▽16,







話し合った結果やはり行くのは洛山高校になった。

赤司君達と校舎を並んで歩く。

どうやら、屋上に行くか北棟に行くか悩んでいて
しかし、どうしたことか。
北棟に入るための入り口の鍵がかかってあり入れなかった。

何か考えているように手を顎に当てて考える赤司君の横で
                
「何よ、これじゃ中央棟の屋上に先に行けってことかしら?
 腹がたつわ!」と実渕さんが怒っていた。



「まあまあ、玲央姉!」と葉山君が実渕さんを抑えている。


「ふむ。どうやら、そのようだね。
 確かに実渕の言う通り

 相手に乗せられている様で気に入らないが

 屋上に行こうか。

 念のためあちらの北棟の入り口も調べておく、
 少し待っていてくれ。」


と、くるりと踵を反し赤司君はもう1つの入り口へ
一人で行ってしまった。
なんだか機嫌が悪そうだ。

どうしたものかと考えていると同じことを思ったのか
葉山君が実渕さんに近寄る。




「ねぇ?赤司、、機嫌悪くねぇ?」


実渕さんは少し呆れたように溜め息つく。


「ちょっと、あんた馬鹿ね。こんな状況で機嫌の良い人が
 いるわけないでしょ?

 それに……」


そう言うとちらりと実渕さんがこちらを見やる。
?と首をかしげると実渕さんは私の頭をゆっくりと撫でる。



「貴女とななちゃんがタブって見えるからじゃ
 ないかしらね。」

と悲しそうに微笑んで。
また、この話だと思った。
私ににている、誰かの話、

「誠凛のことのマネージャーか。」と
根部谷君が納得している。




『そんなに似ていますか?私と?』


「んー、似てるっつーかこう、魂レベルで同じな感じがする。」
と、根部谷君がスピリチュアルなことを言ってくれるが
一ミリも伝わらない。

「えーいーちゃんっ、それ全く意味わかんないから。


 …んー、そだなー、名前が一緒ってのは
 けっこうデカイかな!
 でも、確かに雰囲気も似てるよ!」と
今度は葉山君がニコッと笑う。


『うーん、なるほど。

 でも、それと赤司君が機嫌が悪いのとどう関係が?』


ゆっくりと撫でる手を実渕さんは止めて目を伏せる。



「征ちゃんの大切な人らしいわ。

 理由までは知らないけれど中学の時に凄く
 傷つけてしまったらしくて謝りたいと
 WC の試合終わりに呟いていたの。

 それでなくとも、大切にしているふしは
 見せていたんだけどね。


 そんな大切な人に似ている貴女がこんなに
 狙われた様に傷だらけになって
 征ちゃんも気がきじゃないんだわ、きっと。」


まさか赤司君にそんな人がいただなんて思わなくて
少しびっくりするも
「確かにそうかもな。」と納得する根部谷君を見る限り
おそらく、大袈裟に話されたことではないようだ。


