▽24.






あのあとの話し合いで、次の探索は秀徳高校となった。

因み今回は、次回予告的な紙に
敵レベルなし。危険度アップ。
第六ステージ。水の中簡易。


と書いてあったとのこと、

危険なのに、簡易って意味わからない。


しかし、
内容的に頭を使うものかもしれないとのことで
秀徳高校になったのだ。

もちろん、残った誠凛組も馬鹿ではないが
トータルで見たときに
やはり、古き良き時代の残る秀徳は
学校の偏差値も高くバスケをしているとはいえ
それなりに皆頭が良いのだ。

それに加え打倒!赤司!こと緑間君の強いご要望があった。

おそらく…だか、
洛山高校が帰ってきたときに赤司君が言っていた
「緑間までも問題ない」と言う言葉に

彼らしくプライドを感じているのだろう。



あと、問題だったのが目を覚ました虹村さん。
「俺も行く」と言っていたのだが
黒幕こと水色君と今後のことについて何点か確認したい。
と赤司君と今吉君に言われて
しぶしぶ体育館に残ることとなった。


しかし、探索に出る前に
「緑間、頼むぞ。」と声をかけていて
「わかっています。」と強気で返す緑間君は
とても、心強かった。












▽▲









「なんか、分かってはいたけど薄気味悪ぃな。」


北棟二階廊下、先頭を歩く木村君がぼやく。
私はすっかりこの雰囲気になれてしまったが
やはり、体育館で待機をしていた秀徳組には相当薄気味悪く

感じてしまうようで、皆の警戒心が尋常ではないくらい
こちらまで伝わってくる。


「いや、マジで俺ちょっとなめてたわ。
 案外ヤバそうな雰囲気。」


と、高尾君も大坪君に賛同していたが想像以上だったようで
彼自信、戸惑いを隠せていない。


「今さらかよ。散々他校の奴等が走りながら
 戻ってきてただろうが。」

少し呆れつつも宮地君が突っ込むと
全くだと、言わんばかりに緑間君もため息を吐き
ブリッジを上げる。

逆の手には鉄バット。



「全くなのだよ。実際にななも怪我をしている。」





「…いや、まあ、そうなんだけど、、。」
と、高尾君は口を濁らす。


「なんだ、珍しいな。高尾、お前が良い淀むなんて。」

大坪君が少し心配そうに見ている。
確かに秀徳一年コンビは言いたいことははっきり言う。
そんなイメージなのに。



『確かに?どうかしたの?』と声をかけると
高尾君は少し悩みながら話し出す。


「んー、ちょっとまだ自信ねぇんだけど
 あの奥の教室からさ何か良くわかんねぇ気配感じんだよね。」




と二つ奥の教室を指差す高尾君。


皆の雰囲気が、ぴりりと変わる。

いつもなら、笑顔で怒る宮地君も今回ばかりは
真顔で
「……てめぇ、、高尾!
 そうゆうことは始めに言え!轢くぞ!」
と怒っており少し怖い。

木村君も「ほんと、ここに軽トラがあればな。」と
強く同意している。







「うわっ、すんませんって!

 いや、なんつーか今までのパターンだと何か
 発動条件的な?ことがあって

 敵が出てきてたっぽいんで何か怪しいなぁーて。」


確かに彼の言い分は筋が通っている。


『……確かに。…高尾君の言う通りかも。
 チャイムが鳴ったりステージクリアしたりしたときに

 決まって出てきてたし。』


はっきりとは分からないと言う高尾君に

しかし、確かに怪しいと私は賛同しつつ考えるも
なんだか、すべて怪しく思えてきた。



「高尾、まだはっきりとは分からないのか?」


高尾の様子を伺いながら木村君が高尾君を見るも
「厳しいっすね…。」と顔を歪めていた。



「ま、罠だとしても入らねぇ訳にはいかねぇし
 行くしかないか。」



と言う宮地君の言葉に皆頷き教室へと、足をすすめる。
教室手前まで来ると
不意に「なな。」と緑間君に呼ばれて振り向くと
教室入り口から遠ざけられる。
「一番最初に入るな。後に続くのだよ。」と後ろに引っ張られてしまう。 

気持ちはとても嬉しいし、ありがたいんだけど
そうなると緑間君は私と一緒にドアから離れたわけで

先頭はおのず大坪君になる。

「ちょ、ちょっと待て緑間。なんだ?俺が開けるのか?」

、、予想通り大坪君は焦っている。
まあ、まず正しい反応だろう。

しかし、それとは正反対に緑間君は落ち着いていて


「はい、お願いします。」

と真顔で答えている。
もちろん高尾君は爆笑中。


「真ちゃん、マジうける。緊張感ねぇーし!」


「何っ!?失礼なのだよ!俺は真面目にやっている!」
と笑う高尾君に緑間君は持っていた鉄バットを
投げ渡す。


「……っと、危ねぇ!」と言いながら
それでも高尾君は上手くキャッチする。




「貴様のラッキーアイテムだ。自分で持つのだよ!
 そしてそれで、運気は補整される。

 高尾、お前が開けるのだよ。」




「え!なにそれ?!真ちゃん酷くね?」と
ごねる高尾君についに痺れを切らした先輩、、、

いや、主に宮地君が怒る。




「どっちでもいいから、さっさと開けろ!轢くぞ!」


と、先程とはうって変わって満面の笑みで
どちらにしたって怖かった。


拉致があかないと判断したのか高尾君が「へいへーい」と
言いながら大坪君の前に行き、深呼吸をしてドアに手をかける。

大丈夫かな?と少し前に出るもあっさりと緑間君に止められる。

「あいつは誰よりも目が良い。大丈夫だ。
 危ないと判断すれば
 自分でなんとかできはずなのだよ、」
と、あんまりにも真剣な顔で言うものだから
それ以上は突っ込めなかった。


