▽09,


あのあと、赤司君の見解では
まずこれからの探索にあたって出てくる化け物の
レベルが上がってくることと

化け物を倒した際に入手できるアイテムは
脱出時に必要になるアイテムである
可能性が高いこと。


あと、ステージのボスと思われる物に
出くわした際に
チャイムがなるのでないのか?とのことだ。


あと今吉君から一度、
確認したいこがあるとのこと。



それは、ステージボスを倒したあとに次回予告の
紙が出現するのではないのか?

だった。

なので、次に会ってしまった場合
出現から撃退した間の
時間を計っておいてほしい。と


ちなみに次探索するのは南棟2階。


海常組となった。


理由は現在、
海常組が一番戦力がないと判断したとのこと。

決して皆が弱いわけではない。
強豪高のチームだ。
それなりに力はある。体力もある。

しかし、今キセキの世代の黄瀬君は
足を怪我している。

本人は問題ない!大丈夫だ!と言うが
精神状態での傷は戻った際に何らかの形で
反映されるかもしれない、

その際生身で既に怪我を
負っている黄瀬君に怪我をしてほしくない。という
赤司君の言い分に黄瀬君自身はもちろん周りも
異論はなかった。


ここで、俺司の赤司君は
心配性なのだということが判明した。









▽▲










「赤司ってあんなやつだったけか?」


ふと、笠松君がぼやく。

因みに現在は1階の下駄箱を通りすぎ
階段を皆で歩いていた。
私は何故か、黄瀬君の後ろ。小堀くんの隣。
笠松君は一番前を歩いていて後ろに森山君と
早川君だ。

森山先輩は頼りにはなるが、
終始女の子を口説くという
オプションが付いているため並ぶなという
厳しい笠松主将のお言葉。

笠松!そんなに、俺が信じられないか!と
森山君は抗議していが、
信じられねぇ。と、ひと蹴りされていた。



「あー、赤司っちは何というか…元々は
 あんな感じの性格だったスっ!

 誰よりも周りのこと、
 チームのこと優先するタイプで
 ほんと、主将って感じだったんスよ。


 まあ、中学2年の全中終わった辺りから
 先輩達の知ってる
 赤司っちになっちゃったんスけどね。」


少し懐かしむ様な、後悔している様な
そんな複雑な顔で苦笑いをする黄瀬君。

笠松君はふーんと、いいながら
歩むことを止めない。

「何にしろ今の赤司の方が
 俺個人は嫌いじゃねぇな。」
と、一言。そのことばに黄瀬君は嬉しそうに
「そうスねっ」と返す




うん、いい話してるのはわかるんだけど
さっきから何か変な、変な音が、聞こえます。

でも、ハッキリとは…まだ聞こえない。

しかし、怖いものは怖い。己の腕をぎゅっと
抱き締める。
すると、流石、森山君気がついたのか
小堀君をずいっと押し退けこちらに来る。


「秋山さん?大丈夫ですか?」


森山君はさりげなく私の肩に手を置き後ろから
私の顔を覗き込む。



『あ、ちちち、近い!顔が!』

音が聞こえることを伝えようと思って森山君の方を
見るが如何せん顔が近く先に照れが襲ってくる。

照れてる私に少し森山君は驚くも
なぜかその状態でぐんっと私の肩を引くものだから
森山君と正面を向く形になる。
スッと手をとり
「大丈夫、俺がついてますから。」と
にっこりと微笑まれるが、距離はさらに近くなり
もう、口をパクパクされるしかない私。


