▽17,




屋上の上だというのに声が響く。






《流石は主将。

 いつだって君はそう強気だよね。

 ふふ、でも良いよ?手短に話そうか。


 そこにある画面に問題が出てくる。
 タッチパネルを押して回答すれば良い。》


赤司君は屈み方膝をつく。
確かにタッチパネルはあるがパネル前には
細い鉄格子があり押せれる状態ではない。



「何よ!これじゃ解きようもないじゃない!」


実渕さんは空を見つめながらキッと睨む。


《ふふ、そうですね。

 そのままでは解けません。

 その画面の隣に穴がありますね?
 その穴の中にレバーがあります。
 レバーを引いている間だけ鉄格子が上がり
 問題が解けるといった仕組みですよ。》



なるほど、なかなか手が込んでいる。
私も赤司君の様に屈み穴を確認する。

確かに奥の方にレバーの様なものが見えるが
けっこう狭い作りになっていて手を突っ込むのは
難しそうだ。


「赤司相手に謎解きか。
 何か仕掛けがあると考えた方が良いな。」

黛君はそう言うと私の横に並び穴に手をいれようと
試みるも彼の手の方が大きく入らない。

葉山君がぴょんと黛君の方に来る。
緊張感もちなさいよ、と実渕さんに怒られているが
気にしていない様だ。



「あんれー?黛さんで手が入んないとなると
 あとは、誰が入んのさ?」



「そりゃ、おめぇしかいねぇーだろ。
 俺は一番入んねぇだろうし。」


確かに根部谷君は試さずとも解る。絶対入らない。


『そうだね、根部谷君は絶対入らないね。
 赤司君は…問題解く方が向いてるだろうし

 レバー引くくらいな私がやるよ
 私ぎりぎり入りそうだし。』

と手を入れてみるとやはり入る。
ちょっと奥行きが深く辛そうだけど行けそうだ。

赤司君が心配そうにこちらを見ているが
この中で問題を解く適任者は誰も何も言わないが
暗黙の了解で赤司君だ。

彼もそれを理解しているのだろう。


「おい、馬鹿。さっき言ったこと忘れたのか?
 赤司相手に謎解きとなると
 どちらかに罠が仕掛けてあるに決まってるだろ。

 おい、葉山試せ。」と

黛君はやや怒り気味で葉山君を呼ぶ。




《ふふふ、無駄だよ。
 その穴は彼女に合わせて作ってある。

 葉山さんじゃ入らないと思うな。》


黙っていたため少し忘れそうになったが、そうか
こいつがまだいたんだった。





「どうゆうことだ。」


黛君は怒っている。



《やだな、先輩。怒らないでくださいよ、

 先輩のおっしゃる通り仕掛けがあります。

 問題は一般的な物で100問。
 タイムリミットはない、が

 レバーの穴にはナイフが仕込んであり
 10秒毎に1ミリずつ下りてくる仕組みです。

 はじめはおまけで彼女とナイフの間を2センチ
 開けておいてあげるから

 彼女の手が切り落とされないよう頑張って下さい。》



そこまで話すと洛山組は言葉を失う。
もちろん私も呆気にとられてしまう。

一般的な問題とは言っていたが何せ100問だ。

彼の話が本当なら10秒1ミリ。
与えられた時間は2センチ分、約3分少ししか
時間がないと言うことだ。

ならば、手にナイフが食い込まないようにするには
1問に2秒ほどしか宛がえる時間がないと言うこと。

流石にピンチだ。



「2つ質問をしてもいいかい?」



赤司君が立ち上がり、ゆっくりと話す。




《珍しいね。敵側に君から質問とは?》




「なりふりかまってはいられないからね。


 まず、1つはこの問題を解くという選択を
 俺達が選ばなければどうする?」






《ふふ、本当に珍しい…愚問だね。

 これをしないと帰る為のアイテムと
 スペシャルアイテムを手に入れられない。

 ちなみにスペシャルアイテムは
 この箱の中に居るよ?

 彼も早くだしてあげないと死んじゃうかもね?》



ふふ、と笑っているが
なんとスペシャルアイテムと彼が称したものは
人というわけか。

人をアイテム扱いするところ本当に理解ができない。

赤司君に至っては動揺1つ見せていない。




「そうか、しかしその手の挑発にはのらないよ。
 念のための確認だったが、理解した。
 もとから逃げる気はないさ。

 最後にもう1つ。


 なぜ、お前は必要に秋山ななを
 狙う?」


自分の名前を出されたときに、どきりと肩が揺れる。
確かに私の負担でかいんじゃないかなとか
少し思っていた。

その様子に気がついたのか実渕さんが
私の肩に触れる。



「いや、言い方が悪かっただろうか?

