▽18,



すぐさま赤司君は虹村さんに近より彼の安否確認を行う。




「あれって確か…虹村修造だったか?」



「あれ?永ちゃん知ってんの?」


根部谷君は焦る赤司君に近寄りながら確認する様に
呟く。
一応皆もそのあとを追いつつ葉山君がすかさず
突っ込んでいる。



「なんだよ、知らねぇのか?」と

根部谷君は呆れているが、葉山君はきょんとん顔。
実渕さんも呆れたように溜め息をつく。


「んもう!小太郎あんた本当に馬鹿ね!
 虹村修造って言ったら私達と同じ学年じゃない!

 しかも、無冠の五将に並ぶほどすごい
 プレイヤーだったんだから!」

と実渕さんは嬉々として話している。

…タイプなのかな?



「だった?ってことは、もうバスケしてねーの?」
 

同い年だと話があったのに思い出せないのか
再度葉山君にははてなマークが浮上している。


「さぁな。深い理由までは知らねぇが今は確かに見ねぇな。」
と根部谷君が答える。



「ふーん。永ちゃん良く知ってんね。」と

再度まじまじと虹村さんを見て葉山君は
「でも、何で赤司あんな必死なの?」と質問する。


「元帝光の、主将だからだろ。」と黛君が答えると
黛さんも知ってたの!?と驚いていた。


すると、赤司君からお声がかかり根部谷君が呼ばれる。
どうやら虹村さんに問題はなく
気を失っているようで根部谷君におぶってもらうよう
話していた。





「すまない、時間を取らせたね。」


そう言いながら戻ってきた赤司君の手には何か握られてい。


『赤司君それは?』



「ああ、虹村さんの入っていた所を調べたら出てきましてね。

 かわりに、宝箱のようなものは今回ありませんでしたよ。」


と赤司君が持っていたのは、これまた拳銃の
パーツの様な物だった。



「恐らく今までの物と同じと考えて良いと思います。」

そう言うと、パーツを実渕さんに預ける。

もうここには用事はないだろう。とのことで
いったん体育館へ戻ろうという話になる。



ひと安心だと来た道を戻ろうとすると
カーンと誰が何かを爽快に蹴った様な音が響く。
うん?と思い振り替えると

「やっべ…赤司、ごめん。」と


苦笑いをしていたのは葉山君、
彼の足元を見ると来たときにはなかった不気味な
ペンキカンがあり表面には蹴る。と書かれている。

そして、素直にそれを蹴ってしまった彼、、葉山君の後方
いわば皆の後方、虹村さんが倒れていた方に

大人数のゾンビ様御一行が気味悪くも
立っていらっしゃる。


ああ、このパターン。良く知ってる。



「葉山てめぇっ…!」と
わりとマジギレしている黛君。
に呆れて物も言えません状態の実渕さん。
なんだか一人だけやる気の根部谷君。
虹村さんを、背負っていること忘れないでほしい。

