授業中指されて戸惑っていたら助けてくれた



「(やっばー、本に熱中しすぎて寝不足な上に予習忘れてた…どうか当てられませんよーに)」

「じゃあここの問題をー、学級委員長!やってみろ!」

「(死ねよハゲ)…はい」

「9だ」

「…9、です」

「よーし流石だな!お前らも少しは見習えよー」

「天下の学級委員長が寝不足で課題をやり忘れるとはいただけねーな」

「なんでわかったの、ていうかなんで助けてくれたの」

「目の下のクマ。助けたのはそりゃあ、学級委員長の面目を潰さない為に決まってんだろ」

「大きなお世話なんだけど」

「どうせシェイクスピアでも夜通しで読んでたんだろ。バレバレだっつーの」

「…馬鹿跡部」



跡部がシェイクスピアが好きだと聞いたのはつい1週間位前の話だった。シェイクスピアの繊細な作風は跡部とはなんだか不釣り合いな気がしたけど、跡部の中にもその繊細さがあるのかなと思うと妙に胸がざわついて、気が付いた時には私の古本屋に行く頻度は随分と高くなっていた。例えば温厚な人が意外と残酷なミステリー物が好きだった時の感覚と一緒で、本の好みはその人の二面性を表していると思う。

そして、その二面性を知りたいと思ってしまったが最後、私は跡部に確実に溺れ始めているのだという事を、隣の席で退屈そうに授業を受けているその横顔を見て、深く実感した。もしシェイクスピアが言った「私たちの血は生まれながら恋をするようにできている」という言葉が本当なら、この恋が終わった瞬間私は出血多量で死ぬだろう。

thanks/確かに恋だった
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