずさに耐える。
赤司君は何か考えているようだし。

どうしよう…と
考えてたら誠凜組の木吉君がしゃべり出す。


「いや?そんなことないぞ。
 俺達もWCが終わって、控え室でなんか
 やたら眠たいなと思ったら体育館で
 寝てたもんな!な!日向!」


木吉君は疑うことを知らないんだろうか。
すごく良い笑顔をで日向君に振り返る。

「な!…じゃねーよ。この、ダアホ!
 ちったあ、この状況に焦れよ!」

「この状況に好状況、向上!…キタコレ」

「伊月はもう一回寝ろ。そして二度と起きるな!」

………うん。原作とは変わらぬこの感じ。和むわ。

「誠凜さんは自己紹介済みっスよね!
 じゃあじゃあ、
 次は海常の番で!」

しゃらららーん。とした聞こえないはずの効果音を
響かせながら、黄色の髪の少年がずいっと身を乗り出す。

が、「テメーも少しは落ち着いて話せねぇーのか!」
と間髪入れず黒紙ツンツンの人から蹴りが入る。
地味に痛そうである。


「笠松先輩、いきなりヒドイっスー!」

と蹴られた背中をさする。黄色い彼。威厳もへったくりもない。

「悪ぃな。俺は海常高校3年バスケットボール主将
 笠松幸男だ。
 で、こっちは同じ3年の小堀浩志」

「よろしくな。」

人の良さそう感じの小堀さん木吉族?なのかな?

ツンツン彼はやはりと言うか主将の笠松君か。

…そうか。この位距離が開いていれば
普通に話せるのね。君。

なんて、考えていると、どこから近寄ってきたのか
知らぬ間に私の手を取り目をきらきらさせる少年が一人。

「どうも。紹介が遅れてすみません。
 海常高校3年森山由考、
 と言います。ここで貴女に会えたのは俺と貴女の
  運 命 です。」

ずいずいと近づいてくる彼に失笑しかできなくて、
少し困っていると更に熱い子が話し出す。

「お(れ)は、海常高校2年早川みつひ(ろ)です!!」

『え?早川…君?え?なんて言ったの?』

もはや、ラ行以外も聞き取りづらい。
何言ってるの?
日本語…?

なかなか、親しみやすいな海常…。

でも如何せん皆の距離が近い。

しかし、この状況を厳しい主将が
黙ってるわけもなく
「何、困らせてんだテメェー等!!」と

蹴りとグーパンチが入る。
すばらしいよ。笠松さん。

「じゃあ、最後は俺っスね!
 海常高校1年期待のルーキー!
 キセキの世代背番号7番!黄瀬涼太っス!」

またもや、しゃらららーん。とした効果音を響かせ
いっぱい己の情報を練りこみ決めポーズをとる。
いやー、生で見るとどこから突っ込んでいいか分からない。

いや?突っ込んでいいのか?

『はあ…。どうも、よろしく。』

「え!反応薄いっス!!」

私の反応不満なのかぎゃいぎゃい言う黄瀬君。すまん。私の心中察してくれ。

「んだよ。モデルだか、デルモだか知んねーけど
 良い気味じゃねえか。そのまま轢かれとけ。」

「ヒドイ!ちなみにモデルっスから!」

ふん。と鼻で黄瀬君を笑ったのは蜂蜜色の物騒な彼。
影ながら人気があるだけある。イケメンだ。物騒だけど。
バチっと蜂蜜の彼と目が会い黄瀬君に突っ込んだことを
きっかけに蜂蜜の少年の学校が自己紹介を始める。

「あぁー、俺は秀徳高校3年宮地清志だ。
 まあ、俺らも誠凜と変わんねぇな。WC終わって
 気がついたらここにいた。」

蜂蜜君もとい宮地君は、こう本当に物騒なこと言わなければ
かっこいいのに…と思う。

『そっか。皆いきさつは同じなんだね。』

と、少し小さく返す。本当に第三者目に見ても私が怪しいよな…。
とダンダンと落ち込んでくる。

すると肩をちょんちょんと叩かれ顔を上げる。

「物思いにふけってるとこスンマセン。
 俺、1年の高尾和成。
 で、あっちにいるのが相方の

 ちょっーと変人な真ちゃん。
 緑間真太郎ってーの。」

真ちゃんと言いながら彼は緑頭の長身君を指さし
彼の近くに戻る。
落ち込んでる私を気にかけてくれたのだろうか。

流石、ハイスペック高尾君。

「誰が変人だ。高尾。心外なのだよ。」

くいっと眼鏡のブリッジを押し上げ高尾君を一瞥する。
その右手には何故か鉄バット。

『あれ?この流れだと皆バスケ部だよね。
 それぞれユニフォーム的なジャージ来てるし…?
 なんで…鉄バット?』

まさか、それが、噂のあれじゃないだろうなと、思いながら
とりあえず、質問してみる。
いや、だってスルーしづらいし。

「ぶぶっww!真ちゃん、ほら見てみろって!
 やっぱ変人イコール真ちゃんっしょ!まじでww」
 
高尾君が、これでもかっ!てくらい笑いこけていた。
緑間君はこちらを見て一気に話し出す。

「これは、今日の蠍座のラッキーアイテムなのだ
 よ。迂闊にも俺の蟹座のラッキーアイテムは
 目が覚めると手元にはなく
 体育館一帯を探したが、見つからず
 致し方なく蠍座のラッキーアイテム金属バットが
 あったので持ってきた。
 そのにいる馬鹿が蠍座なのでな。
 ただ、それだけなのだよ。」

「いや、馬鹿って、真ちゃんひどくねー?」

とのこと。いや、意味わからん。因みに蠍座なのはどうやら
高尾君らしい。ふむ。冬生まれなのね。

「まあ、突っ込みたい所はいっぱいあるだろうが
 それも、あいつらの個性で良さなんだ。
 多目に見てやってくれ。」

人の良さそうなガタイのいい少年とも青年とも呼びづらい
しっかりとした感じの人が高尾君の肩をぽんぽんと叩きながら
話す。1チーム一人はこんな感じで優しい人がいるんだなぁ。

『あ、はい。個性が濃くて逆に直ぐ顔と名前を覚えれそうです。』

もう、知ってますけども。主要メンバーは。

「確かにそうだな。おっと、悪い。俺は秀徳高校3年
 主将の大坪だ。あっちの坊主が八百屋の息子で木村だ。」

「いや、おい、大坪。その情報いるか?いらねーだろ。」

「いやー、個性を出していこうと思ってだな。」


3年生組が多いだけあって秀徳組は何だかこう、まとまってる。
緑間君の個性は確かに強いけど、やっぱチームによって
色が変わるんだなぁーとしみじみ思う。


大体これで、半分は終わった、だろうか?

prev / next

[ back to top ]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -