▽13,


しんっとした廊下で桐皇組と私はどこから敵が来ても良いように
構えている。
因みに今回は皆、一丁ずつ拳銃を所持し手榴弾を
諏佐くんと今吉君と若松君が持っている。

青峰君と桜井君、私は危なっかしいと言う理由で
持たせてはくれなかったが
一番小さい拳銃を護身用にと赤司君が一丁持たせてくれた。

しっかり使い方も教わり『赤司君すごい!良く知ってるね』と
言えば
「射的は家の習い事で一通り練習してね。この型は
 始めて見ましたが間違ってはいないと思いますので」と言って
ふわりと微笑まれドキンとした。

しかし、赤司家はすごいな…。



そんなことを考えていると

カッツーン、カッツーンとヒールの様な音が廊下に響く。






「ええか。気い抜くなよ。」



今吉君が皆に声をかけ緊張感がピークになる。
足音はどうやら私達が来た方から聞こえるようで

じっと廊下を見つめると階段を登ってきたのは

黒髪ロングの和服美女。
しかし目は見開らかれ、立派な和服の裾は破れ
全体的に血に濡れていた。
なるほどカツンと鳴っていたのはヒールではなく
下駄の音だったのか。

一見ゾンビに比べれば怖くないような気もしないが
物凄く怖い。
何よりもゾンビと違うのは手にイメージとして死神が持つような
大きな鎌を持っているのと化け物の女の人に意思を感じるのだ。



「えらいべっぴんさんやけども、あれはなぁ…。」



「……今吉さん、マジで言ってます?」



若干引きつつ若松君は今吉君への敬語はしっかりしていて
うん、やっぱり彼は真面目だ。



「そうか?胸がねぇ。俺のマイちゃんの方が可愛いわ。」



と、青峰君が暴言を吐くとギンッと女の人がこちらを睨み付ける。


『ちょ、ちょっと青峰君が暴言吐くから女の人が
 めっちゃガン見しだしたけど!!』



「あ、あああ青峰ぇー!!!」


と若松君と私はぷんぷんだ。うっせぇなと
ひと蹴りすると青峰君は狙いを定めもせず女の人に向かって


バンっと一発撃ち込む。

狙いは定めていなかったはずなのに頭部にヒットする。
凄いフォームレスシュートならぬ、フォームレスショット?
とでも言うのか。


「流石です!青峰さん!」と桜井君が絶賛するも
女の人は後ろに倒れず、ぎろり目を見開いて
ゆっくりと歩き出す。



「ほんま、化け物やで。」


今吉君もさすがに驚いたのか少したじろぐ。

するとゆったりと女の人が話し出す。






《私は…こんなものじゃ死なないの。

 ねぇ、殺して、殺して見せてよ……。》

と。




「なんやったら自分は死ねんねん。」




さっきも言ったけど、その相手に話しかける勇気は
どこにあるの今吉君!と彼の腕を掴むも
「守らんといかんもんも俺にはあんねん」と
掴んだ私の手の上にそっと自分の手を重ねる今吉君。
少し震えているのがわかる。





《あ……あの……おく…の…弾丸…っうう…。》



途切れ途切れだが、弾丸?と言ったか?
話している途中で女の人は苦しみ出し

いきなり物凄い勢いでこちらに走ってくる。
ゾンビといい女の人といい
追ってくるのが好きなのか。


「走れ!」と諏佐君が皆が一気に叫び走り出す。


諏佐君、今吉君、桜井君、青峰君、私、若松君と言った順番。

因みに私は目の前の青峰君には、ちっと舌打ちをされ
手を引かれている…と言うより若干引きづられている感じに
なっているのだか遅い私を彼なりに考慮した結果だろう。


「すみません、すみません、すみません、すみません!
 青峰さんのかわりに謝りますから!
 追いかけて来ないでください!!!」



「良!もうちったぁ早く走れ!」



「すみませんー!!」



謝りながら走る桜井君に腹をたてる青峰君。
「なんや、こんな元気に叫びながら走れる体力あるんやったら
 桜井のロードワークもうちょい増やせるな。」と
前で恐ろしいことを呟いている今吉君は
見てみぬふりをしよう、








「今吉!廊下の端!あの奥に何か箱が見えるぞ!」



走っていると、どうやら廊下の終わり近くまで走っていたようで
最終、行き止まりのところにポツンと宝箱が1つ。


「よし何か分からんが、この状況を打開できるもんやと
 信じてみっ………」


今吉君がそこまで言うといきなり廊下の地面にバキバキと
ヒビが入りズドーンと床が抜ける。
前を走っていた、諏佐君、今吉君、桜井君、
あと範囲が広かったこともあり青峰君と若松君


全員2階に落ちてしまった。


私はというと手を握っていた青峰君が
落ちる瞬間、おもいっきり私の身体ごと廊下の端まで投げたのだ。
おかげで私は無事落ちずにすんだが、いきなりのことで
受け身もとれず痛い。

