▽11,


あのあとが廊下に出て、状況確認すると
ゾンビは跡形もなく消えていたそうで。

しかし、教室と廊下の窓ガラスは
無惨にも割れていた。

2階天井もかなり黒く焦げついている。

廊下には火薬特有の臭いと
皮膚が焦げついたような臭いが
充満しており気分がわるい。

すると、今まで黙っていた早川君が喋りだす。



『先輩!3分12秒(れ)す!!』


どうやら、今吉君の要望であった時間を数えていたようだ。

笠松君がお願いしていたようでそうか、と
返事を返す。


「早川先輩数、数えてたんスね。
 どうりで静かだと思ったス。」


「俺が事前に頼んでおいたんだ。
 うっかり忘れちまいそうだったかな。

 あと、ななさん。
 すんません、
 またトラップの可能性があるんすけど
 宝箱っぽいのがあるので見てくれねぇっすか?」



さっきのことが
尾を引いていないと言えば嘘になるが
開けられるのは自分だけ。
助けてもらってばかりじゃ駄目だ。
大丈夫と答え廊下にでて宝箱をあける。

来た道と、
そうでない方両サイドに1つずつあった。


「せめて、開ける前に確認します。」と
森山君と小堀君が1つずつ宝箱を上下にふる。

「森山、そっちはどうだ?」


「こっちは軽いな。
 でも、音的に何かの部品っぽい感じだ。
 小堀の方は?」


「俺の方は、逆に重たくて
 ガチャガチャ鳴ってるあたり
 武器かもしれないな。」


どちらとも、大丈夫でなはいかと言う結果にいたり
意を決して開ける。
小堀君の方はやはり、拳銃や弾丸、
追加の手榴弾など

森山君の方は、
おそらく拳銃のパーツと思われる部品が
入っていた。


「なんなんっスかね、、これ。
 拳銃の部品っぽいっスけど。」



『良くわからないけど、
 陽泉の皆と見つけたのが弾丸だったから
 拳銃繋がりなのかも。』


陽泉のときは弾丸一発、
今回は拳銃のパーツとなれば
完成させろと言うことだろうか。


「とりあえず、
 武器が増えたことは大きな報酬だ。」

と森山君はひとつ拳銃を手にする。
奥の教室も探索するか悩むも
一旦体育館に戻ろうと笠松君が提案し皆で戻ることに。


爆発で焼けたゾンビの屍を越えていくのは精神的に
辛かったが陽泉の時とは違い帰りに
襲われることはなく安心した。


が、



怪我をしていた為の体育館に入ったとき
皆に心配された、というよりは一部に怒られてしまったのは



致し方ない。








▽▲








とりあえず傷口の手当てをしようということで
リコちゃんに引っ張られて誠凛組にいる。

どうやら、待機組も体育館をくまなく調べたようで
救急箱を発見したようだった。



「ななさん、ここに座って下さい。」

リコちゃんに促され座り、少し脱ぐのを躊躇ったが
キャミソール着ているしまあいいかと上着を脱ぐ

てきぱきと、リコちゃんは手当てを終わらしてれて
はい、これでよしっ!と
道具を、片付ける。流石はカントク。
こうゆう所の女子力は物凄く高いと思う。

「ななさん、いいですか?今回この程度で
 済みましたけど次からは気をつけて下さいね!

 危ない時は男どもを盾にしてください!」

とリコちゃんに怒られるが、盾にって…、

「カントクが言うとマジで冗談に聞こえないが
 まあ、あれだな。
 全然頼ってもらっていーですから。」


と、照れくさそうに日向君が頭をガシガシと掻いていた。


「なんだ、日向。盾になるのか?」
と木吉君が真顔でボケてる。

すかさず日向君も
「ちげぇーわ!!ったく!木吉てめぇ!…いや!
 ま、でも、全部違うっつー訳では…」

と二人でわちゃわちゃしていて
自然に笑いが込み上げる。

さてはて、このままではいけないので服を着ようと
悩むも着ていた服は自分でも驚くほど血がでており
肩もざっくり切れてしまっている。
もう一度着るのは躊躇って悩んでみるが打開策が見当たらない。