 ななで何をしようとしている?」





動揺を見せていないままではあったが
赤司君の声には怒気を感じれる。


《……流石にそろそろ気づかれるんじゃないかと
思っていたよ。

べつに彼女に何かを求めている訳じゃない。

ただ、本来はななさんを使って君達の気持ちや
精神的なダメージの為に
この役割をわりふっているだけだよ。

人が変わってしまったが、問題なく作用しているから
そのままにしてあるのは察しの通りだよ。




さあ、質問はお仕舞いだろ?

君らのタイミングで始めてくれ。》



そう言うとブチッとマイクを切られてしまう。




「んだよっ!言い逃げかよ!めっちゃ腹立つ!」



「ちょっと、落ち着きなさいよ小太郎。」



ガンっと壁を殴る葉山君をなだめる実渕さん。
私も葉山君に
「いやいやこの中人がいるって言ってたから
殴っちゃ駄目だよ」。と言う「だって、だって!」と
少し涙目で訴えられるも

ちょっと意図が掴めない。

助けを求めて根部谷君を、見るも「マッスルムカツクな」と
よくわからない。



「根部谷、葉山、少しは実渕を見習って落ち着け。
 感情的になればなるほど相手の思うつぼだ。」



やはり、ここでもビシッと制するのは赤司君。
赤司君は私の手を取り申し訳なそうに目を伏せる。




「すみません。貴女を再度危険な目に合わせてしまいます。」



彼には珍しく目に自信ではなく不安の色が見える。

私は出来るだけ優しくに掴まれていない手を
彼の手に重ねる。


『こんなこと言うとプレッシャーになっちゃうかも、だけど
 ここに洛山の皆と来れて私はむしろラッキーだったと
 思ってる。

 各校、頭の良い人はいるけど
 赤司君に勝る人なんて想像できないし。

 それに、信じてるよ。大丈夫!少し痛いくらいなら
 我慢できるし!』

と笑って見せると

「強がるか、信じるかどちらかにしてほしいですが…

 ありがとうございます。」

と、赤司君も笑ってくれる。


画面の方に向き直すと赤司君は深呼吸をする。


「今から問題を解いていく。必ず3分で終わらせる。

 念のための実渕は時間を測ってくれ。」


赤司君のまわりの雰囲気が一気にピリッとする。
彼の本気な気持ちが伝わる。

私は近くにいた黛君に声をかけ赤司君と私の間に
居るようお願いする。



「かまわないが、」と了承してくれる。
やっぱり信じるとは言ったものの怖いのは怖い。

頑張ってくれている赤司君の横で私が恐怖に怯えた顔を
していたら彼のプレッシャーになるかもしれないため
私の様子が見えないようにしてもらったのだ。

赤司君は納得してなかったが。


黛君も納得してなかったが。



私は手を穴には手をいれレバーを握る。

『大丈夫、赤司君いつで行けるよ。』

そう声をかけ、赤司君が
「それではカウントします、1でレバーを
引いていただけますか?」と
提案してくれたので『分かった』と返す。




「…行きます。3、2、1」


1で、思いっきりレバーを引くとガチャンと音が鳴る。

ここからは黛君に頼んだこともあり見えないが
おそらく鉄格子が開いた音だろう。

緊張感が漂う空気に赤司君の画面をタッチする音しか
聞こえない。と
思ったら小さな声で「赤司、すげぇー。」と
葉山君が呟いていて
赤司君が頑張ってくれているのとは安易に想像できた。


こうゆう時は決って時間がたつのが遅く
手に汗がじんわりとまとわりつく。

いけないと思い
ぎゅっと中で握り直しゆっくりと深呼吸をする。

前に垂れてきた髪邪魔だなぁと、おもっていたら
黛君が前にかかる髪を払ってくれる。
意外と過保護なのかもしれない。


すると


何かがひんやりと手首の近くに近づいてくる感覚が襲い
それは、だんだんと強くなる。

どっきんどっきんと動悸も激しく波打つ。

自分でも分かる、、、


そろそろヤバイなっと。

そう、思った瞬間




「終わった。」






確かにそう言う赤司君の声が響いて
ガチャンと音をたてて確かに近づいてきていた
物体が引っ込んだ音がする。

慌てて黛君に手を引き抜かれて

確認するも手は無傷だった。

赤司君もすぐ私に近寄ると手を取り確認する。


傷がないことを確認すると安心したように笑い
「信じてくれてありがとう」と言われ
『こちらこそ、助けてくれてありがとう。』と
笑顔で返す。


しかし、まあ100問問題を3分そこらで本当に
終わらせてしまう辺り

赤司君で良かったと染々思う。

葉山君もさっきから「すげぇー。」しか言えていない。
一応君、年上だろう。と笑ってしまいそうになるほど、、


すると建物自体がガッチャンガッチャンと音をたてて
片面の壁がバッターんと壁ごと倒れる。

壁と一緒に出て来た人は気を失っているようで

壁と共に崩れ落ちる。



その、出てきた人物に私と赤司君は驚きを隠せず
思わずお互いの顔を一度見てしまうほど。



だって、まさか




まさか、帝光中元主将





虹村修造さんが出てくるとは






誰が予測出来ただろうか。







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