「も(り)山センパイ!
 こんな時になにして(る)んすか!」


近くにいた早川君がべりっと森山君を引き剥がすも
森山君は、笑顔。

笠松君も
「森山てめぇ!こんなところまで来て
 馬鹿やてんじゃねぇー!」と言い
跳び蹴りをいれる。それでも笑顔な森山君。


黄瀬君が、こちらにやって来て「大丈夫ッス?」
と声かけてくれる。


『あ、うん!大丈夫!』


悪い人じゃないんスけどね…とのこと。
わかってるよ。と
笑えばふにゃっと、笑う黄瀬君。

それは、モデルというよりは
年齢に合った可愛い笑顔だった。


『あ、そう言えば黄瀬君、
 あのね何かさっきから音が聞こえる気がして。
 気のせいだったらいいんだけど…』

そう言いつつ、ふと不安になり後ろを振り向く。
先ほど自分達が通った階段をゆらゆらと
紫原君が撃退したのと
同じようなゾンビが歩いて来るのが見える。


一度近くで見ているが何度見ても見慣れない。
うっと口元を手で押さえる。
私の様子に気がついてなのか
黄瀬君もゾンビの方を見る。

一度見た私でさえ、気持ち悪くなるのだ。
黄瀬君は顔を歪めることさえも忘れて

硬直している。


「黄瀬君!笠松君!森山君!小堀君!皆走って!」


私は出来るだけ大きな声で叫び、近くに居た黄瀬君の背中を叩く
黄瀬君は驚きつつも、しっかりと頷き走り出す。

あ、早川君の名前叫び忘れてたと思うも
言い直す暇はなく、私も黄瀬君の後を走る。

笠松君達も驚き戸惑いつつも
化け物の姿を確認すると
弾くような速さで前を向き走り出す。


「お(れ)の名前、呼びわす(れ)て(る)す!!」


早川君の悲しい叫びが響くも
「うるせぇし、意味もわからねぇ!」
と笠松君に怒られる始末。
しかも、いつのまにやらゾンビも、走ってきているじゃないか!



「笠松!とりあえず入れそうな教室に避難しよう!
 これじゃあ!、、、らちがあかない!」


森山君が走りながら笠松君と、お話ししているが
流石、皆体力あるなぁ。
私、息切れが激しくて走りながら話すなんて
無理だと思う。


「そうだなっ!」と笠松君が返していると
小堀君が、「この教室入れそうだ」といい感じで教室を発見し

流れ込む様に皆ではいる。


皆一気に入ったため積み木崩しのように
ばったんばったんと地面に倒れ込む。

因みに私は地面とチューする前に笠松君に
ナイスキャッチされました。

「「「「「「……………………………。」」」」」」


追ってきたゾンビが入ってこられないよう
念のために鍵をかける。
通りすぎてくれるのを願い息をのむ。

バタバタという足跡と共に普通人だと絶対混ざらない
べちゃっとした水音が足音と一緒に聞こえてくる。


少し待つとゾンビは通り過ぎ、
教室は一気に静かになる。


「……行ったようッスね。………って笠松先輩!?」


黄瀬君がこちらを見て驚いている。
ん?そう言えば笠松君に受け止められてから
やたら静かだなっと………

思っていたら笠松君が顔を真っ赤にし
ふるふると、震えていた。


『あ!ごめん!…重かったよね!』


と上から退くも笠松君は変わらない。





「なんて羨ましいんだ笠松…」




「えーと…大丈夫っスか?笠松先輩?」



「とりあえず、立てるか笠松?」



「う(ら)やましいです!」



小堀君に支えられ笠松君は何とか立ち上がる。


『笠松君大丈夫かなぁ…。』

そう言えば彼は女の子が苦手だったなと、
今更ながら思い出す。



「笠松先輩には、刺激が強すぎたっスかね…?」


ポツリと黄瀬君が溢す。が
「聞こえてんだよ!黄瀬!シバくぞ!」と
黄瀬君をなぐる。
「もう、殴ってるっス!」と涙目だ。


「なな悪いな、、、迷惑かけた、」と
いまだ顔を赤らめそっぽ向く。
なんとも愛らしい。

『ふふっ。大丈夫だよ。
 むしろ受け止めてくれてありがとう。』

と言うと、更に顔を赤くしたので
皆で笑ってしまったのはしかたない。






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