「え?あ、あれ?社長、何故此処に?」

「それは俺が聞きたい。1人か?」

「はい、1人です。社長もお1人で?」

「まぁな。下見に来た」

「…私も下見です」

「ほぉ、相手は誰だ」

「それ、わかってて仰ってるんですか?」

「…下見の意味、無くなっちまったな。つーかこういうのは俺がリードするもんだ、なんでお前まで下見に来てんだよ」

「このレストランに興味があると最初に言ったのは私ですし、それに興味を示してくださったのは社長ですし、そうなれば私がリードするものだと」

「だが、来週お前を此処に誘ったのは俺からだ。それに、2人だけの約束でそういう事務的な配慮すんな。呼び方も違う」

「お客様、お話し中申し訳ございません。只今店内混み合っておりまして、大変申し訳ないのですが待ち時間がもうしばらく掛かってしまう見込みです。そこで、相席ならばすぐに用意出来る状況なのですが、いかがなさいますか?」

「…景吾さんの判断にお任せします」

「…2人で下見、という名目にでもしとくか」

「そうですね」

「ご協力ありがとうございます、景色が綺麗な個室のお席にご案内致しますね。きっと、最高のひと時になる事をお約束します」



この店員確信犯だなと思ったのは、多分俺だけじゃねえ
- ナノ -