▽08,


紫原君に横担ぎされている姿のまま
体育館に入ったので皆はびっくりしていた。

うん、びっくりするよね。普通。

そんな中、ぱたぱたとさつきちゃんは
長い髪を左右に揺らしながら
こちらに駆け寄ってくる。


「ななさん!大丈夫ですか?」



『大丈夫だよ。ちょっと…疲れたけど。』



さつきちゃんは紫原君をバシバシと叩きながら
私を下ろすよう交渉してくれている。
それもこれも体育館に着いたのにも関わらず
紫原君が下ろそうとしないからだ。

むしろ、そのまま座ろうとする。



「ちょっと!ムッ君!!
 女の子をそんな持ち方しちゃ駄目でしょ!?」


と、さつきちゃんが怒ると「えー。うーん、」と
唸り紫原君は、すとんと下ろしてくれる。

しかし、まあ、本当にすとんというか
ぱっと手を離され、
そのまま体育館のフローリングに
べちゃっと私の身体は落とされる。


「ああ!ななさん!」


と、さつきちゃんが私の身体を起こしてくれる。


「アツシ…。」

やれやれと氷室君は頭を抱えるが、とうの本人は
えー、?と可愛らしく頭をかしげる。

いや、可愛いんだけどね。
痛いんだぞっと思いながら
さつきちゃんにつかまり起き上がる。

そんなことをしていると
今吉君がこちらに近づき、起き上がったばっかりの
私の腕を掴みずんずんと体育館の真ん中へ進む。
何が何だか分からない。


『え!あ、今吉君?』


「悪いなぁ、あんたがこっち来た方がスムーズに
 陽泉のメンバーが来てくれそうやったから
 ちょっとばかし移動してもらうで?」


え、そんな影響力私にはありませんがと思うも
紫原君達は意外にも黙って後ろをついてくる。


歩くスピードが少し早く
後ろを振り向けそうにないが

何だか背中がヒンヤリする。


あと後ろから、もう!今吉さんまで!
とさつきちゃんの
お怒りの声も聞こえてくる。

出発する前の円の形になり
皆で一度顔を見合わせる。

違った所と言えば、今私は桐皇組と陽泉君に
挟まれていると言うこと。

平和な誠凛に帰りたい。




「紫原、先ほど爆発の音がしていたが合わせて話を
 聞かせてもらえるかい?」


赤司君が紫原君に今までの経緯を聞くが
んー、とめんどくさそうだ。

見かねたのか福井君が話し出す。


「まず、南棟の1階には何個か教室があったんだが
 どこも鍵がかかっていて入れなかった。

 んで、最後にあった奥の教室がやっと開いてて
 皆で入ったんだ。」




「うむ、教室の中は酷いもんじゃったなぁ。」


怖いのが嫌いなのか、
はたまた化け物のことを思い出したのか
岡村君は終始しかめっ面だ。

もともと、いかつい顔なのに。


「ひどかった、やと?」

少しでも情報が欲しい秀才君は
真剣な面持ちできいている。
いや、みんながふざけている。

という訳ではないが
青峰君とか、青峰君とか、青峰君は
全く聞いていない。


どこから見つけてきたのかバスケットボールで
ハンドリングして、まだ遊んでいる。


「ああ、俺達が入った教室は荒らされていて
 教室中、血塗れだったな。」


「あと、化け物も出てきたアルね。」


劉君はおまけの様に付け足したが、
一番重要だからね、それ。


「化け物のって!大丈夫だったのかよ!…です。」


案の定、火神君が驚いてい立ち上がる、
バ火神!うっさい!とリコちゃんに叩かれて
しぶしぶ座る。


そこからは、宝箱があったことや
化け物のにあったこと、その報酬。

最後にゾンビ教われ紫原君が
手榴弾にて撃退したことを話す。

今吉君と赤司君は少しなにか考えているようだ。


もちろん、ゾンビ撃退のためとはいえ
派手に手榴弾を使った紫原君は、
赤司君に怒られていた。

ごめんとね紫原君と、心で謝っておこう。



因みに学校に響き渡ったチャイムと、
ラスボスさんの声は、
体育館に居たみんなにも聞こえていたようだった。



また、ラスボスさんが話をして数分後
体育館ステージの教壇にまた紙が
1枚ひらりと落ちてきて

紙には第一ゲームステージクリア。

次回敵レベル2。こうご期待。との記載。


どうやら、ステージクリアごとに
難しくなっていくようだ。


なんとも厄介な世界である。











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