そうこうしている内に高尾君が教室のドアを開く。
後ろで待機していた
大坪君、木村君、宮地君、緑間君と私は
いきなりの襲撃に対応出来るよう銃を構える。


「とりあえず、何、、、もいないっすね。」


高尾君が教室に入り見渡す。

その言葉にひとまず安心し各々教室へ入る。
皆が心配してくれていたこともあり私は一番最後に
教室へと入る…その、予定だった。



教室へ入ろうと進んだ瞬間、自動的に教室のドアが
バシッンと閉まる。

突然のことに私は呆気にとれてしまうが
「「「「なな!!」」」」と叫ぶ皆の声は聞こえる。

私は急いで教室のドアへくっつき『大丈夫?そっちは?』と
声をかける。



その時、タイミングを見計らったようにチャイムが鳴る。




キーンコーンカーンコーン











《第六ステージへようこそ。
 今回は…秀徳高校か。ようこそ緑間君?

 ここのステージはね、少し動き回ってもらうよ。

 まあ、とりあえずは君達の目の前にいる
 モンスターを倒してもらってから、、、ね。》





ふふふ、と軽快な笑い声を残しマイクを切る。



私はすぐに教室の扉へ叫ぶ。


『皆!大丈夫!?』


しかし、直ぐに返事は来ずがしゃんと大きな音が鳴る。



『っ、大丈夫!?』
ばんっと少し強めにドアを叩く。


すると、返事のかわりに切羽詰まった高尾君の声が響く。


「ななさん!そっちもいます!」


高尾君の言葉にハッとし来た道とは逆の廊下に一体のゾンビ。
『ひっ!』と、声を上げるも慌てて口を抑える。


ゆっくりゆっくりとこちらに近づくゾンビ。

やはり、見えてはいるものの目が悪い様で
目はしっかり合っているけれども
捉えていない。そんな感じだ。

ゆっくりと来た道を後退する私。

どうしようかと悩みつつも倒さなければと思い
銃を構え直す。

深呼吸をし狙いを定めた時、教室内でけたたましい
銃声が鳴り響く。


その音に反応したゾンビが私の方を見るのを止め
教室へと張り付く。
そう、ちょうど入り口に、だ、、。

おそらく教室内ではモンスターと皆の攻防が
繰り広げられていて
必ず皆は勝つだろう。


しかし、その時に入り口でゾンビが待ち伏せしていたら?
回避できるだろうか?
いや、回避出来たとしても怪我をおってしまう可能性が
高い。


『私も皆を、守るってさつきちゃん達と約束したものね、』

と口に出し自傷気味笑うと狙いを定めて引き金を引く。
パンっと乾いた音が鳴り、ゾンビへ命中するも
震えていた手では急所にピンポイントで当たることは出来ず


ぎこちなくゾンビがこちらへ振り向く。


教室から心配そうなみんな声が聞こえるけれど
それどころではなく。

なぜなら倒し損ねたゾンビがさっきの弾でこちらに

気がつき走り出したのだから。




『ごめん!ちょっとゾンビ撒いてきます!
 宝箱はすみません!体育館へ持ってきてください!』







できるだけ遠くへ、できるだけみんなへ離れて。







今を生きている皆がどうか無事のようにと
願いながら。















▽▲








教室に入るとふざけたチャイムに
ぶさけた野郎の声が教室内に響く。

聞きたいこと、怒鳴ってやりてぇこと

いっぱいあったはずなのに
今は廊下に一人残しちまった奴の心配で
俺の脳内それどころではない。

同じことを考えているのか、緑間も、
いつもふざけてやがる高尾も、
気の良い木村も大坪も

何も言わずに黙っている。

放送が終わるや否や教室のドアに手をかけるが
開きやしねぇ。


『皆!大丈夫!?』と廊下から声が聞こえる、
こんなときでも人の心配か、と怒ってやりたくなるが
とりあえず、大丈夫、そう伝えようとした時
教室の奥から机を投げ倒しどろっどろの妖怪が現れる。

人ともいいがたい奇妙な生き物。


思わず、うっとなるもこつちの異常な状況に気がついたのか
再度ななから、大丈夫かと声がかかる、 

ピンチ…とまではいかないが状況的には芳しくはない。

「やべっ…!!」

と、不意に高尾が呟く。
敵に意識をもっていかれすぎていて俺には何も
気づけなかったが、流石うちのPG。

何か違和感に気付いたようで

こちらの入り口に近づき叫ぶ。

……廊下にも敵がいると。


その言葉にここにいる全員の空気も冷える。



「おい、高尾!」と言うも高尾はかなり焦っていて

それが何より事実だと言うことを証明し正直俺もこれは焦る。




「倒しましょう。そして早く廊下に戻るのが先決かと。」


そう言う緑間。

いつもはブリッジを押し上げる緑間のしぐさも今は腹立たず


「んなこた、わかってる。焼くぞ、」と
今さらこいつらには効果もない毒を吐き銃を構えた。





これ以上、お前が傷つかないようにと。



そう願いながら引き金を引いた。














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