「良ければ、僕のを着てください。」


いつの間にか後ろに来ていた黒子君が
ジャージを脱ぎ
ふわりと肩にかけてくれる。


『わっ、黒子君!いいよ!悪いし』


「いいんです。僕Tシャツ着てますし、何より
 ななさんには他の人の物より僕のを
 着ていてほしいので。」


ふんわりと笑う黒子君。さらりと恥ずかしい言葉を
涼しい顔で言えるところ本当に紳士だと思う。

しかし、悪いので断ろうとも
こういうときの黒子君は、テコでも動かない。


『ありがとう。じゃあ、借りるね。』

「はい、どうぞ。」

黒子君に何だか癒されていると
話が終わったのか黄瀬君が
バタバタとこちらに走ってくる。


「あー!黒子っちずるいっス!
 俺が貸す予定だったのに!」


黒子君のジャージを羽織る私を見て黄瀬君が
きゃんきゃんと吠えている。

「黄瀬君がうるさいです。」

と、辛辣な黒子君。

「ほんと、男って馬鹿ね。」

リコちゃんは呆れたように笑いながら二人を
しばいていた。
黒子君から借りたジャージは
少しばかり大きかったが
黄瀬君のは黒子君のより大きいため
着るとチュニックくらいの長さになりそうで
黒子君にかりてよかったと思ったのは内緒だ。



リコちゃんが二人をしばき終えたあと赤司君から
集合のお声がかかり、いつもの円を組む。
今回は流れのまま誠凛君と一緒だ。

「今回のことで、解ったとこを共有していく。」


体育館に赤司君の凛とした声が響く。


「笠松さん達の話では
 今回化け物と出くわしたのは廊下。

 陽泉組とは違い大きな敵と言うわけではなく
 ゾンビだったと言うこと。

 また、一度見たときは
 何もない廊下であったにも関わらず
 教室から出たとき再度確認したら、
 そこがステージになっていたと言うことだ。」

赤司君の説明を聞いているなか、
霧崎第一の花宮君がなるほどな、と呟く。

「ふはっ、
 じゃあ、ステージはこのゲームの主催者が
 自分のタイミングで決められるってことか。
 悪趣味だな。」

珍しく花宮君が割り込む。
しかし、それを今吉君が見逃すわけなく突っ込む。



「花宮に悪趣味言わせるやなんて、ここ創った奴は
 ほんま大物やで。」




「ちっ、…あんたには言われたくねぇよ。

 結局、体育館ステージに落ちてくる紙は
 あんたの予想通りだったんだろ?」


ばつが悪そうに花宮君はぷいっと
顔を反らしてしまうが
今吉君は退こ吹く風の如しだ。気にしていない。


「ああ、海常の皆さんに親玉からの校内放送から
 敵を倒すまでの時間を計ってもらうよう
 お願いしとったんや。

 もしかしたら、
 倒してから次の指示が出るんちゃうかと
 思うてな。…したら、ほぼビンゴやな。

 こっちでも、計らさせてもろうたけど
 ほっとんど同じや。」


ちなみに今回はこれや。
と紙をひらりと皆の前に出す。


"第二ステージクリア。次回敵レベル3。
下に気を付けた方がいい。"


と書いてあった。下に気を付けた方がいい?
なんだこれは?

なんだか、いきなり親切じゃないか?
すると、高尾君がうぇーといいながら
物凄く嫌そうな顔で


「なんだよ、これ。いきなり気をつけろーっとか
 めっちゃ、怪しいじゃん。」と溢す。

やはり、皆そう思うのか口々に怪しいと呟く。
そこで、赤司君が皆が見ていた紙を持ち上げ話を続ける。



「まあ、まず罠だと思い動くのが得策だろう。
 安易には信用はできないしするな。

 だか、捕らわれ過ぎても相手の思うつぼだ。

 なのでこの内容含め話し合った結果
 次の探索は桐皇学園に行ってもらう。」

赤司君がここまで言いきると、さつきちゃんが
いきなり立ち上がり、えー!!と呟く。


「なんや、心配せんでも桃井はお留守番やで?」


「そんな事で驚いてる訳じゃありません!
 青峰君ほんと馬鹿なのに、
 そんな頭使うよなステージまかせられません!
 また、ななさんが怪我したら
 どうするですか!!」


あ、さつきちゃんは私の心配をしてくれてるのだと
思うと少し胸がほっこりする。


「さつき、てめぇ…言いたい放題いいやがって!」


と、怒る青峰君を「青峰。」とまさかの赤司君が
制止する。
赤司君に弱いのか、
青峰君は、うっと止まり立ち上がりかけていた
腰を再度下ろす。


「桃井が言いたいことも分からんでもないけどな。
 まあ、青峰に関しては大丈夫や。
 あいつはまず相手の罠にさえ気づかへんやお。」


何だか凄く説得力があるよ今吉君。
確かに罠に嵌まる前に
その罠に気づかない…青峰君ならあり得る。

さつきちゃんも、同じことを思ったのか
少し悩んでいる。

極めつけに今吉君が
ワシがおるうちは青峰は止められるし
宝箱についても出来る限りは秋山さんやない
青峰に開けさせると、さつきちゃんを説得し了承を得たのだった。



一方の青峰君は
あいつらマジで俺のこと何だと思ってんだよ…と
ぼやいていたが
聞かなかったふりを全力でしよう。











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