そして、無表情で大魔王降臨中の赤司君。


「葉山、お前の処遇については後で考えよう。

 今はとりあえず逃げることが先決だ。」

とやはり怒っている赤司君にひいっと肩を揺らす葉山君。
少し可哀想になってきたが、赤司君は続ける。


「海常の話ではあいつらは音を頼りに追ってくる
 ということだったが

 現時点で既に手遅れだ。

 位置確認は、ほぼされていると考えて
 一気に階段をかけ下りる。
 降りれば一直線で体育館へ走れ。」




「分かったわ。でも征ちゃん。

 いつもロードワークで
 鍛えてる私達は大丈夫でもななさんには
 ちょっと1階までダッシュはキツいんじゃないかしら?」



いきなり話を降られてびっくりするも
「確かに」と黛君にまで心配されてしまう。



『え!?大丈夫だよ!階段を走るくらい!』と
ガッツポーズを見せるも
哀れみを帯びた目で根部谷君が、じっと見てる。

なんだ、なんだ、やればできるぞ私。


『いや!大丈夫だっ……ひゃっ』


抗議しようと前に出るも一瞬の隙に赤司君に
横抱きされる。
いわばお姫様抱っこというやつだ。

もう、スマート過ぎて赤司君がどこから出てきたかも
わからない。


『あああ、赤司君!?!?』



「これで、問題はありませんね?」と笑うと
赤司君は根部谷君に虹村さんを頼むと再度話し

行くぞと声をかけると一気に走り出す。


走り出すタイミングで「しっかり捕まってください」と
言う赤司君はカッコ良すぎて本当にこの子の将来が心配だ。





とは、言うもののゾンビ御一行様は容赦なく追いかけてくる。

しかし、まあなんというか

洛山組の足の速さ。

ぐんぐんと距離がひらいていく。


それなのに、鍛えているだけあるのか皆、
息切れ1つなく余裕そのもの。

と言うよりも私の心臓が先にやられてしまいそうであるが。


階段を降りきって広場に出ると玄関口とは、別の廊下から
これまた大軍のゾンビが待ち構えていて

きゅっと赤司君が、足を止めると少し思案するも
本当に一瞬で


「実渕、ななさんを頼む。」と
私を実渕さんに抱いた形のままそっと渡される。

こういった少しの行動に優しさを感じる。
しかし、まぁ、なんと言うか実渕さんやっぱり綺麗だけと
男性なんだなと、思う瞬間。

腕はしっかり筋肉がついてあり
なんというか体つきというか、うん。変態じゃないからね?


すると、赤司君は皆に走れと言うとどこからともなく
手榴弾をとりだし
ぽいっとゾンビ向けて投げたかと思えば
それに追い討ちをかけるように
もう1つぽいっと投げる。

二つ目を投げた瞬間赤司君もこちらに向かい走り出す、


『赤司君!!』



と、思わず叫んでしまうも爆風の中から現れる赤司君。

え?これ何かの撮影?と突っ込んでしまいたくなるほど
様になっていて

「征ちゃんったら、ほんと何やっても涼しい顔で
 やっちゃうんだから」と

実渕さんは笑っていて、ゾンビが追って来ていないことを、
確認すると実渕さんはゆっくりと下ろしてくれる。


「ななさん大丈夫かしら?本当はもう少し
 抱いていたかったけれど
 小太郎のように征ちゃんからペナルティは受けるのは
 ちょっと、ね?」

とウインクされるも実渕さん何もしてないのに?と
首をかしげてしまう。



そのまま、皆で体育館に戻る途中実渕さんが
「それにしても征ちゃん大胆ね。怪我しちゃわないで
 よかったわ。」と話していた。

「計算して投げたから問題ないよ。」と赤司君は話していて


どうやら1回目に投げた手榴弾は安全ピンをのけず
投げ、2回目の手榴弾のピンをのけることで
2回目に投げた手榴弾が引き金で1回目の手榴弾が

一緒に爆発するようにしたらしい。

そうして、走る時間を稼いだんだとか。


本当に咄嗟の判断には思えない。


体育館に戻るととりあえず虹村さんを寝かせ
皆が集まり話し合いが再開されるが、

やはりと言うか帝光中メンバーは驚きと戸惑いの色を隠せず
虹村さんの心配をしているようだった。



「赤司っち!えっと、どうゆうことっスか?
 てか、色々聞きたいことあって

 えー、と、あーもう!わかんないっス!」

と頭をグシャグシャと頭を振り乱す。
落ち着けと小堀君たちに宥められているが

落ち着けていない。


どうしたものかと考えていると


横から紫原君がのっそのっそと、やってきて
私の手をぎゅっと握ると上へぐんっと上げる。



『うへっ、!?』



いきなり腕を上げられたので変な声を出してしまう。


「うーん。やっぱ赤司ちんが行って正解だったね。」と


手をじーと、見つめていている。

あ、そうか。
あの黒幕さんの声は体育館の皆にも聞こえていたのか。


『紫原君、ありがとう。見ての通り大丈夫だよ!
 傷1つ付いてないから』と

笑うと「まあ、赤司ちんだしね。」と
言われる。どんだけ信用されてるんだか。


「しかし、凄いね。アツシも大丈夫だと断言していたが
 100問を3分で解くとは。」


氷室君も少し驚いていたが何と言うか
帝光中メンバーは赤司君を信用していたようで
だから、大丈夫だって言っただろ?みたいな
顔を各々していた。



「ええ、内容自体はそんなに問題ではありませんでしたよ、
 
 それをふまえてお話ししても宜しいですか?」と

赤司君が今までのことを話だし
実渕さんが赤司君から預かったパーツも一緒に出す。

屋上であったことの一部始終を話し虹村さんが出てきたことを
話す。

あと、赤司君から
「100問解いた問題は主に中学から高校にかけての問題が多かった。
 内容的にも問題集などから抜粋した様な形が多く
 ここを創った人は飛び抜けて頭が良いというわけでは
 ないようだ。」とのこと。