しかし、そんな悠長にしている暇はなく急いで下を覗くと
皆それぞれ無事で安心する。



「あかん!秋山さん!まだ、あいつおるで!」



今吉君の言葉にハッとし前を見ると女の人がこちらに
じりじりと近づいてくる。
しかし、穴が多きく空いているため穴以上は近づけないのか
立ち止まり下を覗いていた。

穴を跨ぐことが出来ないなら下に降りようと言うのか。


私は急いで自分の目の前にある宝箱を開くときれいなシルバーの
拳銃が一丁入っていた。
赤司君に教えてもらったように安全バーを外し
弾丸の確認。弾丸もきれいなシルバー色で2発入っている。


震える手に力を込めて拳銃をかまえる。

その様子に落ちた桐皇組は気がついたのかこちらを見ていて

すーはーと息を吸い込む。

再度手に力を込める。



「やれ、なな!てめぇの信じるものを信じろ!!」


青峰君が、励ましてくれているのか
それとも己の身の危険を感じてか声をかけてくれる。
相変わらず青峰君は意外と臭いこといきなり言い出すよなぁと
クスリと笑みがこぼれる。


『そうだね、、

っ、わざわざ宝箱に入ってたんだから
 効いてよ、ねっ!!!!』






覚悟を決めて引き金をひく。




バンっと乾いた音が鳴り響く

2回目はもっと狙いを定めてひく。




肩と心臓に一発ずつ当たりぐらりと女の人は倒れる。
さらさらと砂ように女の人は消えて行くところを見ると

どうやら、倒せたようだ。





《一人は、寂しい、、、そう、言って、、、



、、、、、いたの、、よ、ね、?》




確かに女の人はそう言って消えていった。


涙を流していたような気がする。


一人は寂しい。そう言っていたのよね。


どうゆう意味なんだろう。

最初に会ったときから、あの女の人には感情や意思を
感じさせられていたが
考えても考えても意味は深くなるばかりで
私にはわからなかった。


そうこうしているうちに、背の高い若松君が土台となり
皆が2階廊下から登ってくる。
若松君は諏佐君に手を借りて引っ張られるような形で
上がってくるが皆本当に背が高いなと実感していた。

しかし、何故か皆が登ったのは私とは反対の方で
言わば皆、穴、私、みたいな。


『え!まって、私は?』と焦る私に若松君は、
「ん?跳べるだろ?」みたいな顔していて








『いやいや、こんな幅跳べないよ!』




「は?嘘だろ?」と青峰君も驚いていた。
いや、一般的女子にそんな能力求めてんなよっ!と
心で悪態つくも、そんなところではない。
宝箱は女の人のいた皆の方にあるのだから結局はあちらに
私が行かないといけないわけだ。


意を決して少し助走をつけて、飛ぶ。
大丈夫、最悪落ちても皆無事だったし。

と、思うもやっぱり飛距離は足らずギリギリのところで
落ちそうなるのをぐんっと若松君に引っ張られて
落ちることを間逃れる。


『ああ、ありがとう。落ちるかと思った。』




「っと、危なっかしいな。」と軽く頭をはたかれる。


どうやら、良く廊下の床を見ると

2階の部分は黒く焦げていて
廊下の窓は全て無残に割れている状態だった。



『あ……ここ海常の皆と来た所のちょうど上だったんだ。』



残念ながら窓ガラスが割れているため第二ステージと書かれていた
場所は残っていないが。




「やっぱりそうやったか。紫原らあから話し聞いとったから
 まさかとは思ったが、こんな感じで被害被るとは
 思わへんかったなぁ。」と


笑う今吉君は本当に黒い。



宝箱に手をかけ開ける。開ける前に桜井君がしっかり
確認してくれていたようで
「何か部品っぽい音がしました。」と
教えてくれた。

まあ、予想通り今回も何かの部品っぽくて
今までの流れだとおそらく拳銃のものだと思う。



「終わったし帰ろうぜ。」と青峰君が言い出し来た道を戻る。



「それにしても、下に気を付けろと書いていたが
まさか、仲間の穴に嵌められるとはな。」

と諏佐君は言っていて


「確かにそやな。まあ、体育館までは油断せんとこか。」

なんて話をしつつ帰っていたが


女の人の、言葉に気が散り
会話はあまり耳にのこらなかった









しかし、階段を降り靴箱を通りすぎた所で異変に気づく

靴箱を出た瞬間、南棟が燃え出したのだ。


しかも、いきなりというのに
火の勢いはすさまじく、直ぐに校内を包み込む。

だが、燃えているのは南棟のみ。


呆気に取られていると青峰君は言わばお姫様抱っこという
抱き方で私を持ち上げると走り出す。



『あ、青峰君!?』



周りを見ると青峰君だけじゃない皆走り出していて
抱っこされているので詳しくは見えないが
どうやら、私たちの足元には灯油が撒かれあり
火が点火して燃え広がっていた。




「黙って抱かれてろ!じゃなきゃ火だるまだ!」



私を抱いているのに軽快な走りでぐんぐんと

火との距離を開けていく。

が、言い方がやや卑猥じゃないか?この思春期めっ!





「下に気を付けろて、この事か!」と
今吉君はすこし怒っていて、


だが、それでも冷静さは失われてはいないようだ。





皆で体育館に流れ込む様に入り何とか難を逃れた。



どの学校も少しは静かに戻れないのかと


緑間君が怒っていた。
















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