「だから、あんまり無理しないでちょうだいね?
 征ちゃんの為にも私達のためにも」と実渕さんが
微笑む。


『わかった。』と笑うと「いまいち信用性がないな」と
今まで黙って聞いていた黛君に額にデコピンされる。

地味に痛いし、いきなりでびっくりした。


『ま、黛君!ビックリしたから!もうっ』と
怒ると、ふっと笑われる。


「あんた気づいてないのか?
 大丈夫だの、なんだの言ってるが嘘つくの
 下手すぎるんだよ。」


『嘘じゃないもん。…たぶん?』




大丈夫、はだいぶ自分の中で口癖になってしまったとは
確かに少し思う。

「いや、自信なさすぎるっしょ!」と葉山君に
突っ込まれる。
「葉山に突っ込まれるとか、もうあんたおしまいだな。」と
黛君も容赦なく馬鹿にしてくる。


『実渕さーん!』と泣きつくと「もう、」と笑いながら
よしよしと頭をまた撫でてくれる。


そうこうしていると、赤司君が戻ってくる。


「おや?楽しそうだね?」


『黛君に苛められてました!』と私はここぞとばかりに
赤司君に報告する。横でぎょっとした顔で黛君が
私を見ていが知らぬふりをする。

すると、予想とは裏腹に赤司君が驚いている。


「黛、さんが?」そう言うと黛君を見る赤司君。
居心地が悪いのか黛君はふいっと他所を向いているが

赤司君はふんわりと笑い、
「ふふ、そうですか。黛さんが。」と呟く。


「うるさい赤司。」と怒っているが黛君の顔が少し赤い。

どうしたものか。




「いや、悪い。少し黛さんが自分から他人にちょっかいを
 出したのかと思うと…少しね。


 ああ、そういえばあちらの入り口も閉まっていてね
 やはり、屋上に行くしかないようだ。」


赤司君からしたら、黛君が自分から他人に対して
興味を持つことは珍しいらしく黒子君以来じゃないか?と
言っていた。

とりあえず、今北棟に行けないことは解ったので
皆で中央棟へ向かう。

道中やはりと言うか階段以外は防災用の非常扉が下りており
屋上に行く以外の道は断たれていた。




「本当に屋上以外は行かせるきがねぇのか。
 全く手が込んでやがるぜ、」

と根部谷君はしごくめんどくさそうに息を吐く。
赤司君も「ああ」と同意する。


「根部谷の言う通りだか、おそらくこれには
 意図があると思っている。」


流石赤司君、やっぱり色々と考えているのだなぁと
感心していると横から「お前はもう少し考えろ」と
黛君に小突かれる。

あれ?声に出してないのにな。シックスマン…恐るべし。


「赤司、それどーゆうこと?」と葉山君は目を輝かせながら
聞いている。「小太郎あんたも少しは自分で考がえなさいよね!」
と葉山君は実渕さんにこづかれている。



「おそらく、今までの皆の話ではある程度のステージ
 ある程度の罠、敵については向こう…いわば
 ラスボスと名乗る彼のタイミングで出せた訳だが
 
 今回はそうも行かず僕達を、こうやって導いているんじゃ
 ないのかと思っている。」


赤司君がスラスラと今までの推理を話す。
なるほど、確かに筋が通っている。


「と、なればだ。確か…あれだろ?屋上つったら
 でっかいアイテム置いてあるとか書いてあったな。

 それを、得るためになんか罠が仕掛けてありそうだな。」


と根部谷君が凄く真面目なことをいっていてのに
最後に「腹へって動けなくなりそうだ」とつけ足した彼に
緊張していた雰囲気に少し笑みが溢れる。



『えーっと確かスペシャルアイテムだったよね?
 スペシャルってだけあって難易度高いのかもね。』



うーん、スペシャルアイテムかぁ。
元の世界に帰る手がかりとか、
黒幕の手がかりとか、

あればいいんだけどと考える。




「とりあえずは、行ってみえねぇとわかんねぇって
 …そうゆうことだよな!赤司!」


と笑う葉山君は怖いものは無いんだろうか。
しかし、赤司君はクスリと笑いながら「そうだな。」と
言っていた。

「たくっ、お前は呑気で良いよな。
 俺なんて本当にもう腹が空きすぎてヤバイぜ。」



本当にお腹が空いているのか己の腹をさすっているが
黛君が馬鹿か?とふんと笑う。




「黒幕が最初に言っていただろ。

 ここは、いわば精神世界。腹なんか空くわけないだろ。
 お前の思い込みだ。」

と根部谷君の言葉をひと蹴り。


しかし確かに生理現象もないと思う所、お腹も通常は
空かないのかも知れない。

ん?じゃあ!痛みも思い込み次第でなんとかなるんじゃ
ないかと思いウンウンと唸ってみるも効果なし。

痛みはあるとか本当にここ創った人の趣味を疑いたい。



先頭を歩いていた赤司君が止まり皆も止まる。
どうやら全ての階段を登ったようだ。


一直線の道のりだったし意外と早くついて

ドアノブに赤司君が手をかける。






「、、、、、、開けるぞ。」



そう言うとゆっくりとドアを開ける。ギィーと
言う音をたてて開く。

空は青空ではなく、赤黒くなんとも言えない空で
気味が悪い。


屋上は一般的な学校の屋上であったが

一点おかしい。


おかしいと言うか怪しい。



屋上の真ん中にポツンと小さな建物のようなものが
たっていた。
建物とは言っても人が一人余裕で入れれるくらいの建物で
大きくはない。

皆で警戒しながら近づくと建物の壁の低い位置に
タッチパネル的な小さな画面と
縦幅の狭い横長の穴がぽっかり空いていた。


そして、その地面には地文字の様な感じで
第四ステージ開始とかかれてあった。



それを確認したと同時にチャイムが響く。

ああ、また始まるんだと思いながら身構える。


赤司君をちらりと見ると彼は怒りを露にしており
目の前の建物を睨んでいた。








「早く済ませよう。今の俺は、機嫌が悪い。


 説明は手短に頼むよ。」




と言い放つ赤司君は、それはそれは男前で
これじゃ、敵さんも立つ瀬がない。よなと


場違いと思いながら


少し安堵の笑みが出てしまった。




さあ、第四ステージへ、向かおうか。










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