それでも3分という時間を制することが出来たのは
赤司君だからだというのは間違いない。が
赤司君から言わせれば、あれくらいの問題なら
緑間でも可能だよと、笑っていた。

緑間君は、当たり前なのだよ、とブリッジを押し上げるも
少し照れてるようにも見えなくはない。
高尾君は、おもしろくなさそうだったけど。




「とりあえずは、虹村がスペシャルアイテムっちゅうことで
 間違いはないんやな赤司。」


今吉君はちらりと虹村さんを見ている。



「はい、敵側の彼もそう言っていたので
 間違いないかと。」



ここからは、秀才組が話し合っている。
おそらく、虹村さんが起きるのを待つか
探索に出るかだと思われる。




話し合いには加われないので、その場を離れる。
少し休憩したいなと思い、ふらふらと
体育館端へ行こうとすると何かに躓き

びったーんと音をたて転けてしまう私。


『いっ…た、あ。』と起き上がると、私後ろで
蜂蜜色をした物騒な彼が丸まってふるふると痛みに耐えていて
どうやら彼の足に躓き、彼も相当の痛手を負ってしまって様だ。

『宮地君!ごご、ごめん!大丈夫!』

と、駆け寄ると



「いってぇ…大丈夫じゃねーよ!ブッ殺す!…ってお前か。」

と一瞬怒るも私の姿を見ると押し黙る。


『ごめんね!ぼぅとしてて!足大丈夫?』と
覗き込むと「ん?、あぁ、ああ。」と
歯切れ悪く返されるので実はすんごく痛いのかもと
思い少し焦っていると




近くで高尾君が笑いをこらえている。


「ぷっ。宮地さんビビらせてどうすんっすか。」


高尾君の、言葉にぷいっとしてしまう宮地君。


「ごっめんねー?宮地さんあれで照れ屋だからさ!
 悪気はないんだけどね?」と
フォローを高尾君が入れるも

「黙れ高尾。焼くぞ。」と怒っていて
しかし高尾君は「宮地さんこえーですってー。」と
へらへらと笑っている。







『あれ?高尾君が緑間君と一緒にいないの珍しいね?』


高校は行ってからは緑間君と高尾君は常に一緒のイメージだったのに
少し珍しい。



「あー、真ちゃん今あっちで作戦立ててっし
 俺なんか混ざりづらかったら
 置いてきちった。」と
いつも通り笑っていたが、まあ、分からなくはない。

秀才君ってなんか皆個性強いし。




そんな話をしていると宮地さんがいきなり
ジャージの上着を脱ぎ出す。





「おい、なな。」と私を呼ぶと宮地さんは
ちょいちょいとこちらに呼ぶ。




『どうしたの?』と声をかけると宮地さんは自分の膝に脱いだ
ジャージをかける。



「疲れてんだろ。ほら」と腕を引き寄せられると
宮地さんを枕に寝かされる。




『ええ!悪いよ!』と、言うと「ああ?黙って寝とけ、轢くぞ」
と言われてしまい黙ることにする。
横で木村君に「宮地やるな、」とか言われていたような気も
しなくはないが疲れていたので直ぐに眠気が襲ってくる。


生理現象がないので眠たくもならないと思っていたのに
不思議なことだ。
自分怪我してるからかな…とか少し考えていると
完全に、意識が闇に堕ちてしまった。




▽▲






「宮地さん。ブッ殺すなんていつも言うのに
 罪悪とか感じんすね。」と

高尾が茶化してくるのを
うっせよ馬鹿!と一応虚勢を張っておく。


全くうちの1年は生意気で困る。


すっかり安心して寝てしまったななの頭をなで
ゆっくりと目を閉じる。

話し合いが、終わったら黄瀬やら緑間やらが
わいわい言い出すだろうから
今だけは少しの安らぎを。

















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